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神奈川県公立高校入試を解説|合否の決まり方や比率・具体例がわかる

神奈川県に住む中学生や中学生の親御様の中には、神奈川県の公立高校入試についての情報を集め始めている方も多いのではないでしょうか。

神奈川県公立高校の2024年度の2月7日時点(志願変更締切時)の志願者数は47,330名で、倍率は平均すると1.18倍でした(※特別募集及び中途退学者募集を除く全日制課程)。

募集定員に満たなかった全日制の高校もたくさんあり、県立29校・市立2校が定員割れ(倍率1倍未満)となっています。

一方で、毎年人気の横浜翠嵐高校の倍率は、2倍を超える競争率となっています。

【県立高校普通科で倍率が1.5倍を超える高校】

学校名倍率(2月7日時点)
県立横浜翠嵐2.14倍
県立多摩1.63倍
県立湘南1.63倍
県立横浜南陵1.59倍
県立横浜緑ケ丘1.59倍
県立鎌倉1.52倍

さらに、少子化により定員を減らす高校もあるなど、今後も安心とは言えないのが神奈川県公立高校入試です。

後半では、神奈川県の公立高校入試の合否の決まり方について、例を用いて詳しく解説していきます。

内申点や学力検査、特色検査の内容など、公立高校入試の要素についても詳しく知りたい方は、ぜひこの記事を最後までお読みいただき、参考にしてみてください。

1.【基礎知識】神奈川県公立高校入試の概要

神奈川県公立高校入試の選考方法など詳しい内容をお伝えしていく前に、神奈川県公立高校の入試の概要について解説していきます。

神奈川県公立高校の入試の概要

・どの高校を受験しても良い「全県一学区制」である

・神奈川県公立高校の倍率は1.18倍(2024年度2月7日時点)

・推薦入試はなく受験機会が【1回だけ】である

・一律の面接選考は2024年度から廃止された

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1. どの高校を受験しても良い「全県一学区制」である

神奈川県公立高校(県立高校)の入試は、学区制ではないため、神奈川県に住んでいれば、県内のどの高校を受験しても良いという特徴があります。

以前の神奈川県の「県立高校」の学区が18にわかれており、「学区」と「学区外」の定員がそれぞれ決まっていました。しかしながら、現在は学区制が撤廃されて、全県一学区制となっています。

学区が撤廃されたことにより、エリアに縛られずに本当に行きたい高校を受験できるようになった一方、人気校には志願者が集中するようになっています。

※「市立高校」には現在も学区があります。

なお、受験できる高校は「1校のみ」(1校1課程の1学科・コース・部のみ)です。1月終わりに出願を締め切ったあと、志願変更期間に1回だけ変更が可能です。

1-2. 神奈川県公立高校の倍率は1.18倍(2024年度2月7日時点)

神奈川県公立高校の2024年度の2月7日時点(志願変更締切時)の志願者数は47,330名で、倍率は平均すると1.18倍でした(※特別募集及び中途退学者募集を除く全日制課程)。

ただし、人気の高校とそうでない高校の倍率にはかなり差がある結果となっています。

【競争率の高い学校(全日制課程)TOP3】

学校名(学科・コース名)倍率(2月7日時点)
県立横浜翠嵐(普通科)2.14倍
横浜市立横浜サイエンスフロンティア(理数科)1.67倍
川崎市立橘(国際科)1.64倍

県立高校の普通科で、1.5倍を超える高校は以下の7校のみで、他の高校は1.5倍を下回っています。

【県立高校普通科で倍率が1.5倍を超える高校】

学校名倍率(2月7日時点)
県立横浜翠嵐2.14倍
県立多摩1.63倍
県立湘南1.63倍
県立横浜南陵1.59倍
県立横浜緑ケ丘1.59倍
県立鎌倉1.52倍

なお、募集定員に満たなかった全日制の高校もたくさんあり、県立29校・市立2校が定員割れ(倍率1倍未満)となっています。

神奈川県の公立高校を目指す上では、倍率がそれほど高くない高校が多い一方で、横浜翠嵐高校や多摩高校など、人気の高校の倍率は高くなっている点に注意が必要です。

1-3. 推薦入試はなく受験機会は【1回だけ】

神奈川県高校入試は、推薦入試は行われず、受験機会が2月中旬に行われる「共通選抜」の1回だけという特徴があります。

神奈川県公立高校の全日制・定時制・通信制では、一斉に「全県共通のテスト」を受けて入学者を選抜します。このテストのことを「共通選抜」といいます。

全日制の選考は第1次選考と第2次選考がありますが、これも、元になる筆記試験(学力検査)は同じもので、選考の仕方を変えたものとなっています。

共通選抜の内容は、全日制と定時制は「学力検査(3教科〜5教科)」、通信制は「作文」となります。

【共通選抜の内訳・詳細】

募集定員検査の内容選考
全日制募集定員の100%を共通選抜で決める全日制の学力検査5教科(※1)
・英語(リスニングあり)
・国語
・数学
・理科
・社会
・第1次選考で募集定員の90%までを選抜
・第2次選考で残りの10%を選抜
定時制募集定員の80%を共通選抜で決める
(※2)
定時制の学力検査3教科
・英語
・国語
・数学
通信制作文

※一部のクリエイティブスクールは選考内容が異なるので注意してください。
※1:特色検査を実施する高校は、学力検査を3教科まで減らして実施することが可能です。
※2:定時制・通信制は、共通選抜が終わったあとに「定通分割選抜」を行い、残りの合格者を決めます。

1-4. 一律の面接選考は2024年度から廃止となった

2024年度(令和6年度)から、一律に行われていた面接選考が廃止されました。

「特色検査」の中で面接やディスカッションなどを行う高校は一部残りますが、全校の選考で行われていた面接選考はなくなりました(クリエイティブスクールは除く)。

2023年度(令和5年度)までは、①内申点+②学力検査+③面接+④特色検査(一部高校のみ)の4つで合否が決まっていました。

しかしながら、2024年度(令和6年度)からは「面接」が廃止され、【①内申点+②学力検査+③特色検査(一部高校のみ)】の3つで合否が決まるように変更されています。

2 神奈川県公立高校入試の選考は2段構えになっている

ここからは、神奈川県公立高校の全日制の選考の仕組みについて、詳しく解説していきます。

神奈川県公立高校(全日制)の入試では、「第1次選考」と「第2次選考」の2段階で、募集定員の100%を決める仕組みとなっています。

2月実施の共通選抜で「定員の100%を募集」するとはどういう意味かというと、他の都道府県とは違い、推薦入試がなく、前記日程・後期日程などもないため、2月の入試1回だけで、合否が完全に決まるということです。

なお、第1次選考と第2次選考となっていますが、学力検査は2月中旬に行われる1回だけです。第2次選考で改めてテストがあるわけではないので注意しましょう。

2-2. 第1次選考の合否の決まり方(募集定員の90%の合格者を決定)

神奈川県公立高校入試(全日制)の第1次選考では、各高校の募集定員の90%の合格者が決まります。例えば、募集定員が300人の場合、270人の合格が第1次選考で決まります。

第1次選考は、【①内申点】+【②学力検査】+【③特色検査(一部高校で実施)】の合計点が高い応募者から順番に合格し、募集定員の90%までが合格となります。

それぞれの点数は100点満点に換算されて合計点を出します。ただし、3つの配点比率は、高校によって異なります。

例えば、「内申点4:学力検査6」のような学力重視の高校もあれば、「内申点7:学力検査3」のような内申点重視の高校もあります。

合否の決まり方の具体例については、「5.神奈川県公立高校の選考の具体例を3ステップで解説」で後述します。

2-3. 第2次選考の合否の決まり方(募集定員の10%の合格者を決定)

第1次選考で募集定員の90%が決まったあと、残りの10%は第2次選考で決定されます。

第2次選考は、【①学力検査】+【②調査書の「主体的に学習に取り組む態度」の評点】+【③特色検査(一部高校で実施)】の合計点が高い応募者から順番に合格し、募集定員100%に達するまでが合格となります。

調査書の「主体的に学習に取り組む態度」の評点とは?
第2次選考では、内申点の代わりに、調査書の「主体的に学習に取り組む態度」の評点が選考対象となります。選考に使用されるのは、中学3年生の12月の成績となります。
主体的に学習に取り組む態度は、A(3点)、B(2点)、C(1点)の3段階評価で、9科目×3段階=27点満点で点数化されます。

それぞれの点数は100点満点に換算されて、配点比率に応じて係数を代入して合計点(S2値)を出します。

配点比率は高校によって異なりますが、多くの高校で「学力検査8:主体的に学習に取り組む態度2」または「学力検査7:主体的に学習に取り組む態度3」で、特色検査がある場合の配点は「1」か「2」が別で設定されています。

第2次選考の合否の決まり方の例

ステップ1:
B値(学力検査)、C値(調査書の「主体的に取り組む態度」)、D値(特色検査)のそれぞれの得点を、全て100点満点に換算する

例えば、学力検査は85点、主体的に学習に取り組む態度は80点、特色検査は90点になったとします

ステップ2:
高校ごとの配点比率に応じて係数を代入して、合計点(S2値)を出します。
計算式=【学力検査比率×B値】+【調査書比率×C値】+【特色検査×D値】=S2値

例えば、「学力検査8:主体的に学習に取り組む態度2:特色検査1」の場合、
【8×85点】+【2×80点】+【1×90点】=930点

ステップ3:
S2値が高い人から順番に、募集定員の100%までの人が合格

第2次選考では、内申点の代わりに調査書の「主体的に学習に取り組む態度」の評点が選考対象になります。また、学力検査の配点が第1次選考よりも高くなるため、内申点が低くても受験当日のペーパーテストの成績がよければ、第1次選考で合格できなくても第2次選考で合格できることがあります。

3. 神奈川県公立高校入試の合否を決める4要素

神奈川県公立高校の合否を決める4要素は、①内申点(A値)、②学力検査(B値)、③主体的に学習に取り組む態度(C値)、④特色検査(D値)の4つです。

第1次選考(募集定員の90%を選考)と第2次選考(残りの10%を選考)で、以下のように選考の際に用いられます。

まずはこれらの、4つの要素について解説していきます。

3-1. A値:内申点(中学2年生と3年生の通知書が基本)

神奈川県公立高校の第1次選考の基準となるものに「内申点」があります。

内申点は【中学2年生の9教科の成績+中学3年生の9教科の成績を2倍したもの】が点数となり、合計で135点満点となります。

ただし、3教科以内・各2倍まで特定の教科を重点化することができるため、高校や学科によっては内申点が変わることがあります。

例えば、中学2年生3学期の評点が全て3、中学3年生2学期の評点が全て4の場合、
(3+3+3+3+3+3+3+3+3)+(4+4+4+4+4+4+4+4+4)×2=99点となります。

3-2. B値:学力検査(全県共通で行われる筆記テスト)

神奈川県公立高校(全日制)では全県共通で、2月中旬に、5教科の「学力検査」が1回だけ実施されます。第1次選考も第2次選考も、この1回の学力検査の内容が選考対象となります。

全日制の共通選抜として行われる「学力検査」は、原則5教科(英語・国語・数学・理科・社会)が実施されます。ただし、特色検査を実施する高校は、3教科や4教科で選考する学校もあります。

【全日制の学力検査の内容】

時間方式
英語50分マークシート方式+記述式(リスニング問題あり)
国語50分マークシート方式+記述式
数学50分マークシート方式のみ
理科50分マークシート方式のみ
社会50分マークシート方式のみ

神奈川県の公式サイトに、2023年度(令和5年度)の学力検査問題が掲載されているので、どんな問題が出るのか事前に確認しておくことをおすすめします。

5教科全て、満点は100点です。ただし高校の判断で、2教科以内、各2倍の範囲で傾斜配点を付けることができるようになっています。

学力検査の内容は、「思考力・判断力・表現力などを測る内容」となっています。

3-3. C値:主体的に学習に取り組む態度(調査書の一部)

第2次選考では、内申点の代わりに選考対象となる、調査書の「主体的に学習に取り組む態度」の評点が選考対象となります。選考に使用されるのは、中学3年生の12月の成績となります。

主体的に学習に取り組む態度は、A(3点)、B(2点)、C(1点)の3段階評価で、9科目×3段階=27点満点で点数化されます。

3-4. D値:特色検査(一部の高校で実施される)

一部の公立高校では、学力検査では測ることのできない総合的な能力や特性、個性、自己表現力などを測るために「特色検査」を実施しています。

高校や学科・コースごとに「特色検査」の内容が異なっており、その高校や学科が求める人材を合格させるためのシステムとなっています。

特色検査には、「①自己表現検査」、「②実技検査」、「③面接」の3種類があり、共通の問題を使う場合もあれば、学校独自の検査を行う場合もあります。

①自己表現検査

横浜翠嵐高校・湘南高校などの「学力向上進学重点校(8校)」および「エントリー校」は、県共通で用意した共通問題+共通選択問題を用いた特色検査(検査時間60分)が実施されます。

具体的には、提示された文章や資料を読み取って、各教科を横断した知識や論理的思考力、判断力、情報活用能力、想像力などを使って答えを出すような問題が出されます。

また、学校独自の自己表現検査を行う高校では、スピーチやグループディスカッション、プレゼンテーションなどで検査を行います。

参考:令和6年度 自己表現検査の概要|神奈川県公式サイト

②実技検査(芸術系・スポーツ系の学科で実施)

デザイン科、美術科、音楽科、スポーツ科などの学科では、独自の実技検査が実施されます。具体的には、デッサンを提出する、球技を行う、学期を演奏するのような実技試験が行われます。

参考:令和6年度 実技検査の概要|神奈川県公式サイト

③面接

令和5年度までは全校の選考で行われていた「面接」を、令和6年度も実施する高校や学科もあります。

面接で評価されるポイントは、入学希望理由、高校生活に対する意欲、面接態度などです。以下資料に各校の評価の観点が記されているので、事前に確認して対策を行いましょう。

参考:令和6年度 実技検査の概要|神奈川県公式サイト

4. 神奈川県公立高校の配点比率一覧

神奈川県公立高校(全日制)の第1次選考および第2次選考で用いられる配点比率の一覧表を以下に掲載します。

なお、全部を載せることは難しいため、ここでは学力向上進学重点校および学力向上進学重点校エントリー校を掲載します。

【神奈川県公立高校入学者選抜選考基準(抜粋)】

学校名第1次選考第2次選考
比率学習の記録(評定)学力検査特色検査学力検査主体的に学習に取り組む態度(評価)特色検査
横浜翠嵐
湘南
柏陽
厚木
川和
横浜緑ケ丘
多摩
小田原(単位制普通科)
希望ケ丘
横浜平沼
光陵
横浜国際(単位制普通科)
横浜国際(国際バカロレアコース)
横須賀(※1)
鎌倉
茅ケ崎北陵
平塚江南
大和
相模原

※2024年度(令和6年度)入試共通選抜の比率です。
※特に記載が無い場合、学科は普通科となります。
※1:横須賀高校は、 英・国・数(×2)の傾斜配点があります。

上記以外の高校については、令和6年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要にある選考基準PDFをご覧ください。

5. 神奈川県公立高校の選考の具体例を3ステップで解説

ここからは、神奈川県公立高校入試で合否が決まる仕組みを具体的に3ステップで解説していきます。

ここでは、例として、横浜翠嵐高校の第1次選考の配点比率を用いて、詳しく解説していきます。

5-1. 準備:それぞれの得点を全て100点満点に換算する

まずは、選考に使う3要素の得点をそれぞれ100点満点に換算します。

※D値の満点は高校ごとに異なります。

中学2年生の9教科の内申合計(45点満点)+中学3年生の9教科の内申合計(45点満点)×2=合計135点満点を、100点満点に換算します。

例えば、内申合計が117点の方は、117点÷135点×100=86点(小数点以下切り捨て)となります。

※内申点は3教科で各2倍以内の範囲で傾斜配点される場合があります。

学力検査の各教科(100点満点)の得点合計を100点満点に換算します。

例えば、5教科の合計点が365点だった場合、365点÷500点×100=73点(小数点以下切り捨て)となります。

※学力検査の実施教科は、特色検査を実施する場合3〜4教科での実施となる場合があります。
※学力検査は、2教科以内で各2倍以内の範囲で傾斜配点される場合があります。

C値/【第2次選考において】調査書の「主体的に学習に取り組む態度」

調査書の「主体的に学習に取り組む態度」の評点(中学3年生の12月の成績)を、100点満点に換算します。主体的に学習に取り組む態度は、9科目×3段階=27点満点で点数化されます。

例えば、主体的に学習に取り組む態度の合計点が23点の方は、23点÷27点×100=85点(小数点以下切り捨て)となります。

特色検査の観点ごとの得点合計を100点満点に換算します。

例えば、特色検査の点数が150点満点中120点だった場合、120点÷150点×100=80点(小数点以下切り捨て)となります。

5-2.【第1次選考】配点比率の係数をかけてS1を出して合格者を決定(募集定員の90%)

第1次選考では、A値(内申点)とB値(学力検査)とD値(特色検査)で選考が行われます。それぞれ100点換算した点数に、高校や学科ごとに定められた「配点比率」をかけて、S1値を計算します。

例えば、内申点の100点換算が86点、学力検査の100点換算が73点、特色検査の100点換算が80点で、それぞれの比率が3:7:3の場合、

S1値=(86点×配点3)+(73点×配点7)+(80点×配点3)=合計1007点となります。

あとは、S1値が高い人から順番に、募集定員の90%までの人が合格となります。

例えば、募集定員が358名の場合、S1値を高い順に並べて、358名×0.9=322名(小数点以下切り下げ)までが第1次選考での合格者となります。

残りの36名の枠を埋めるため、引き続き第2次選考が行われます。

5-3.【第2次選考】配点比率の係数をかけてS2を出して合格者を決定(募集定員の残り10%)

第2次選考では、B値(学力検査)とC値(内申書の「主体的に学習に取り組む態度」)とD値(特色検査)で選考が行われます。それぞれ100点換算した点数に、高校や学科ごとに定められた「配点比率」をかけて、S1値を計算します。

例えば、横浜翠嵐高校の場合、第2次選考の「学力検査:主体的に学習に取り組む態度:特色検査の配点比率」は、「8:2:2」です。

学力検査の100点換算が73点、主体的に学習に取り組む態度の100点換算が85点、特色検査の100点換算が80点で、それぞれの比率が8:2:2の場合、

S2値=(73点×配点8)+(85点×配点2)+(80点×配点2)=合計914点となります。

あとは、S2値が高い人から順番に、募集定員の残り10%の人が合格となります。

募集定員が358名で、第1次選考で既に9割の322名の合格が決まっている場合、残りは36名です。S2値が高い順に36番目までの方が、第2次選考で合格となります。

6. 神奈川県公立高校の出願から合格発表までの流れ

神奈川県公立高校の入試の流れを、出願から合格発表まで見ていきましょう。

なお、2024年度(令和6年度)の全日制課程のスケジュールは以下のとおりです。

【2024年度(令和6年度)の神奈川県公立高校入試日程】

募集期間

募集期間2024年1月24日(水)~1月31日(水)まで
※土日を除く
志願変更期間2024年2月5日(月)~7日(水)まで
※連携型中高一貫教育校連携募集は除く
学力検査2024年2月14日(水)
面接及び特色検査の期日2024年2月14日(水)、15日(木)、16日(金)
※連携型中高一貫教育校連携募集は2月15日(木)のみ
※インクルーシブ教育実践推進校特別募集は2月15日(木)及び16日(金)のうち、当該高等学校長の定めた期日
合格発表2024年2月28日(水)

7. 神奈川県公立高校入試を有利に進めるための3つのポイント

最後に、神奈川県公立高校入試を有利に進めるためのポイントを紹介します。

神奈川県公立高校入試を有利に進めるための3つのポイント

・中学2年生から内申点を意識して早めに対策を行う

・配点比率(内申点重視かテスト重視か)と自分の強みを意識する

・志願変更のチャンスも上手く活用する

7-1. 中学2年生から内申点を意識して早めに対策を行う

神奈川県公立高校の内申書に記載される内申点は、中学2年生(3学期の通知表の成績)+中学3年生(2学期の通知表の成績)で、中学3年生の成績は2倍されます。

中学3年生の成績のほうが比重が大きいとはいえ、中学2年生の成績も内申点に記載されるため、内申点対策は早めに行うことをおすすめします。

なお、内申点対策を行う場合には、「定期テストの点数だけ良くてもダメ」ということを意識しましょう。内申点の基となる通知表の評点は、以下の3つの観点から評価されるからです。

【通知表の評価3つの観点】

①知能・技能定期テストや単元テストなど、ペーパーテストの成績を評価
②思考・判断・表現レポートや発表、制作物などの内容を評価
③主体的に学習に取り組む態度課題の提出状況や授業中の態度などを評価

定期テストや単元テストの成績はもちろん、レポート・発表・制作物などの思考力や表現力、さらには課題をしっかり提出して授業を真剣に聞く姿勢も評価されます。

なお、上記の「③主体的に学習に取り組む態度」は、第2次選考の合否にも大きく関わるので特に意識しましょう。

内申点の仕組みについては「内申点とは」の記事を、内申点が足りない場合の対処法については「高校受験で内申点が足りない!5つの対処法と今から内申を上げる方法」の記事もぜひ参考にしてください。

7-2. 配点比率(内申点重視かテスト重視か)と自分の強みを意識する

ここまで説明した通り、神奈川県公立高校の入試では、4つの要素によって合否が決まります。そして、配点比率は、「どの高校を受験するかによって結構違う」というのがポイントです。

例えば、第1次選考(内申点・学力検査・特色検査)の配点が「3:7:3」の高校と「4:6:1」の高校があったら、前者の方が当日の学力検査を重視してくれることがわかります。

※一般的には、難易度が高い上位校ほど、学力検査の比重が高めとなっています。

もし、内申点があまり良くない場合、同じ偏差値レベルの高校で迷ったら、内申点の配点が低い高校を選ぶという戦略を取るということができます。また、特色検査が苦手な場合は、特色検査の配点が低い高校を選ぶなどの選択もできます。

このように、志望校を決定する時や戦略を考える時には、各高校の配点比率を比較したり、自分はどこが強みなのか分析したりすることが重要となります。

7-3. 志願変更のチャンスも上手く活用する

神奈川県公立高校の入試では、受験直前に1回だけ志願変更ができるので、そのチャンスも上手く活用することが重要です。

1月終わり頃に応募者の出願状況が出揃ったあと、2月頭ごろに出願倍率の発表があり、出願倍率を見て1回に限り志願変更ができます

つまり、「出願した志望校の倍率が思ったよりも高いから、ランクを下げて定員割れしている高校に変更する」といったことが可能なのです。

ただし、同じように高倍率の高校から低倍率の高校に志願先を変える応募者は多いはずですので、志願変更することで低倍率の高校の倍率が上がる可能性は十分に考えられます。

志願変更するかどうかは最後は自分で決断する必要がありますが、志願変更も戦略のひとつであることを覚えておくとよいでしょう。

まとめ

本記事では、神奈川県の公立高校入試の仕組みなどについて解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

神奈川県公立高校入試の概要

・どの高校を受験しても良い「全県一学区制」である
・神奈川県公立高校の倍率は1.18倍(2024年度2月7日時点)
・推薦入試はなく受験機会が【1回だけ】である
・一律の面接選考は2024年度から廃止となった

神奈川県公立高校入試の選考は2段構えになっている

・第1次選考は、【①内申点】+【②学力検査】+【③特色検査(一部高校で実施)】の合計点が高い応募者から順番に合格し、募集定員の90%までが合格
・第2次選考は、【①学力検査】+【②調査書の「主体的に学習に取り組む態度」の評点】+【③特色検査(一部高校で実施)】の合計点が高い応募者から順番に、定員100%に達するまでが合格

神奈川県公立高校入試の合否を決める4要素

・A値:内申点
・B値:学力検査
・C値:主体的に学習に取り組む態度
・D値:特色検査(一部高校のみ)

神奈川県公立高校の選考を3ステップ

・準備:それぞれの得点を全て100点満点に換算する
・【第1次選考】配点比率の係数をかけてS1を出して合格者を決定(募集定員の90%)
・【第2次選考】配点比率の係数をかけてS2を出して合格者を決定(募集定員の残り10%)

神奈川県公立高校の出願から合格発表までの流れ

・出願提出(1月終わり)
・出願変更(2月初め)
・学力検査・特色検査・面接などを実施(2月中旬)
・合格者発表(2月の終わり)

神奈川県公立高校入試を有利に進めるための3つのポイント

・中学2年生から内申点を意識して早めに対策を行う
・配点比率(内申点重視かテスト重視か)と自分の強みを意識する
・志願変更のチャンスも上手く活用する

神奈川県公立高校入試は、志望校によって比率が違ったり、特色検査の内容が異なったりするため、志望校に合わせた対策が重要です。また、内申点の対策を早めに行うことも大切です。
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