男子中高生の夢の職業として、常に上位を占めるプロサッカー選手。
そこで今回、U-20ワールドカップ2019ではキャプテンを務め、東京五輪代表も伺う湘南ベルマーレの齊藤未月選手を取材しました。
藤沢生まれ、湘南ベルマーレ育ちの齊藤選手。そのクレバーでポジティブな魅力もぜひ感じてください!
答えてくれる人
湘南ベルマーレ
齊藤 未月 さん
(20歳/横浜翠陵高校・ウィザス高校出身)
小学校に入る直前に、父親が地元のサッカークラブのコーチをすることになったんです。
それで僕も父の勧めで入団したのがきっかけでした。だから好きとかいう以前の話で、実は6歳までボールに触れたこともなかったです。
そうなんです。おかげで小学校に入る頃には、自然と英語でコミュニケーションが取れていました。これは間違いなくサッカー選手としてもプラスになっていることで、海外でプレーすることも自然と視野に入りますし、外国の審判との意思疎通もはかりやすいです。
取材日当日は、湘南ベルマーレひらつかビーチパークでフィジカルトレーニングを行っていた齊藤選手。その真骨頂は、ボールを奪いに行く押しの強さにある。平日の朝にもかかわらずファンの姿も見られた。
実は自分の性格もインター仕込みというか、あそこで出来上がったところは大きいです。
少人数制だったので発言の機会が多く、疑問に思ったことは調べてみんなと共有するという文化があったので、人に伝えることも好きになりましたし、コミュニケーション自体も好きなんです。
まあ、めちゃくちゃ目立ちたがりやなんですよね。だから中高時代も人の前に立つような役回りを積極的に引き受けてました。
先輩であれ審判であれ、自分の意思をはっきりと伝えられるメンタルの強さとコミュニケーション力の高さも特筆すべき点だ。写真は、チームメイトと和気あいあいの一コマ。
あんまりないですね。そもそも僕、あんまり怒らない・言わないキャプテンって好きじゃないんです。叱ることもひとつ大事なキャプテンの仕事。
それこそU-20は即席チームなので、悪いプレーは悪いと伝えるようにして、チームをまとめるようにしました。
これは湘南ベルマーレの曺さん(曺貴裁元監督・湘南ベルマーレ)から盗んだやり方なんですけど、何も知らない人にとっては監督が一人の選手に対して叱っているようにしか見えなくても、それが実は選手たち全員へのアドバイスとしてみんなに受け入れられるような現象が湘南ベルマーレではよくあるんです。
僕自身、曺さんがチームの誰かを叱っていると、それがまるで自分への注意に聞こえる気がしていたので、そういったテクニックも意識して盗んで使ってます。
惜しくも敗れたU-20ワールドカップ韓国戦後の記者会見では、「負けたからといってサッカー人生が終わるわけじゃない」と気丈なコメント。来年の東京五輪やワールドカップへの挑戦をポジティブに語っていた。
スポーツ系の部活をやっている子って、授業中に寝てる子が多くないですか?でも僕はほとんど起きてたんです。というのも僕の場合、練習後はヘトヘトで勉強できなかったので、基本的に授業の間にすべて覚えてしまえるよう、ノートの取り方も工夫していました。
あとは学校の行き来で使う電車の中を貴重な勉強時間として充ててましたね。だから朝6時に起きて22時に帰ってくるまで、毎日スケジュールはみっちり。はっきり言ってめちゃくちゃ忙しかったです。
それでも勉強をおろそかにしなかったのは、負けず嫌いな性格と、“やんちゃなのに勉強ができる”みたいな人が自分の理想だったからだと思います。あとこれはアスリートあるあるかもしれないですが、スポーツ選手は練習が忙しいので、時間を有効活用できる人が多い気がしますね。
「中高時代、唯一練習がない月曜日に友達と遊ぶのが楽しみだった」と語る齊藤選手。スポーツが盛んな学校じゃなかったからこそオン・オフの切り替えができ、リフレッシュできたという。
中学で初めて受けた中間テストで、「この膨大なテスト範囲を覚えるには2週間かかる」とわかったので、次の試験から早めに準備をはじめるようにしたんです。
こういった勉強の工夫は、間違いなくプレーの改善にもつながっていますね。
なんでも一回は試さないと、その良し悪しはわかりません。試して失敗するのは全然OKで、それを次に活かせればいいだけの話。逆に一番ダメなのは、なんにもチャレンジしないことだと思います。あと「2週間前からテスト準備する」と同じことで、プロになるために逆算することはとても大事です。
中学校のときはどうやったらユース(注:プロサッカーチームの下部組織で高校生チームのこと)に入れるか、ユースに入れたあとは、どうやったらプロになれるのか——その時々で常に目標を達成するための逆算をし、いま何をすべきかをめちゃくちゃ考えていました。
あ、あと学科の話で言えば英語は語学力という意味でもちろん役立ってるんですが、保健体育や家庭科をもっとちゃんと勉強しておけばよかったなと思います。体の仕組みや栄養学をプロになってからまた学びなおしているんで……。
質問に対し、迷いもよどみもなくズバリと答えをくれる齊藤選手。コミュニケーションの反射神経も一級だ。
重要な場面で良いプレーや働きができないと、選ばれることは難しいと思います。もちろん運もありますが、常にどうすれば試合に出られるか、代表に選ばれるのかと考え続けることが、その可能性を高めることに繋がるのかなって思ってます。
僕の今の夢は、湘南から海外に行ってプレーすること。そのために逆算して、今はこのベルマーレで試合に出続けて活躍するのがベストな選択かなと思っています。みなさんも中高時代は好きなことに熱中して、とことんのめり込んでほしいと思います。
僕も結局サッカーが楽しいから、今もただ夢中になってやってるだけなので(笑)。
湘南地域に住む人々だけでなく世界に向け、
サッカーを通して夢と勇気と希望を届ける、齊藤未月選手から今後も目が離せません!
― 以上、子どもの夢の現場よりお届けしました。 ―
湘南地域の20市町をホームタウンとして活動するJリーグチーム。攻撃的で走る意欲に満ち溢れたアグレッシブなサッカーは「湘南スタイル」と呼ばれ観客を魅了する。
サッカーを軸にビーチバレーやトライアスロン、フットサルといった様々な競技のチームがあり、ヨーロッパのような「総合型スポーツクラブ」として幅広くスポーツ振興を行っている。
http://www.bellmare.co.jp/
あなたははじめて夢を聞かれた時、
いくつの世界を知っていましたか?
この企画をとおして、将来やりたいこと、
自分がすきなこと、はたらく未来を
少しでも広げるきっかけになればと思います。
ぜひ今後も子どもの夢企画をお楽しみに!
湘南ゼミナール