INTERVIEW 007

この記事をシェアする

「子どもが将来なりたい職業」を突撃取材する本企画。
7回目となった今回は、どうしてもご紹介したい「ジョブコーチ」のお仕事を番外編としてお届けします!
取材したのは、障害者雇用の現場でどんな人もイキイキと働ける環境づくりに奔走するひとりの女性。
ご自身に立ちはだかるさまざまなハードルも笑顔で乗り越える、タフな働く新米ママに脱帽です。

答えてくれる人

株式会社湘南ゼミナールオーシャン
ジョブコーチ(職場適応援助者)

小川 由実子 さん
(文教大学 人間科学部出身)

― ジョブコーチとは、どのような仕事なのでしょうか?

photo-02.png

本来ジョブコーチと呼ばれる資格を持つ人の多くは、障害者向けの就職予備校のようなところ(支援機関)に所属しています。
障害者が働くための支援スタッフとして、障害者と就労先企業の橋渡しをするような役割を担います。
私がジョブコーチとなった当初は、こうした支援機関で知的障害や身体障害、精神障害などあらゆる障害を持つ方のサポートに携わっていました。

精神障害者に特化して雇用する株式会社湘南ゼミナールオーシャン(以下、オーシャン)へ転職したのは、障害のある方がお仕事に就いてからのサポートにも深く関わりたいと思ったからです。

―具体的にはどんなことをしているのですか?

精神障害があるといっても、皆さんお仕事ができる方ばかりです。
それでも障害の特性上やりづらいものが出てきてしまうことがあります。そこで私たちサポート側のスタッフが、作業を進めてもらい易くするために、全ての行程を分解し、細分化して組み立てていきます。

障害のある方もない方も、それぞれに自分の強み・弱みがあります。
ジョブコーチは、障害があるなかでも、“強みを伸ばしていくためにどういったアプローチが有効か"をお伝えしていくのが1つの大きな役割です。

子育てにも奮闘中だという小川さん。その生活ぶりはとってもハード!

― 精神障害の方が働きやすくなるよう支援する仕事…といっても、サポート範囲は
幅広いのではないでしょうか。仕事と子育ては、どう両立させていますか?

photo-03.jpg

いろいろな人が働いている中で、人間関係のことや、体調が悪い為にネガティブになり 「どうしても今から話を聞いて欲しい」と相談されることがあります。
こうした場合、プライベートなことや医療的な側面はサポートする専門機関がありますから、 そちらをご案内します。ただ、どうしても私の役割として、障害のある方が面談を必要とする 状態にある場合、「じゃあ明日の〇時頃なら空いているから!」というわけにはいきません。 自分の予定を変更してでもサポートをさせていただく必要がある時には向き合っています。

…とはいえ、私も保育園のお迎え時間など制約もあるので、他の支援スタッフにお願いすることも多々あります。(汗)

ただ、オーシャンが大事にしているのは、障害者が主体性を発揮できるようセルフケアの力を伸ばすことです。オーシャンでなければやっていけないという人材にならないよう、ケア方法を身に付けてもらうことに注力しています。

photo-12.jpg

仕事、子育てと忙しい日々を過ごす小川さん。多忙な合間を縫って、高校生の頃から続けるダンスの経験を活かし、趣味でダンスを教える活動もしているのだとか!

ダウン症の方は、太りやすい傾向にあるので、楽しく身体を動かせる機会が作れないかとご相談いただいたことをきっかけに活動をスタートしました。
小学生のお子さんが親子で参加してくれて、一緒に楽しく踊っています。(小川さん)

photo-05.png

― 小川さんは「障害」について、どのように捉えて向き合っていますか?

私の兄が、自閉症でかつ重度の知的障害があります。
小さなころから障害に対して偏見を持つことはなく、むしろ偏見を向けられた方だったのかもしれません…。
兄に対してもそうですが、こういった仕事をさせてもらって思うのは、知れば知るほど違う存在ではないというか、自分と何も変わらないと思うんです。

今の私は自分の子どもが2歳で手が掛かり、母が病気で不安定な状況です。
それもあってテレワークをする日があるのですが、本当はテレワークという形態は自分には合っていないと思っていて‥‥。日常生活や仕事をする上で、サポートがないと苦しい…こうした条件はその人にとってある意味“障害”なわけです。
障害者の場合は、“病気”が障害なんだと。ですから、“障害だから”という風に思うことはありません。

― そう感じている小川さんにとって、障害者の支援をする仕事に就こうと思ったきっかけはどんなことだったのでしょうか?

兄が通っていた養護学校(現在は特別支援学校)で行事があると、私もよく一緒に行っていました。
養護学校に通う皆さんと一緒に楽しい時間を過ごすうちに、漠然と「いつか養護学校の先生になりたい」と思うようになりました。
それからずっと、私にとって障害のある方のサポートに就く仕事は、“楽しい”という印象なんです。

― 仕事をする上で、大切にしていることは何ですか?

photo-14.jpg

障害の有無に関係なく、一人ひとりがどういう人かを気を付けて見るようにしています。
私自身もいろんな障害の方と接してきました。すると、鬱の人、発達障害のある人…と括りたくなることがあるんです。
それは障害のない人の場合も同じで、融通が利くひと、頭堅い人…みたいな。

でも実際は診断名が同じだからといっても症状は違いますし、考え方も経験も家庭環境も違います。
ですから、「この人ってどういう人なのかな?」「どういう風に言えば伝わるのかな?」と、できる限りその人自身を見ることを意識しています。

― この仕事を目指す上で、活かせるスキルはありますか?

私は小さな頃から人を観察するのが好きでした。小学生の時には、一人ひとりの名前をかいたプロフィールを作っていたくらい。(笑)
ジョブコーチの役割として、「アセスメント」という役割があります。これは個人の行動や考え方の特性を記録して支援計画に活かすというものですが、そこで自分の感じたことを書くのではなく、どう見えているのか、仮説に対しても根拠を必要とします。

仕事をする上でなんとなく感覚で習得したとしても、それを他の人に伝達・言語化して伝えることは難しいですよね。この仕事をする上では、自分が感じたことの根拠をとり、しっかり言語化して他の人に伝えられるスキルがとても大切だと思います。

― この仕事の魅力をどんな時に感じますか?

仕事をしながら、ふと担当するスタッフさんから「そういえば今日で入社6年目になるんです」と言われた時には、とても嬉しい気持ちになります。
特に精神障害がある方は長続きが難しいと言われているからです。

発達障害や精神障害の方は、障害が目に見えないものです。
身体障害がある方の場合、車いすを使っていれば「段差をなくした方がいいですね」「ここは広くした方がいいですね」など、他の人から見て配慮の方法が分かります。
一方で精神障害のある方は、一緒に働いていても本当に普通に仕事ができているように見えるんです。
でも実は、いきなり知らない人が会社に来たりすると緊張して手が止まってしまうなど、症状が見過ごされてしまうことが多くあります。

オーシャンでは、精神障害の方が在籍スタッフの8~9割なので、職場の定着率が高いということは本当に嬉しい結果です。セルフケアの方法を身に付けて、オーシャンでの経験を活かしステップアップ できるようにサポートを続けていきたいです。そして、まずは目の前にいる人たちに幸せになってほしいと思っています。

ちなみに、ジョブコーチになるには・・・

ジョブコーチ(職場適応援助者)には、「配置型」、「訪問型」、「企業在籍型」の3種があります。
企業で活躍する「企業在籍型」の場合、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修または、厚生労働大臣が定める企業在籍型職場適応援助者要請研修を修了する必要があります。
障害者の職場適応におけるさまざまな課題に対し、障害特性を踏まえた専門的な支援を要するため、知識はもちろんのこと、一人ひとりに対して必要なサポートを見極める観察力も欠かせません。
人が好きであること、そして視野を広く物事を多角的に見られる方に向いています。

― 以上、子どもの夢の現場よりお届けしました。 ―

湘南ゼミナールオーシャンとはこんなところ!

全国に小・中・高校生向けの学習塾263教室を展開する「湘南ゼミナール」が、障害者雇用促進のため神奈川県内初となる学習塾の特例子会社として設立。
「自分たちの未来は、自分たちで創る」という理念のもと、働く意欲のある人が互いの可能性を引き出し合い、社会貢献できる環境を持続するため、障害者自身の「セルフケア」と「ラインケア」に力を入れている。
障害者雇用における外部企業研修を受け入れている他、日本最大の職業リハビリテーション・研究実践発表会等にも登壇。
「K-STEP」というツールを活用し、社員自身がイキイキと働き続けるための「セルフケア」方法を全国へと発信している。

湘南ゼミナールオーシャン ホームページ
http://ss-ocean.com/

あなたははじめて夢を聞かれた時、
いくつの世界を知っていましたか?
この企画をとおして、将来やりたいこと、
自分がすきなこと、はたらく未来を
少しでも広げるきっかけになればと思います。
ぜひ今後も子どもの夢企画をお楽しみに!

湘南ゼミナール