湘南ゼミナール 神奈川県公立高校受験情報

2026年度公立高校入試 特色検査「共通問題」分析資料

問1・問2

問題の概要

現代的なテーマを入り口に、高度な情報処理と教科横断的な思考を求める出題

昨年度同様、問1は英語長文、問2は日本語長文で構成された。ページ数・設問数ともに大きな変更は見られず、読解をベースに理数的な処理能力を問う特色検査のスタンダードな形式が維持されている。

■ 問1(英語長文)
今年度のテーマは「横浜駅とサグラダ・ファミリア」。
「日本のサグラダ・ファミリア」と表現される横浜駅の工事を導入に、本家スペインのサグラダ・ファミリアの建築構造や歴史、そして3Dプリンタ技術による完成への加速を対話形式で読み解く内容であった。
設問では、直線の回転による曲面形成(双曲面構造)の理解や、資料(プラスチック素材の密度や硬度)を用いた論理的推論など、単なる英語力にとどまらない「理数的な空間認識・素材知識」が問われた点が特徴的である。

■ 問2(日本語長文)
今年度は「食品ロス」と「資源循環」を扱う論説文が出題された。
文章Ⅰでは廃棄物処理の現状とコスト、文章Ⅱでは飼料化の手法や食料自給率への影響が論じられた。特筆すべきは、単なる環境問題の読解にとどまらず、乳酸発酵の化学反応式を用いた量的関係の計算(化学基礎レベル)が出題された点である。
理科(化学反応・エネルギー)、社会(環境政策)、数学(割合・データ分析)を横断する構成であり、SDGsという身近な話題から科学的な定量評価を求める、非常に特色検査らしい出題であった。

設問の特徴

「正確な読解力」+「科学的・数学的リテラシー」の融合

ページ数は問1・問2ともに各4ページで例年同等の分量。文章量は標準的だが、本文・図表・複数の資料を統合して解を導く設問が多く、処理の正確さとスピードが鍵となった。

問1の特徴
身近な話題からの展開: 横浜駅という親しみやすい話題から、ガウディ建築の幾何学的構造へ展開する知的好奇心をくすぐる構成。
論理的読解の深化: 3Dプリンタの素材選択など、文脈と資料(密度・硬さ)を照らし合わせて根拠を特定する力が求められた。

問2の特徴
文理融合の高度化: 文章読解の中に、「グルコースから乳酸への反応」といった化学的な計算問題が組み込まれた。
データ推移からの考察: 複数のグラフや表から矛盾なく情報を読み取り、論理的に妥当な助言を選択する力が試された。

取り組むにあたって意識すること

情報を「処理」し「活用」する力の養成

① 設問からの逆算思考
漫然と読むのではなく、設問で問われている条件(化学反応の比率、素材の条件など)を先に把握し、必要な情報を文章・資料からピンポイントで探し出す訓練が必要である。

② 教科横断的な基礎力の盤石化
英語・国語: 論理展開(因果・対比)を素早く掴む読解力。
理科・社会: 環境問題や物質の性質、化学変化の量的関係など、教科書レベルの知識を「実社会の課題」と結びつけて理解しておく応用力。
数学: 複数の資料を統合して数値を処理する力。
上記のように、基礎知識を単独で終わらせず、「使える知識」としてネットワーク化しておくことが不可欠である。

また、日頃からニュースや新聞等で社会課題に触れ、背景知識を蓄えることは強みとなる。加えて、理科・数学の学習では公式の暗記にとどまらず、「なぜそうなるのか」「条件が変わればどう変わるか」という視点で理解を深めたい。特色検査では、問題文中のヒントが“使える形”で置かれていることが多い。見落とさず拾い、根拠を揃えて結論へ運ぶ訓練を積み重ねたい。

問3~問6

問題の概要

多面的・多角的な思考力と粘り強さを問う、バラエティに富んだ選択問題
探究的な学びを土台に、思考力と忍耐力を問うバラエティー豊かな出題

選択大問は昨年同様、4題で、各校が2題を選択する形式は昨年から変わらない。今年度は、題材そのものが教養的で、かつ“手順を踏んで推論する”タイプの問題が多く、最後まで粘り強く条件整理を続けられるかが鍵となった。

<各校の選択問題> 2025➤2026
・昨年と同じ問題を出題した学校
横浜翠嵐: 問5・問6➤問5・問6
湘南: 問3・問4➤問3・問4
柏陽: 問3・問5➤問3・問5
川和: 問3・問4➤問3・問4
厚木: 問5・問6➤問5・問6
大和: 問3・問5➤問3・問5
光陵: 問3・問5➤問3・問5
鎌倉: 問3・問5➤問3・問5
茅ケ崎北陵: 問3・問5➤問3・問5
相模原: 問3・問5➤問3・問5
横浜国際(国際): 問3・問5➤問3・問5
横浜平沼: 問3・問5➤問3・問5

・昨年と違う問題を出題した学校
横浜緑ケ丘: 問4・問5➤問5・問6
多摩: 問4・問5➤問3・問5
希望ケ丘: 問3・問6➤問3・問5
横須賀: 問3・問5➤問3・問6
小田原: 問3・問5➤問4・問5
平塚江南: 問4・問5➤問3・問5

今年度も問3・問5を選択する高校が圧倒的に多く、標準的な思考力重視の傾向が見られる。一方で、横浜翠嵐・厚木・横浜緑ケ丘といった一部の上位校が問5・問6という理数色の強い組み合わせを選択しており、学校ごとの求める生徒像が鮮明となった。

各大問の特徴

■ 問3(建築・木工・歴史)
伝統的な大工道具や木組みを題材にした問題。
炭素年代測定のグラフ読み取りや、複雑な木組み(継手・仕口)の立体パズルなど、空間認識能力と数理的考察力がバランスよく問われた。基礎力があれば得点源としやすい大問であった。

■ 問4(言語・論理パズル)
「韻(ライム)」の分析と立体迷路などの論理パズル。
前半は国語的な言葉遊びの要素、後半は数列や経路探索といった純粋な論理的思考力が試された。知識よりもその場での試行錯誤とひらめきが物を言う、時間配分上、取捨選択の対象となりやすく、差がつきやすい形式である。

■ 問5(地学・物理)
黒部ダムや氷河、地形図を扱った自然科学の問題。
地形図の3Dモデル断面選択や、トリチェリの定理に関連する水流実験など、物理・地学のセンスを問う骨太な出題。多くの高校が選択しており、今年度のスタンダードと言える。特に(ウ)のデータ読解は、条件変化と結果推移の対応づけを誤ると結論が崩れるため、丁寧な検証が必要であった。

■ 問6(総合・エジプト)
エジプトを舞台に、地理・化学・数学を網羅した高難度な総合問題。
ヒエログリフの解読(規則性)、浸透圧の式の導出、そしてピラミッドの影を利用した太陽高度計算(空間図形・三平方の定理)など、高度な処理能力と応用力が要求された。かなり受験生を苦しめる内容となったと思われる。

設問の特徴

「空間認識」と「未知の事象への対応力」

今年度は特に、以下の要素が強く求められた。

空間認識能力: 木組みのパズル(問3)、立体迷路(問4)、地形の断面(問5)、ピラミッドの影(問6)と、すべての選択問題で「立体をイメージする力」が問われた。
論理的推論: ヒエログリフの解読や、浸透圧の数式化など、初めて見るルールや定義をその場で理解し、運用する力が試された。
一見難解に見える問題も、条件を一つひとつ整理すれば解法が見えてくる設計となっているが、時間内にそれを遂行する処理速度がカギとなった。

課題と対策

特色検査対策として重要なのは次の2点である。

① 「試行する力」と「ケアレスミスの排除」
手を動かして図を描いたり、根気よく書きならべることで思考を可視化する習慣をつけること。また、単位や条件の読み落としといったケアレスミスは致命傷となるため、緻密な作業能力を養いたい。

② 基礎理解の深化と「なぜ」の追求
英数国理社の日々の学習において、「公式の暗記」で終わらせず、「なぜそうなるのか」「条件が変わればどうなるか」を考える習慣を持つこと。
特に数学の空間図形や、理科の実験・観察については、教科書の枠を超えて日常生活や社会現象と結びつけて考える姿勢が、特色検査突破への近道となる。
また、技能科目に対しても確かな知識が持てるよう、中学校での学びに対し真摯に臨むことが必要である。

総括

2026年度の特色検査は、環境・技術・歴史・文化といった多様なテーマを扱いながら、「情報を正確に読み解き、論理的に再構築する力」を問う良問揃いであった。
知識の量ではなく、知識の「質」と「運用能力」が合否を分けるポイントである。受験生には、日頃から「理解し、使いこなす」学習姿勢を強く求めたい。