高校受験・入試
【2022 高校受験】神奈川 公立高校の入試制度が丸わかり!配点のしくみを理解し、強みを活かした受験を!
神奈川県の公立高校を受験する方に向けて、入試の仕組みや検査内容をわかりやすくご紹介します。
2022年度(令和4年度)入試の変更点をはじめ、今年度も1校追加となった特色検査(自己表現検査)実施校。その合否判定に使用する配点比率表から読み取れる特徴についてお届けします。
ぜひ、以下よりご覧ください。
神奈川県の公立高校 入試制度・変更点を把握しよう!
神奈川県 公立高校入試制度では、共通選抜は1回のみ、選考は2段階に分けて行われます。
「共通選抜」とは??
まず、全日制課程のすべての高校で共通して実施されるものが次の2つです。
●学力検査(国語・社会・数学・理科・外国語)
●面接(個人面接)
上記に加え、横浜翠嵐高校や湘南高校をはじめとする学力向上進学重点校・エントリー校など高校・学科によっては実施されるのが次の検査です。
●特色検査(自己表現検査または実技検査)
※横浜国際高校が学力進学重点校エントリー校に指定され、昨年度から1校追加された計18校となりました。
※2022年度(令和4年度)神奈川県公立高校入試の特色検査では、すべての学力向上進学重点校と学力向上進学重点校エントリー校において、共通問題と共通選択問題を用いて実施します。
※学校独自の自己表現検査を実施する高校を含めると県内の全日制では25校で特色検査を実施しています。
選考方法は??
神奈川県の公立高校入試は次の2段階で選考を行います。
第1次選考
・募集定員の90%までを選考
・「調査書の評定(中2・中3の内申点)」+「学力検査の得点」+「面接の得点」+(学校によっては「特色検査の得点」)で選考されます。
●第2次選考
・募集定員の10%を選考
・調査書の評定(中2・中3の内申点)を除いた、得点の上位から選抜します。
※第2次選考では内申を評価しない為、本番に発揮した結果(学力検査の得点)次第では合格となる可能性があります。
一般的に、学力向上進学重点校や同エントリー校などをはじめとする難関校ほど「学力検査」を重視する傾向にあります。
1次選考で定員の90%の合格が決定する為、受験生が志望校を決定する際には1次選考を重視するのが一般的な考え方です。ただし、同じ試験で判定を2回出すというこのシステムでは、2次選考が当日の試験結果と面接(と特色検査)で合否判定されるため、内申の得点が少ない受験生にも合格のチャンスがあるといえます。
受験生本人にとって「絶対に行きたい学校がある」場合、1次選考合否ラインに対して厳しい状態でも、2次選考の合否ラインを倍率もにらんで予測し、合格可能性を探るケースもあります。
2022年度(令和4年度)の変更点
2021年度入試では、
・神奈川総合高校「舞台芸術科」新設
・瀬谷西高校・逗子高校・相模原総合高校の募集停止
・川崎市立川崎高校が「普通科」の高校入試外部募集を停止
などの変更がありました。
2022年度(令和4年度)入試の変更点は次の通りです。
・横浜国際高校が学力向上進学重点校エントリー校に指定されました。特色検査「共通問題/共通選択問題」は横浜国際を含めた計18校で実施されます。
気になる合否判定の方法とは??
まずは合否判定を決める得点のシステムについて見ていきます。
A値/内申
中学2年生の9教科の内申合計(45点満点)+中学3年生の9教科の内申合計(45点満点)×2=合計135点満点
※100点満点に換算した数値を(a)とする。
B値/学力検査
学力検査(3~5教科)各教科の得点合計 ※100点満点に換算した数値を(b)とする。
C値/面接
面接の観点ごとの得点合計 ※100点満点に換算した数値を(c)とする。
D値/特色検査
特色検査の観点ごとの得点合計 ※100点満点に換算した数値を(d)とする。
A~D値は全ての数値を100点満点に換算し直した(a)~(d)で合否判定されます。
合否判定では、内申点/学力検査/面接/特色検査のうち”どれで勝ちにいくのか”を見極めて、他の受験者と比べて自分の強みを発揮しやすいもので入試を突破していけるという趣旨のシステムになっています。
学校の成績をA値(内申点)に変換していくため、「A値=実力(偏差値)では?」と思われる方も多くいらっしゃると思います。
しかし偏差値は、おおむねA値と7割程度関係していることがわかっています。
つまり、A値はある程度は実力を示した指標ではあるけれども、完全に実力を表したものではないので、それだけで受験校決定に至ることは避けた方がいいでしょう。
ちなみにA値(内申)決定要因の大部分を占める「学校の定期試験」は、地域・中学校・先生によって難易度が大きく異なっています。こちらの中学では平均80点取れるテストが出題され、あちらの中学では平均50点ということが起きている状態です。
また、中学校によっては圧倒的スピードでカリキュラムを前倒して進め、中3の後期からは復習に入るという早いスピードで指導する学校もあれば、中3内容が終わるのが入試後という学校もあります。その為、A値(内申点)だけを実力とみなすことはとても難しく、模試の結果と併せて見ていくことが重要です。
中学校では学習指導要領改訂初年度ということもあり、今後入試制度について変更がないかも確認していくことが重要です。
特色検査実施校の配点比率から見えることとは?
「共通/共通選択問題」特色検査実施校を例に、第1次・2次選考の配点比率から各高校がどんな人材を求めているかを見ていきます。
(*1)横須賀高校は重点化項目を設けています。[調査書] 英,国,数(×2)
(*2)横浜国際は評定4:学力検査4:面接2:特色検査1、国際バカロレアコースは特色検査比率が2となります。
※神奈川県発表資料より抜粋
上記表の「内申点」と「学力検査」という2つの配点比率をだけを見ても大きな合否に関わる違いがあります。例えば内申:学力検査の比率が2:6の翠嵐高校と、4:4の川和高校を比べて見ていきます。
内申点が4だったものを5に上げることはとても大変なことです。定期試験の点数を大幅に上げて、提出物の質を上げて、授業態度を良くして…といった状態を数カ月間やり続けてやっと取れるのが内申点5だと思います。
しかし、やっとの思いで手にいれた内申点1ポイント分は、入試本番の学力検査5科500点でいうと正解の丸1つで追いつけてしまうケースもあります。
A値(内申)1ポイント分を挽回するのに必要な学力検査の得点で見ていくと、
・横浜翠嵐高校の配点比率では、学力検査およそ1.2点分に値し、漢字の正答1問分(1問2点)程度で挽回できる
・川和高校の配点比率では、学力検査およそ3.7点分に値し、選択問題1個分(1問4点)程度の正答で挽回できる
となります。
A値(内申)1ポイントで上記の差となる為、A値(内申)が10ポイント足りないとなった場合には、
・横浜翠嵐高校で12点分
・川和高校で37点分
となります。
この場合、横浜翠嵐高校では他の翠嵐受験者より5科目合計で2~3問多く得点すれば挽回できるものが、川和高校の場合は他の川和受験者より37点分と非常に多く、入試問題が簡単で受験者の点数差がつかなくなってしまうと挽回が不可能な差となってしまいます。
このように、各高校の配点比率を見比べ、自分の志望校に合格する為には何で勝負すると良いかをしっかりと見極める必要があります。
「面接」は得点差がつく学校と、つかない学校
神奈川県の公立高校入試では受検者全員に面接試験が課されています。
面接は、受験生ひとりにつき10分程度の個人面接試験が行われます。面接官となる高校の教員はだいたい2名以上で、出願時に志望理由や自己PRを記入した面接シートを提出し、その面接シートと調査書の内容を参考に面接が進められます。
面接には 得点に差が付く学校と、差がつかない学校がある
面接で差の付く学校の場合は合否に影響することもある反面、差がつかない学校では一番面接の得点が高い受験生と一番低い受験生の差が1点もついていないという学校もあります。
しかし、どの受験生も面接シートに自己PRを書いて高校に提出する必要はあるわけです。
また面接を受けるからには、伝えることだけはしっかり伝えきりたい、グダグダで終わって後味の悪い面接はしたくない、という想いは皆さんあるかと思います。
面接で差があまりつかない高校を受験するとしても、後悔なく自分をPRできる程度になるにはある程度練習は必要になるでしょう。
面接を重視する学校を受験するなら、さらに努力が必要
面接官となる高校の先生方は、1日に何十人もの受験生を面接します。各高校において設けられた採点指標をもとに、評価シートに各受験生の面接結果を都度記入してはいくものの、実際には採点官は面接を繰り返すなかで他の受験生と比べてどうか…といった相対的な評価を無意識に考えてしまうものです。
面接を重視する学校を受験する場合には、採点官の目に「あの子の面接は良かった!」と、キラリと印象に残るレベルにまで仕上げていく必要があります。学校が欲しい生徒像にマッチしたアピールポイントを探し、それを本番でしっかり伝えきれるような面接が求められます。こうした面接レベルに達するには、面接を重視しない学校を受ける生徒に比べて数倍も時間を掛けて練習していくこととなります。
“受験する学校が何を重視しているのか”、”自分は何が強みなのか”、ということを総合的に考えていくことが大切です。
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