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【共同通信社 市川記者 × 湘南ゼミナール/コラボ授業】前編
2019.03.22
945年創業以来、国内外のニュースを取材し、全国の新聞社・テレビなどの主要メディアに配信し、日々事件や災害取材に奮闘する共同通信社の市川記者(大阪支社/社会部所属)と湘南ゼミナールVISIONARY SWANSのコラボ授業を実施しました。
共同通信社の記者のお仕事を授業形式で体験し、大きなビジョンを胸に世界に大きく羽ばたくための視野を広げる機会を生徒さんたちに体験してもらうべく、VISONARY SWANSにて企画!湘南ゼミナールの難関高受験コースに通う、小学6年生~中学3年生の生徒たちが参加しました。
それでは、特別授業/前編のスタートです!

ジャーナリストの仕事を知る。
——————–共同通信社 市川記者が考えるジャーナリズムとは?

(市川記者)
中立公正、客観的な事実を伝えることがジャーナリズムでは大切です。
では、ジャーナリズムでいう中立とは、どこに立つことなのか?
A:政府
B:記者
C:国民(一般市民)
A:政府の言うことと、C:国民(一般市民)が考えていること、その間でB:記者がジャーナリズムをやるのかと思われがちですが、そうではないのです。
ジャーナリズムというのは完全に国民の側に立ってやる仕事です。政府は、自分たちで広報ができます。首相も官房長官も話せばそれだけで広がります。
だけど皆さんが思っていることは、おそらくしゃべっただけでは伝わらない。広がらない。
僕たち記者は、一般市民の思いを社会に広げるために活動しています。一般市民の声にならない声を拾って、声(記事)にするというのがジャーナリズムの基本だと僕は考えます。
政治家は国民の代表であるにも関わらず、みなさんの声を聴く機会が少ないんですね。ですから僕たち記者がそれを伝えて、なんとか声にしたいという気持ちはずっとあります。


情報の格差に気付く
★ 授業1:このポスターから何を感じますか?

————–2020年、東京パラリンピックのために作られたポスター。
(話:北原先生)
このポスターを見た瞬間、何を感じるか。まずは印象、そしてよく考えてみてください。
(生徒)障害に負けないで強い人だと思った。
(生徒)自分の実力だから言い訳しないで受け止めるぞっていう強い気持ちを感じた。
(生徒)自分に障害があったら勇気づけられたり、元気づけられる。
——————と、生徒たちからは肯定的な意見


(北原先生)
「障害は言い訳に過ぎない。負けたら自分が弱いだけ。」
この言葉、誰が言ったの?
下に名前がある杉野さん??
(生徒)・・・・・。
(北原先生)
もしかしたら違うかもしれないよね?
どこにもこの人、杉野ですって書いてないよね?
きっと杉野さんだと思ってるけど、杉野さんの顔は知らないよね?
——————–このポスターを見ただけでは、どこにも事実に関する保証はない

(北原先生)
では、みなさんに障害があったら?その人がこの言葉を見たらどう思いますか?
———————-目線を変えて考えてみると、生徒たちの意見は一転。
(生徒)障害とか人によって重さが違うからかわいそう。
(生徒)自分が障害で苦しんでいたら、更に追い打ちをかけられる感じ。

(市川記者)
いかに相手の立場に立って物事が言えるのか。
このポスターには、障害の詳しいことは書いていない。ハンディキャップというのは人それぞれですから、不特定多数の人が見るポスターとするときにどう描くべきか。
(北原先生)
このポスターに登場する杉野さんは、ハンディキャップがありながらも、健常者の大会でも上位に居た人です。でもオリンピックには出られないからパラリンピックに出ます。
健常者の中では、自分の障害を言い訳にしていた。しかし皆に障害がある大会ならば言い訳ができない。という部分だけを切りとったものなのです。
———————-実際にこの2020年パラリンピックについてのポスターは東京都中に貼られたが、批判があり撤去となった。
★ 授業2:何のポスターなの?

(生徒)自分が外国人だったら、悪いのかなって思っちゃう。
(生徒)他の国の人を批判しているみたい。
(生徒)差別みたいなことを感じる。
——————–と、第一印象から違和感を感じている様子の生徒たち。

(北原先生)これは神社本庁という日本各地の神社を包括する宗教法人が出したポスターです。このポスターの意図は、祝日には日の丸を出そうねというメッセージを込めているそうですが、伝わらないですよね。
しかも、このポスターは外国人観光客が多い京都に6万枚も貼っていたのです。

——————–驚きの表情の生徒たち。
(北原先生)
このポスターに出ている女性は中国人です。
もし、自分が作り手だったらどうしたいか、相手に何を伝えたいか。
(市川記者)
ポスターは、共感を目的に作っているのに、これはちょっと差別的な傾向がある。
この人が言ったのか、誰なのか、全く書いておらず、情報が少なすぎるために受け手によっていろんな解釈が生まれてしまいますよね。

★ 授業3:記者の視点でも、読者の視点でも、物事は変わる。
——————–事案:2019年2月13日の衆院予算委員会での桜田義孝五輪相の失言。

(市川記者)
2020年東京オリンピックの競泳女子で活躍が期待される池江璃花子選手の白血病公表について、桜田五輪相は「がっかりしている」と発言しました。その後批判が集中し自身の発言を撤回する謝罪会見に参加した新聞各紙を参考に見てみます。

朝日新聞:見出しに桜田五輪相が謝罪「がっかり」発言に批判
毎日新聞:池江選手白血病公表の記事内に、小見出し 五輪相「がっかり」撤回
産経新聞:見出しに池江選手白血病に「がっかり」桜田五輪相「配慮欠いた」撤回
読売新聞:「乗り越えられない壁はない」「必ず戻る」池江選手記事内に、小見出しで「がっかり」発言 桜田五輪相撤回
(市川記者)
この新聞4社は、すべて同じ場所で取材し、翌日の朝刊に記事を書いています。
同じ会見に参加した新聞社のうち、朝日新聞は大きく見出しに”謝罪”や “がっかり”という言葉を用いて痛烈批判。代わって読売新聞は、記事自体がとても小さく、写真や見出しも立っていない。
同じ人を取材してもこれだけ扱いが違います。内容は同じでも、見せ方次第で印象は変わってしまうものなのです。ではなぜこうなったのか?

——————生徒から出た疑問。
(生徒)読売新聞に関係者が居たのでは?
(生徒)桜庭さんの関係者が読売新聞にお願したとか?
(生徒)読売新聞とかは、政府に肯定的で朝日新聞は否定的な印象

————–と、受け取り方次第でもそれぞれに表現は異なる。


(市川記者)
このように、同じ事実を伝えているはずの記事でも差があることを認知してください。どれが正しいということではなく、表現の仕方によって印象が変わっていることに気づき、事実を客観的に捉えられるようになってほしいです。


一通りのジャーナリズムを学んだ生徒たち。
授業にあったポスター、新聞、すべて間違いではありません。ただし、これらをどう受け止めるかは自分次第。自分のフィルターを通して物事を捉えるための、視点を養う大切さを知る機会となりました。
次回は、学んだ知識を経験に変える、記者のお仕事に挑戦します。
「生徒の個人情報が入ったUSBを落とした小学校教諭」の事件をテーマに、記者会見を行い、新聞記事を書き上げます!
※※本企画は共同通信社 市川記者と湘南ゼミナール双方が、CSR(社会貢献)活動の一環として、難関高受験コースの生徒向けに無料にて行っております※※
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