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神奈川県公立高校受検情報

湘ゼミ進学情報戦略部が解説する神奈川県公立高校の受検情報

神奈川県の「公立高校受検」「私立高校受験」に関する情報を掲載しています。

1.2019年度入試状況神奈川県公立高校入試日程・要項(抜粋)

(1)2019 年度公立入試日程

1月28日(月)・29日(火)・30(水) 共通選抜 募集期間
2月4日(月)・5日(火)・6日(水) 共通選抜 志願変更期間
2月14日(木) 共通選抜 共通検査(学力検査等)・特色検査
2月15日(金)・18日(月) 共通選抜 共通検査(面接等)・特色検査 ※予備日
2月20日(水) 追検査
2月27日(水) 共通選抜 合格発表

(2)共通選抜(一次募集)要項

課程 募集区分 検査日・検査内容
全日制の課程 クリエイティブスクール以外 〔一般募集〕
〔連携募集〕
〔海外帰国生徒特別募集〕
〔在県外国人等特別募集〕
〔中途退学者募集〕
〔学力検査〕
2/14(木) 〔面接および特色検査〕
2/14(木)・15(金)・18(月) ※面接および特色検査はこの日程の中から各高等学校が検査日を指定する ※一部の学校では19日(火)が検査日となる場合がある ※学力検査問題は全日制(原則5教科)と定時制(3教科)で異なる
クリエイティブスクール 〔一般募集〕
田奈・釜利谷・大楠・大井・大和東
〔面接および特色検査〕
2/14(木)・15(金)・18(月) ※上記日程から各高校が検査日を指定
定時制の課程 夜間以外 〔一般募集〕
横浜明朋・川崎・厚木清南・相模向陽館・横浜市立横浜総合・川崎市立川崎 〔在県外国人等特別募集〕
〔学力検査〕
2/14(木) 〔面接および特色検査〕
2/14(木)・15(金)・18(月) ※面接および特色検査はこの日程の中から各高等学校が検査日を指定する ※一部の学校では19日(火)が検査日となる場合がある ※学力検査問題は全日制(原則5教科)と定時制(3教科)で異なる
夜間 〔一般募集〕
通信制の課程 〔一般募集〕
横浜修悠館・厚木清南
〔面接または作文〕
2/14(木)・15(金)・18(月) ※上記日程から各高校が検査日を指定

※合格発表後の入学手続きの日程等については,各高校で定め,合格発表時に案内がある

※共通選抜一般募集で欠員が出た全日制の高校および定時制の夜間以外の課程は,二次募集を行う。二次募集と,定時制の夜間課程および通信制の課程は,その志願時において他の国立・公立・私立・高等専門学校に合格していなければ,同時に出願できる(定通分割選抜)

※インフルエンザの罹患等で共通選抜の一般募集や特別募集,中途退学者募集の学力検査を受検できなかった志願者が希望する場合,2/20(水)の追検査を受検できる。この場合面接や特色検査は実施せず,学力検査(定時制の課程は作文に代える場合がある)のみ実施する

(3)志願資格

全日制
…次の①および②を満たす者
①平成16年4月1日以前に出生し,平成31年3月31日までに中学校を卒業または卒業見込みの人(これに準じると認められた人を含む)
②志願者とその保護者が神奈川県内に住んでいる (平成31年4月1日までに志願者とその保護者が神奈川県内に転居見込み等で,神奈川県教育委員会教育長の承認を受けた場合を含む)
定時制
…次の①および②を満たす者
①平成16年4月1日以前に出生し,平成31年3月31日までに中学校を卒業または卒業見込みの人(これに準じると認められた人を含む)
②志願者が神奈川県内に住んでいるか,勤務地が神奈川県内にある (平成31年4月1日までに神奈川県内に転居するか勤務地が神奈川県内になる見込み等で,神奈川県教育委員会教育長の承認を受けた場合を含む)

(4)学区

神奈川県立高校および横須賀市立高校には学区はなく,県内どこからでも志願ができる
横浜市立(横浜商業高校の全学科,戸塚高校単位制普通科音楽コース,横浜サイエンスフロンティア高校を除く)および川崎市立高校(専門学科を除く)は,原則それぞれの市内を学区とするが,学区外からの入学も可能(ただし人数制限はある)

(5)募集区分

連携募集
連携型中高一貫教育を行うため,茅ケ崎高校と茅ヶ崎市立および寒川町立の各中学校,厚木西高校と厚木市立の各中学校,足柄高校と南足柄市立・中井町立・大井町立・松田町立・山北町立・開成町立の各中学校,愛川高校と愛川町立の各中学校,光陵高校と横浜国立大学教育学部附属横浜中学校との間で行われる
特別募集
海外帰国生徒特別募集
全日制の志願資格を満たし,原則として保護者の勤務等の関係で,継続して2年以上外国に在住して帰国した日が平成28年4月1日以降の者
高校名 課程・学科等
神奈川総合 単位制普通科国際文化コース
横浜国際 単位制国際科本体
単位制国際科国際バカロレアコース(仮称)
新城 普通科
西湘 普通科
鶴嶺 普通科
弥栄 単位制普通科
伊志田 普通科
横浜市立東 単位制普通科
在県外国人等特別募集
全日制の志願資格を満たし,かつ,外国の国籍を有する者で,入国後の在留期間が通算で3年以内の者(平成31年2月1日現在)
高校名 課程・学科等
鶴見総合 単位制総合学科
横浜清陵 単位制普通科
川崎 単位制普通科
大師 単位制普通科
弥栄 単位制普通科
橋本 普通科
大和南 普通科
伊勢原 普通科
座間総合 単位制総合学科
愛川 普通科
相模向陽館 定時制単位制普通科
午前部・午後部
横浜市立みなと総合 単位制総合学科
横浜市立横浜商業 国際学科

(6)共通選抜(一次募集)における志願変更

①志願変更期間
課程 2月4日(月) 2月5日(火) 2月6日(水)
全日制
単位制による全日制
定時制(夜間以外)
午前9:00~正午 午前9:00~正午 午前9:00~正午
午後1:00~午後4:00 午後1:00~午後4:00
②一般募集への志願変更手続き
ア 志願変更者は,在籍中学校の校長の確認印押印済みの〔志願変更願〕を,受検票とともに志願先の高校に提出する
イ 志願先の高校から入学願書等の書類の返還を受け,入学願書及び受検票の志願先を抹消し,志願変更先欄に必要事項を記入する
ウ イと新たに作成した面接シート(その他高校ごとの必要書類があればそれも)を合わせて,志願変更先の高校に提出する
エ 志願変更先の高校から,受検票が交付される
※ 受検料に差額がある場合には志願変更先高校で納付する(返還はされない)
※ 神奈川県立高校から横浜市立高校への志願変更等,高校の設置者が異なる場合は,新たに受検料を納付する

2.受検状況の推移

今春の公立中学校卒業生数は昨年と比較して948人減少の見込みとなり,これに合わせ公立高校の募集定員は545人減少しました。公立高校の募集定員は,例年夏頃までに卒業生数の見込み数をもとに公立高校と私立高校間で調整が行われます。今年度も公立高校の定員はほぼ昨年並みの卒業生数のおよそ62.5%となりました。下表の卒業生数は,学校基本調査における公立中学校各学年生徒数を卒業年に合わせたものです。
◆表 公立中学卒業生数と公立高校募集人員
2018年度神奈川県公立高校入試の全体倍率(受検者数÷合格者数)は1.19倍でした。今年度は公立志向もいったん落ち着いたように見られます。今後も1.2倍程度で推移するものと思われます。
◆表 受検状況 共通選抜
年度 募集人員
(人)
共通選抜
受検者数
(人)
合格者数
(人)
実質倍率
(倍)
2013 42,560 49,630 42,513 1.17
2014 43,760 51,541 43,849 1.18
2015 43,300 51,157 43,291 1.18
2016 43,750 52,638 43,609 1.21
2017 43,593 52,321 43,476 1.20
2018 43,043 51,369 42,763 1.19
では,高校ごとの倍率にはどのような影響が出たのでしょうか。下表は,全日制普通科の受検倍率TOP10です。この10校は全体倍率を大きく上回る倍率でした。また,入れ替わりはありましたが,昨年同様TOP10のうち8校が旧学区トップ校となりました。例年同様,上位校を目指す層は志望の意思が堅いことがうかがえます。
◆表 全日制普通科 受検時倍率 TOP10
2018年度入試 2017年度入試
高校 定員 受検者数 受検倍率 高校 定員 受検者数 受検倍率
横浜翠嵐 358 746 2.08 横浜翠嵐 358 652 1.82
多摩 278 487 1.75 新城 268 470 1.75
横浜緑ケ丘 278 449 1.62 横浜緑ケ丘 278 442 1.59
新城 268 408 1.52 多摩 278 436 1.57
川和 318 475 1.49 川和 318 496 1.56
光陵 278 414 1.49 元石川 358 541 1.51
湘南 358 532 1.49 柏陽 318 472 1.48
川崎市立高津 278 405 1.46 大和 278 411 1.48
大和 278 403 1.45 横浜市立金沢 318 470 1.48
横浜市立戸塚 279 403 1.44 横浜市立桜丘 318 469 1.47
続いて全日制普通科以外の学科の受検倍率TOP10です。こちらの10校も全体倍率を大きく上回りました。
◆表 単位制普通科・総合学科・専門学科 受検時倍率 TOP10
2018年度入試 2017年度入試
高校 定員 受検者数 受検倍率 高校 定員 受検者数 受検倍率
市立橘:国際科 39 72 1.85 市立橘:国際科 39 73 1.87
上矢部:美術科 39 70 1.79 市立橘:スポーツ科 39 65 1.67
市立横浜商業:スポマネ※ 39 68 1.74 市立戸塚:音楽コース 39 64 1.64
市立川崎総合科学:情報※ 39 63 1.62 YSFH※:理数科 238 357 1.50
YSFH※:理数科 238 373 1.57 中央農業:畜産科学科 39 58 1.49
市立川崎総合科学:建設※ 39 61 1.56 白山:美術科 39 56 1.44
神奈川総合:国際 89 135 1.52 鶴見総合 218 308 1.41
相原:畜産科学科 39 59 1.51 弥栄:スポーツ科学科 78 110 1.41
横浜国際:国際科 138 206 1.49 市立みなと総合 232 326 1.41
市立川崎総合科学:電子※ 39 57 1.46 市立幸:ビジネス教養科 158 222 1.41

※YSFH…横浜サイエンスフロンティア  スポマネ…スポーツマネジメント科  情報…情報工学科  建設…建設工学科  電子…電子工学科

一方で,定員割れとなった全日制の高校は2016年度13校,2017年度は18校,2018年度は18校23学科・コースとなりました。下表は,合格発表後学則定員に満たない場合に実施される「二次募集」の実施校です。地域内でも通いづらかったり,毎年定員の増減があり志願者側と教育委員会および高校側で人気・不人気のずれが生じていたりするなど,いくつか要因が考えられます。今年はクリエイティブスクール5校中4校で二次募集が行われました。
◆表 過去3年間の二次募集実施校
2018年度 2017年度 2016年度
高校 欠員 高校 欠員 高校 欠員
津久井 67 永谷 31 大楠 110
永谷 60 大楠 20 川崎市立商業:ビジ教養 22
大楠 21 田奈 18 麻生総合 20
釜利谷 19 釜利谷 15 磯子工業:電気 12
川崎工科:総合技術 17 大井 15 市立南 11
大師 17 寒川 14 市立川崎総合科学:総合電気 9
三浦初声 17 麻生総合 14 小田原総合ビジネス:総合ビジ 9
磯子工業:電気 16 相原:総合ビジ 11 磯子工業:機械 7
大井 15 保土ケ谷 10 二俣川看護福祉:福祉 7
海洋科学:海洋科学 12 大和南 6 小田原城北工業:電気 6
小田原東:総合ビジネス 10 津久井 6 小田原城北工業:デザイン 6
磯子工業:化学 9 神奈川工業:電気 6 津久井:福祉 5
寒川 8 川崎市立川崎 4 海洋科学:船舶運航 4
平塚工科:総合技術 8 瀬谷西 3 市立川崎総合科学:建設工学 3
吉田島:環境緑地 8 神奈川工業:機械 2 商工:総合技術 3
中央農業:園芸科学 7 城山 1 磯子工業:化学 3
津久井:福祉 7 藤沢工科:総合技術 1 海洋科学:一般 2
愛川 6 二俣川看護福祉:福祉 1 津久井 2
平塚湘風 6 川崎市立川崎:福祉科 1 秦野総合 2
三浦初声:都市農業 4 弥栄:美術 1 磯子工業:建設 1
田奈 2 - - 商工:総合ビジ 1
磯子工業:機械 1 - - - -
磯子工業:建設 1 - - - -

※学科なし…普通科  ビジ教養…ビジネス教養  総合ビジ…総合ビジネス

2018年度共通選抜入試 マークシート方式なのに難化!? 今後のトレンドか

6年前の入試制度変更から,「内申点」「入試得点」「面接得点」「特色検査得点」の4つの指標を用いています。昨年はマークシート方式導入により5科目とも問題は易化しましたが,今年は一転して難化しました。特に「理科・社会」では単なる知識を答えるのではなく,複数の情報を関連させながら解く問題が増えています。選択問題はむしろ増えている中,平均点が下がっていることからも,難化傾向を知ることができます。
◆表 自己採点平均点結果比較(過去4年)
英語 数学 国語 理科 社会 5科
2015年度 66 68 76 47 65 321
2016年度 58 65 76 57 67 323
2017年度 68 74 81 61 65 349
2018年度 71 68 75 58 54 326
結果として,5科目の合計点の平均も前年度に比べて23点下がり,2・3年前の水準に戻りました。2020年には大学入試改革がありますので,今後の神奈川県公立入試でも「詰め込んだだけの知識ではなく,総合的な思考力を必要とする問題」が出題され続ける可能性は高いと思われます。事前の準備として普段から物事の基礎や原理原則に基づいた学力を身につけることが重要です。

1)第1次選考は内申重視,第2次選考は入試得点重視の傾向が続く

今春は全日制199学科・コースのうち102学科・コース(全体の半分)が第一次選考のS値における「内申:入試:面接(:特色)」を「4:4:2」(内申・学力バランス型)の割合で選択しました。このタイプは昨年度より2学科・コースの増加となりました。また,「面接=2」の割合は昨年度とほぼ変わらず全体の54%でした。一方,旧学区トップ校は全17校中,川和,新城,小田原,相模原を除く13校が「2:6:2」または「3:5:2」の学力検査重視型です。差のつきやすい入試得点に高いウェイトをかけ,より高い学力の生徒に通ってほしいという高校のスタンスがうかがえます。
第二次選考は「入試:面接(:特色)」,つまり内申をのぞいたS値で選考が行われます。今春はこの割合を「8:2」とする高校が昨年よりも2校減り108校となりましたが,依然として半数以上の学科・コースで入試重視の状況が続いています。
◆表 2018 全日制科における「入試」の選択割合
(クリックまたはタップで拡大できます)

2)面接や特色検査の合否に与える影響

新入試制度に伴い,全高校で全受検生が面接を受けるようになって6年目となった今春の入試では,16コース・学科で自己表現検査,11コース・学科で実技検査が行われました。自己表現検査はクリエイティブスクールを除いてそのほとんどが旧学区トップ校で実施されました。筆記試験型の自己表現検査を実施した高校では,非常に高い「理解力」や「思考力」,「表現力」を測るために工夫された検査が行われました。実技検査は,芸術や体育等に関する学科と横浜国際高校国際科で実施されました。いずれも科目ごとの学力検査では測ることができない能力を測るための検査といえるでしょう。
では,この「特色検査」および「面接」は合否に影響を与えるのでしょうか。
◆表 内申と入試開示得点における合否との兼ね合い
高校 内申(A値) 得点(B値) 面接(C値) 特色(D値) 総合(S値) 合否
横浜翠嵐 132 447 92 36 988 ×
132 421 94 61 1011
YSFH※ 116 375 80 85 963 ×
116 375 80 92 985

※YSFH…横浜サイエンスフロンティア,内申・得点の重点化を考慮したS値です。

上の表は「面接」や「特色検査」によって,逆転が起こっていると考えられるケースを一部抜粋したものです。昨年度より全受検生に合否結果通知とともに答案開示が行われ,答案の採点結果と面接得点を知ることができるようになりました。同じ内申で5科目の入試得点は思うように取れなかったにもかかわらず,「面接」や「特色検査」による逆転が起こったことが見られます。旧入試制度のように,「内申」と「入試得点」だけでは,学校毎のラインや合格可能性を探ることが難しくなっています。
反面,こういった新入試の傾向が認知されたことで,「内申が過去の受検者平均より低くても入試得点や特色検査で逆転する」作戦が取りやすくなったともいえます。

3)国私立第一志望者は昨年よりも減少か

公立高校の入学者選抜は,国私立高校の入学試験直後に行われるので,難関国私立高校を第一志望としその高校に合格した生徒は公立共通選抜を欠席するというケースがあります。下の表は昨春と今春の入試における公立共通選抜欠席率の高い高校をまとめたものです。2017年度は571名,2018年度は413名と158名減少しました。
◆表 学力検査 当日欠席 TOP10
2018年度 2017年度
高校名 出願者 欠席者 欠席率 高校名 出願者 欠席者 欠席率
神奈川総合:国際文化 144 9 6% 横浜翠嵐 719 67 9%
横浜翠嵐 777 31 4% 弥栄:音楽科 43 4 9%
川崎総合科学:電子機械 59 2 3% 神奈川総合:国際文化 122 8 7%
生田 439 14 3% 横浜市立南 54 3 6%
市ケ尾 485 15 3% 生田 390 19 5%
多摩 502 15 3% 川崎総合科学:総合電気 42 2 5%
湘南 548 15 3% 市ケ尾 570 22 4%
新城 419 11 3% 多摩 453 17 4%
厚木 461 11 2% 川崎総合科学:科学科 55 2 4%
横浜国際:国際 211 5 2% 湘南 491 16 3%

4)3校受験(公立+併願私立+チャレンジ国私立)は依然多数

新入試制度になって以降,2校以上受験するパターンが増加しました。前述の通り入試得点重視の傾向や特色検査の導入により合否が合格発表まで読みづらくなったことで,公立高校に不合格の場合でも,第一志望の公立と同じレベルの国私立高校に通いたいという生徒・保護者の希望が背景にあります。2018年は私立と公立の入試日程が詰まったため前年より微減しましたが,横浜翠嵐受検者では約70%,湘南受検者では約50%と,依然として多くの受験生が3校受験をしています。
よく見られる受験パターンを表にまとめました。事前相談でいわゆるすべり止めの私立高校を決定し,一般入試(オープン入試)の国私立高校にチャレンジ受験をします。これにより,上述の通り当日欠席や合格発表前辞退の増加につながっています。ただし,一部の私立高校では私立高校同士の併願受験を認めていない場合がありますので,学校説明会等での確認が必要です。
◆表 3校受験の例
公立 私立併願 国私立一般入試
横浜翠嵐
湘南
柏陽
光陵
川和
横浜緑ケ丘
桐蔭学園
山手学院
日本大学
青稜
鎌倉学園
東京学芸大学附属
慶應義塾
早稲田実業
青山学院
桐光学園
法政第二
法政国際

国私立高校入試の概況

今春の変更点を以下に記します。

1)神奈川県内私立の変更点

高校名 変更点
関東学院六浦 入試制度:ラグビー部入試希望者のみ募集 → 一般英語型募集も実施。英検3級取得者で在学中に海外留学に参加できる者。
光明学園相模原 入試制度:総合コースから文理コースへのスライド合格を導入
湘南学院 入試制度:全クラス原則書類選考へ。推薦合格者の上位クラスチャレンジ試験受験者のみ学科試験を実施
捜真女学校 高校募集再開
入試制度:推薦・書類選考
橘学苑 一般入試科目:一般入試での面接中止(試験終了後に志願理由を記入)
桐蔭学園 共学化:男女別学 → 男女共学へ
科・コース改編:普通科(普通・理数コース) → 普通科3コース(プログレス・アドバンス・スタンダード)
入試制度:推薦入試「作文+面接」→「面接のみ」へ
白鵬女子 新設:フードコーディネートコース
コース名称:保育・福祉コース → 保育コース,国際コースA・B → 国際コースα・β,メディア表現コースA・B → メディア表現コースα・β,スポーツコースA・B → スポーツコースα・β
法政大学国際 校名:法政大学女子→法政大学国際
コース改編:IB(国際バカロレア)・グローバル探究の2コースに改編
入試制度:①共学募集開始,②IB「日本語小論文+英語小論文+数学能力適性検査+面接(英語)」で選考,③グローバル探究「A書類選考」「B学科試験(国数英)」「C思考力入試(論述試験+面接)」の3タイプの入試を実施。
山手学院 入試制度:推薦入試廃止
横浜 2020年より共学化
横浜学園 入試制度:特進コース一般入試は併願のみ→専願・併願に分けて募集
横浜富士見丘 入試制度:中等教育学校の編入募集→高等学校として募集
インターネット出願 新規実施校 湘南工科大附属,横須賀学院

2)東京都内国私立の変更点(一部抜粋)

高校名 変更点
足立学園 科・コース改編:文理科・普通科→普通科3コース(探究・文理・総合)へ
郁文館 クラス新設:e特進クラス(編成は東大・特進・e特進・進学の4クラスへ)
岩倉 コース新設:普通科L特コース(指定部活動での全国大会・コンクール出場と難関大学現役合格を目指す)
大森学園 普通科・コース改編:特進コース→国立コース,進学コース→選抜コース,普通コース→総進コース,英語コース(新設)
小野学園女子 科・コース新設:C(子ども・福祉)コース,F(食育・栄養)コース
開智日本橋学園 校名:日本橋女学館→開智日本橋学園
2018年共学化:女子→共学
募集中止:2018年より一般生の高校募集を中止(帰国生のみ募集)
芝浦工業大学 校名変更 芝浦工業大学附属
共学化 新校舎移転(江東区豊洲)
科学技術学園 クラス新設:理数クラス(普通クラスと理数クラスに分けて募集)
蒲田女子 科・コース改編:幼児教育コース・保育コース→幼児教育コース,キャリアデザインコース→キャリアコース
関東国際 科・コース改編:①理系コース→文理コース,②募集時から英語クラスと海外大学留学クラスに分けず,2年次から分ける
工学院大学附属 科・コース改編:文理特進・文理普通の2コース→ハイブリッド文理先進・ハイブリッド文理・ハイブリッドサイエンス・ハイブリッドインターナショナルの4コースへ
駒込 募集中止:アドバンス本科
品川エトワール 科・コース新設:ネイチャースタディーコース
校舎改築:2018年春に新校舎(2号館)完成
潤徳女子 募集中止:福祉進学コース
昭和第一学園 普通科・コース改編:特進・総合進学の2コース→特別選抜・選抜進学・総合進学の3コースへ
成城 2019年より高校募集中止(高校募集は2018年が最後)
聖パウロ学園 科・コース改編:特進・総進の2コース→グローバル・セレクティブの2クラスへ
玉川学園 科・コース改編:普通コース・PL(プロアクティブラーニング)コース→一般クラスへ
東京音楽大学付属 校舎改築:2019年より豊島区の大学キャンパスへ移転予定
東京学芸大学附属 入試制度:学力検査(500 点満点),調査書(3年間の評定を 100 点に換算)を総合的に判断して合格者を決定
東京純心女子 科・コース改編:叡智探究セレクトデザイン・叡智探究特進プログラムの2コースへ
東京女子学院 科・コース改編:総合コース→グローバルキャリアコース,外国語コース→グローバルスタディーコース
東邦音楽大学附属東邦 科・コース新設:作曲専攻
豊島岡女子 入試制度:帰国生入試導入
豊島学院 科・コース新設:スーパー特進類型
中村 高校募集再開
日体桜花 校名:日体桜花→日本体育大学桜花
日本体育大学荏原 科・コース改編:文理コース→アカデミックコース
八王子実践 科・コース改編:文理コースを文理選抜と文理進学に分けて募集へ
文化学園大学杉並 2018年共学化:女子→共学
科・コース改編:特進・総合・ダブルディプロマ・国際の4コース→特進・進学・ダブルディプロマの3コースへ
朋優学院 募集中止:進学コース
入試制度:国公立コース用問題を廃止(国公立・特進コース共通問題へ)
三田国際学園 高校募集中止:国際生のみ募集
武蔵野大学附属千代田 校名:千代田女学園→武蔵野大学附属千代田
2018年共学化:女子→共学
科・コース改編:特進・進学・グローバルリーダーの3コース→LA(リベラルアーツ)・MS(メディカルサイエンス)・IB(国際バカロレア)・IQ(文理探究)・GA(グローバルアスリート)の5コースへ
明治学院 校舎改築:2019年秋に仮校舎建築,2020年冬に仮校舎使用開始,2022年秋に新校舎竣工予定
明法 入試制度:GSP入試導入
和洋九段女子 高校募集再開:グローバルコース
インターネット出願 新規実施校 青山学院,錦城,麹町学園女子,國學院,サレジオ高専,順天,成立学園,多摩大学目黒,帝京八王子,豊島岡女子,二松学舎大学付属,富士見丘,明治大学中野八王子,目白研心

3)数字のマジックにご注意!公立高校とは異なる「合格者数」

下表に,難関国私立高校の応募状況や合格者数,倍率の情報を一部抜粋しました。難関国私立高校に限りませんが,国私立高校の一般入試では定員を超える合格者が出ます。これは,合格者が通う高校を選択するためです。多くの場合は,私立高校をいわゆる「滑り止め」として受験するため,公立高校の合格者が私立高校への入学を辞退します。公立高校へ合格した場合,公立高校への入学を辞退することはできませんので,国私立高校の一般入試では多くの学校で公立高校合格による入学辞退や他の私立高校への合格による辞退者を想定し,定員よりも多くの合格者を出すのが一般的です。
◆表 難関私立高校一般入試状況(抜粋)
高校 方式 募集人員 応募者数 受験者数 合格者数 実質倍率 高校 方式 募集人員 応募者数 受験者数 合格者数 実質倍率
青山学院 一般男子 80 422 352 90 3.91 法政第二 一般男子 75 594 582 107 5.44
一般女子 552 469 110 4.26 一般女子 60 396 391 92 4.25
渋谷教育
学園幕張
学力男子 約55 437 435 201 2.16 法政国際 探究:学科 50 412 395 126 3.13
学力女子 176 176 61 2.89 探究:思考 約10 47 43 13 3.31
鎌倉学園 B方式 20 80 79 43 1.84 IB:Ⅰ期 20 31 31 12 2.58
慶應女子 一般 約80 467 463 138 3.36 IB:Ⅱ期 18 16 5 3.20
高校 方式 募集人員 応募者数 受験者数 合格者数 実質倍率
青山学院 一般
男子
80 422 352 90 3.91
一般
女子
552 469 110 4.26
渋谷教育学園幕張 学力
男子
約55 437 435 201 2.16
学力
女子
176 176 61 2.89
鎌倉学園 B方式 20 80 79 43 1.84
慶應女子 一般 約80 467 463 138 3.36
法政第二 一般
男子
75 594 582 107 5.44
一般
女子
60 396 391 92 4.25
法政国際 探究

学科
50 412 395 126 3.13
探究

思考
約10 47 43 13 3.31
IB:
Ⅰ期
20 31 31 12 2.58
IB:
Ⅱ期
18 16 5 3.20

※探究:グローバル探究コース 思考:思考力入試 IB:国際バカロレアコース

神奈川県立高校改革

2016年1月14日に神奈川県教育委員会より「県立高校改革 実施計画(Ⅰ期)」が発表されました。県立高校改革は2016年度から12年間,3期に分けて実施されます。第Ⅰ期は2016年~19年,第Ⅱ期は20年~23年,第Ⅲ期は24年~27年で,今回発表されたものは第Ⅰ期における改革実施計画です。
今回の改革では,「質の高い教育の充実」「学校経営力の向上」「再編・統合等の取り組み」の3つを柱とし,さらに重点目標が全部で7つ設定されています。一部を抜粋します。

1)神奈川県の地域区分

神奈川県全体を大きく5つの地域に分け,再編・統合や学科・コース配置も5地域のバランスに配慮します。 5つの地域は下のとおりです。
横浜北東・川崎…
横浜市鶴見区,神奈川区,港北区,都筑区,青葉区,緑区,川崎市全域
横浜南西…
横浜市西区,保土ケ谷区,旭区,戸塚区,泉区,瀬谷区,南区,港南区,栄区,中区,磯子区,金沢区
横須賀三浦・湘南…
横須賀市,三浦市,逗子市,葉山町,鎌倉市,藤沢市,茅ケ崎市,寒川町
県央・相模原…
大和市,座間市,綾瀬市,厚木市,海老名市,愛川町,清川村,相模原市
中・県西…
平塚市,大磯町,二宮町,秦野市,伊勢原市,小田原市,南足柄市,大井町,中井町,松田町,山北町, 開成町,箱根町,真鶴町,湯河原町

2)多様な指定校

教育課程の研究開発や授業力向上など質の高い教育を行うため,第Ⅰ期は下表の高校を指定校としました。
教育課程研究開発校 新科目『公共』に係る研究 城郷 新城 瀬谷西 湘南台 伊志田 上溝
新たな学習評価に係る研究 鶴見 光陵 茅ケ崎北陵 大磯 海老名
授業力向上推進重点校 港北 松陽 七里ガ浜 藤沢清流 伊勢原 麻溝台
ICT利活用授業研究推進校 生田 横浜旭陵 横須賀大津 秦野 上鶴間 城山
プログラミング教育研究推進校 住吉 横浜緑ケ丘 茅ケ崎西浜 西湘 相模原総合
逆さま歴史教育にかかる研究校 神奈川工業 舞岡 津久井浜 秦野曽屋 大和南
確かな学力育成推進校 菅 永谷 寒川 平塚湘風 津久井
学力向上進学重点校 横浜翠嵐 湘南 柏陽 厚木
学力向上進学重点校 エントリー校 川和 多摩 光陵 横浜平沼 希望ケ丘 横浜緑ケ丘 横須賀 鎌倉 茅ケ崎北陵 平塚江南 小田原 大和 相模原
理数教育推進校 多摩 希望ケ丘 横須賀 平塚江南 相模原
グローバル教育研究推進校 神奈川総合 横浜平沼 横須賀明光 鎌倉 小田原 大和西
国際バカロレア認定推進校 横浜国際
外国につながりのある
生徒への教育機会の
提供と学習支援
海外帰国生徒特別募集 神奈川総合 新城 横浜国際 鶴嶺 西湘 伊志田 弥栄
在県外国人等特別募集 鶴見総合 川崎 大師 横浜清陵総合 伊勢原 座間総合 大和南 愛川 相模原青陵 橋本 相模向陽館
国の研究開発にかかる
指定事業の積極的な活用
スーパーサイエンス
ハイスクール(SSH)
西湘 厚木 希望ケ丘 横須賀
スーパーグローバル
ハイスクール(SGH)
横浜国際
インクルーシブ教育実践推進校 茅ケ崎 足柄 厚木西

3)再編・統合

神奈川県教育委員会は今回の12年間の改革で県内20~30校程度の削減を行う予定です。そのうちⅠ期では5校程度削減の予定です。
統合対象となる高校は次の通りです。実施時期は高校により異なります。
1.横浜南西地域…氷取沢高校・磯子高校
敷地・施設は氷取沢高校のものを利用し,2020年に全日制普通科の新校となります。2018年度入試より磯子高校一般コースの募集を停止しました。
2.横須賀三浦・湘南地域 ①…横須賀明光高校・大楠高校
敷地・施設は横須賀明光高校のものを利用し,2020年に全日制普通科クリエイティブスクールと福祉科を併置する新校となります。2018年度入試より横須賀明光高校国際科の募集を停止しました。大楠高校に通う生徒は2020年4月から新校に通います。
3.横須賀三浦・湘南地域 ②…三浦臨海高校・平塚農業高校初声分校(昼間定時制)
敷地・施設は三浦臨海高校のものを利用し,農業科の教場は平塚農業高校初声分校の敷地・施設を利用します。2018年に全日制普通科と全日制農業科を併置する新校「三浦初声高校」となりました。2018年度入試より昼間定時制の募集を停止しました。
4.中・県西地域 ①…平塚農業高校(全日制)・平塚商業高校(全日制総合ビジネス科)
敷地・施設は平塚農業高校のものを利用し,2020年に全日制農業科と全日制総合ビジネス科を併置する新校となります。
5.中・県西地域 ②…高浜高校・平塚商業高校(定時制総合学科)
敷地・施設は高浜高校のものを利用し,2020年に全日制普通科と単位制定時制普通科を併置する学校となります。
6.県央・相模原地域…弥栄高校・相模原青陵高校
敷地・施設は弥栄高校のものを利用し,2020年に全日制普通科・音楽科・美術科・スポーツ科学科の4学科を併置する新校となります。2018年度入試より相模原青陵高校の募集を停止しました。

3.入試制度の概要

(1)公立高校の入試制度について

神奈川県の公立高校入試は,一般募集として「共通選抜」と「定通分割選抜※」の2つに分かれています。全日制の公立高校では,例年2月中旬より実施される「共通選抜」を経て選考されます。 「共通選抜」は県内全公立高校の全学科・全コースで1回のみ実施され,学力検査と面接の検査が課されます。一部の学校では特色検査も実施されます。
※「定通分割選抜」…定時制および通信制の公立高校の入試です。全日制とは日程などが異なります。

(1)-A 選考の種類について

神奈川県の公立高校入試の選考は「第1次選考」と「第2次選考」とに分かれています。

下の表のように募集定員の90%にあたる合格者を「第1次選考」で決定し,残りの10%にあたる合格者を「『第1次選考』で合格とならなかった受検者」の中から「第2次選考」で決定します。つまり,あくまでも異なる方法で2回選考されるという意味で,「共通選抜」が2回実施されるわけではありません。

(1)-B それぞれの選考の違いについて

2段階の選考方法の違いは次の通りです。「第1次選考」では,共通選抜において実施した検査結果に,中学校の内申点を加えた総合得点をもとに選考が行われます。「第2次選考」では,共通選抜において実施された検査結果のみを総合得点とし選考が行われます。「第2次選考」は海外や他県からの引越しで中学校の内申点が揃わない等,県内公立中学校卒業予定者以外の受検者に配慮した選考となっています。

(1)-C 各種数値について

選考に使用する数値は,図2のとおりです。
図2 選考に使用する各種数値
A値
中学校成績・調査書の評点・内申点
※中学2年生の後期(3学期)内申と中学3年生の後期仮(2学期)内申を2倍したものを使用する
A値(135点)=中2(45点)+中3(45点)×2
B値
学力検査の得点
※基本5科目受験だが,特色検査実施の場合に3教科もしくは4教科受検の場合もある
B値(500点)=100点×5教科
C値
面接の得点
D値
特色検査の得点
※C値・D値の満点は各高校により異なる
ただし,この4つの数値はそのまま使用されません。一度すべて100点満点に換算されます。換算された数値はあらためて,a・b・c・dという名前になります。換算の例を図3に示しています。
図3 選考に使用する各種数値(換算得点の例)
A値=120/135
B値=360/500
C値=86/100
D値=125/150
の場合
a=120/135×100=88.9/100
b=360/500×100=72/100
c=86/100
d=125/150×100=83.3/100
このように,すべて1度100点満点に計算しなおした数値を,実際の選考に使用します。
図3にあるa・b・cもしくはa・b・c・dを使用して,選考がおこなわれます。(1)-Bに記したとおり,選考は2段階に分かれています。第1次選考では,a・b・cの総合得点で選考がおこなわれ,第2次選考では,b・cの総合得点で選考がおこなわれます。(特色検査実施校では,それぞれの総合得点にdも加わります。)この総合得点のことを「S値」と呼び,第1次選考・第2次選考共に,「S値」の高い順に合格が決まります。神奈川県教育委員会の発表した資料では,第1次選考のS値を「S1」,第2次選考のS値を「S2」と表現しています。この「S値」も単純に合計すればよいというものではなく,図4に示すような計算式で求めることができます。
図4 S値の計算式
【第1次選考のS値】
S1=a×f+b×g+c×h
(特色検査実施校では,さらにd×iが加えられます。)
※f・g・h・iは各学校ごとに設定。f・g・hはそれぞれ2以上で合計10となる整数。iは5以下の整数。
【第2次選考のS値】
S2=b×g'+c×h'
(特色検査実施校では,さらにd×iが加えられます。)
※g'・h'・i'は各学校ごとに設定。g'・h'はそれぞれ2以上で合計10となる整数。i'は5以下の整数。
◎特色検査を実施しない場合,S1・S2ともに1000点満点,特色検査実施校では,1100~1500点満点となります。
◎f・g・hの設定の仕方によって,1000点満点中の割り振りが変わります。
例1) f=2,g=6,h=2の場合
S1= a×2 + b×6 + c×2 = 1000点満点
  200点 600点 200点
例2) f=4,g=4,h=2の場合
S1= a×4 + b×4 + c×2 = 1000点満点
  400点 400点 200点
f・g・hは,各数値が満点の中で占める割合をあらわします。例1では,1000点中の600点を入試得点が占めるのに対し,例2では400点にとどまります。また,学校成績と入試得点が同じ重みであるということが分かります。
ここで重要なのが,高校の特色や高校がどのような生徒に入学して欲しいかが「S値」にもあらわれるということです。「f・g・h・i」の4つの数値は,各高校が数値を決定し,それぞれ内申点(a)・入試得点(b)・面接得点(c)・特色検査得点(d)にかけ合わされます。つまり,各高校がどの数値を重視したいか,どの能力を重視したいかがここにあらわれるということです。
図4-例1では,入試得点を最も重視します。違う見方をすれば,入試得点は学校内申の3倍重要であるというようにもとれます。例2では,学校内申と入試得点は同等の重要度であるということが分かります。これによって具体的にどのような違いが出るのかを図5(ア)(イ)にまとめています。
図5(ア)では,まったく同じ選考用の数値をもつ生徒が,各高校を受験した場合にS値がどのような差になるかを示しています。まず,横浜翠嵐高校と湘南高校,他の2校では,S値の満点が異なります。これは,図4にも記載の通り,特色検査実施の有無による違いです。満点が違うとどのような影響が考えられるのでしょうか。1つは,各数値の重要度に影響が出ます。例えば,湘南高校と大和高校は,特色検査実施の有無以外は同じ数値を採用しています。入試得点を例にとって見てみますと,湘南高校は1100点満点中の500点,大和高校では1000点満点中の500点を占めます。湘南高校の入試得点の満点に占める割合は45.5%,大和高校は50%です。一見すると大和高校のほうが,入試得点が重要であるように見えます。ただ,ここで考えなければならないのが,特色検査の内容です。特色検査の内容は,非常に高い思考力を要し,入試に次ぐ「学力指標」ともなりうるため,湘南高校の「学力指標」が満点に占める割合は, (500+100)/1100×100=54.5% となり,大和高校の入試割合を超えます。重要度は数値からも判断できますが,後述の特色検査の内容がどのようなものになるかによっても違いがでます。では,特色検査を実施しない高校間ではどうでしょうか。大和高校と川和高校は,ともに特色検査を実施しない,S値が1000点満点の高校です。こちらはいたってシンプルで,各高校が設定した数値のとおりの重要度が見てとれます,この2校の場合,大和高校のほうが「入試得点重視」ということになるでしょう。前述の満点による違いもありますが,このように同じ1000点満点の中でも違いが出ます。
図5(ア) 高校によるS値の違い
A値=120/135
B値=360/500
C値=86/100
D値=125/150
の場合⇒
a=88.9
b=72
c=86
d=83.3
【横浜翠嵐高校】
f=2,g=6,h=2,i=2(特色検査実施)
S1=88.9×2+72×6+86×2+83.3×2=
948.4/1200
【湘南翠嵐高校】
f=3,g=5,h=2,i=1(特色検査実施)
S1=88.9×3+72×5+86×2+83.3×1=
882.0/1100
【大和高校】
f=3,g=5,h=2(特色検査実施せず)
S1=88.9×3+72×5+86×2=
798.7/1000
【川和高校】
f=4,g=4,h=2(特色検査実施せず)
S1=88.9×4+72×4+86×2=
815.6/1000
特色検査の有無によって満点が異なるなど,各高校の採用する数値の違いによって,同じ成績,入試得点でもS値に違いが出ます。
図5(イ)では,f・g・hの違いによる,学校内申「1」に対する学力検査の得点の重みを示しています。言い換えると,学校内申の「1」を逆転するために必要な入試得点です。ほぼ,1点で逆転できる学校から,11点でようやく逆転できる学校までさまざまです。入試得点に自信がある場合,2:6:2や3:5:2の高校では受験を有利にすすめられるでしょう。一方で,図5(イ)の表の下へいけばいくほど,入試得点での内申逆転は難しくなるので,受検校選びの際の一要素としては知っておくと良いかもしれません。
  また,このS値の比率以外にも,高校ごとの特色が出る制度があります。それは,「重点化」という制度です。これは,第1次選考では調査書の評定・学力検査の得点に,第2次選考では学力検査の得点に,高校ごとの「重要度」を設定できるというものです。ただし,設定できるのは,調査書の評定であれば最大3科目まで,学力検査の得点であれば最大2科目まで,1から2倍までの範囲で設定できます。S値の比率以上に高校ごとの違いがはっきりと出るので詳細は資料を参照ください。「重点化採用校」では「どの科目に力を入れているのか」が最も分かりやすい指標となっていますし,裏を返せば,「重点化非採用校」ではすべての科目を重視しているともとれます。つまり,先述のA値についても高校によっては135点満点でない場合があり,図5(イ)についても重点化採用の高校ではこの限りではありません。
図5(イ) 内申「1」に対する学力検査の得点
比率 (f:g:h) 学力検査
2:6:2 1.2
3:5:2 2.2
3:4:3 2.8
4:4:2 3.7
3:3:4 3.7
4:3:3 4.9
5:3:2 6.2
5:2:3 9.3
6:2:2 11.1

(1)-D 面接について

現在の神奈川県公立入試の大きな特徴の1つですが,面接検査は受検者全員に課されます。以前の入試制度においては,前期選抜受検者のみに課されていました。面接については,各校共通の評価観点として,「入学希望の理由」「中学校での教科等に対する学習意欲」「中学3年間での教科等以外の活動に対する意欲」が設けられています。これに加えて,学校ごとに異なる評価の観点も設けられています。
また,面接を受けるにあたって「面接シート」の提出が義務付けられています。このシートそのものを評価されることはありませんが,面接はこのシートをもとに進められるため,内容や構成などをしっかりと考えて書く必要があります。面接シートに書かれていることと違うことを面接で話してしまうことがないよう,面接練習とあわせて書き上げていくことが重要です。

(1)-E 特色検査について

もう1つの特徴として特色検査があげられます。すべての学校で課されるわけではなく,入試により学校の特色を反映させたい学校が実施することが多いです。特色検査は「自己表現検査」と「実技検査」の2つに分かれます。「実技検査」は,専門学科が採用することが多く,主に専門的な技能(音楽の技能やスポーツ技能など)を測る検査となっています。「自己表現検査」は,これまでの入試制度においても「自己表現活動」という名称で一部高校が導入していました。内容は多岐にわたり,グループディスカッションやスピーチ,与えられた課題に対する「論述」を問うものまでさまざまです。特に,論述形式の検査を実施する高校では,非常に高い「思考力」「判断力」「表現力」を求められる上,科目横断的な課題を課されるため,教科学習だけでは対応することが難しいケースも存在します。過去2回の入試では,音楽など技能4科目にまで範囲を広げた高校も存在しました。横浜翠嵐高校の自己表現検査などは,誰も見たことのないような題材かつ高度な読解力と思考力,加えて「スピード」も期待されるという非常に難易度の高い検査でした。特色検査実施校の受験を考えている場合,教科学習に加え,日常から思考力を鍛える訓練が必要になってきます

(2)国私立高校の入試制度について

国私立高校での選考方法は,主に推薦枠と一般入試枠の大きく分けて2通りあります。(図6)
図6 国私立高校受験の種類
受験様式 受験形態 基準値のクリア 試験日 選考項目 他校受験
推薦枠 推薦 必要 1月
下旬
調査書
(一部で、面接、作文、適性検査などを実施)
推薦
(確約型)
×
一般
入試枠
専願
(単願)
2月
中旬
学力検査
(一部で、面接を実施)
×
併願
(併願優遇)
一般入試
※不合格の場合,他の私立高校を受験可能。ただし,一般入試枠に限る。

(2)-A 受験形態の違いについて

①推薦枠について

大きく2つに分かれます。図6では,推薦と推薦(確約型)とに分けていますが,簡単に説明すると,難関校とそれ以外の学校では推薦入試の位置づけが異なるということです。難関校を除く多くの学校では,12月中旬ごろに高校側が中学校に示す基準値(内申や出席状況など)(図7)をクリアすると,12月の時点で合格が決まります(確約型)。一方の難関校では,「出願基準」などは示されますが,内申を基準に,面接や作文,適性検査の結果によって合否が分かれます。
図7 基準値の計算方法の例
満点 具体的な数値
135 中2・9科 + 中3・9科×2
(公立高校のA値と同じ)
90 中2・9科 + 中3・9科
50 中2・5科 + 中3・9科
45 中3・9科
25 中3・5科
15 中3・3科

②一般入試枠について

(2)-B 私立受験の際の注意事項

①他校受験【推薦や専願(単願)】…私立高校への進学を第一希望とするので,他の高校を受験することはできません。
②他校受験【併願】…主に公立高校受験者がその私立高校を第二希望(いわゆる,すべり止め)として受験するパターン になります。併願相手は公立高校のみであることが多いです。
③他校受験【一般入試】…日程調整さえできれば,何校でも受験可能です。
私立高校の受験のために準備しておくこと
私立高校を第1希望としている場合,その学校で推薦や専願(単願)での選抜を実施しているのであれば,基準値をクリアして推薦や専願(単願)で受験をすることが望ましいです。 私立高校を,公立高校などのすべり止めとして受験するのであれば,併願での受験をする受験生が多数を占めます。ただし,公立トップ校を受検する場合に,「併願校」の数ランク上の私立高校を一般入試で受験するケースも非常に多いです。なお,一般入試での受験を考える場合,得点力を上げることが重要です。

4.2018年度神奈川県公立入試 科目別講評

1) 英語

全体の問題構成が変更され,大問6以降の読解問題が全体配点の 40 点分となった。正答率の低い英作文の問題は2題か ら1題と変更され,文法の問題は基礎を問う問題が多かった。リスニング問題の配点が 19 点から 21 点へと変わり,出題形式の変更が見られた。正解にたどりつくまでに複数の情報を処理し,その情報を活用する難易度の高い問題も見られるが,全体としての難易度は大きく変わらないと考えられる。
問1:リスニング問題では,配点が昨年度の 19 点から 21 点と変更された。(ウ)の出題形式が表を用いる形に変更され,多くの受験生が戸惑ったと考えられる。内容の聞き取りと,情報をまとめる作業が必要となった。
問4:並べ替え問題では,一昨年の出題形式に戻り,文章の空所を補う形ではなくなった。解答形式は昨年度と変わらない。 (エ)は平成 27 年度とほぼ同様の問題が出題された。
問8:対話文読解問題の中でも,(イ)は,英文を正しく読み取って的確に情報を処理する問題であった。読解問題の中ではもっとも難易度が高かったと考えられる。 今後に向けて,読解問題では,速読と精読の両方の力をつける必要がある。また今後さらにリスニングの配点が上がることも考えられる。英語を取り巻く環境は大きく変わることが考えられる。学校の授業はもちろんのこと,ラジオやテレビなどさまざまな媒体を有効活用し,積極的に英語に触れる機会を作るべきである。

2) 数学

昨年と比べ,大問数の変化はないが,問題数が増加した。全体としては,記述解答形式の配点が高くなり,昨年度より難化 した。 問1は,計算内容が出題されたが,問題数が1問増え,すべて選択解答形式に変更となった。
問2,問3は,小問集合が出題された。問3(ア)で出題された平面図形の問題は,補助線を必要とし,相似を利用する問題であったため,難易度も高く,苦労した受験生は多いだろう。
問4は,関数の問題が出題された。(ウ)は昨年度と同様,三角形の面積に関する問題であったが,計算が複雑なため,難易度の高い問題となった。
問5は,確率の問題が出題された。昨年度と同様,整数の知識を利用する問題であったが,ルールが複雑なため,正確に条 件を読み取る力が必要である。
問6は,円錐を用いた空間図形に関する問題が出題された。(ウ)は特別な直角三角形に注意して,図示をする必要がある。
問7の図形の証明の記述問題は,2つの円の性質を利用する問題であった。証明は理由を部分的に問う記述解答形式に変更となり,角度を求める問題が1問追加された。 高い計算力,条件を正確に読み取る力,平面図形の知識が必要とされるため,各学年で学習する内容を複合的に扱う演習を繰り返し,応用力をつける必要がある。今後は教科書の章末問題を中心に,全国都道府県の入試問題など,様々な出題傾向の問題に触れておくとよいだろう。

3) 国語

難易度は昨年度から大きな変更はなかったものの,問題傾向に多少の変更があった。正答の根拠が傍線部の前後にある傾向は変わらない。 問1の(イ)の漢字の選択問題は,出題形式に変更があり,難度が少し上がった。
問2の古文は,文章量・問題傾向ともに昨年と大きな変化はなかった。主語を意識しながら文章を丁寧に読み進めていけば,正答にたどり着きやすいものであった。
問3の小説は,文章量が昨年よりも増加し,選択問題もやや難しくなった。心情に関する問題だけでなく,文章表現の意図の読み取り問題,登場人物の性格,文章の特徴など,幅広い問題が出題されている。
問4の論説では,記述問題がなくなり,代わりに難度が高めの空欄補充問題が出題された。文章量は昨年とほぼ変わらず,内容は読み取りやすいものであった。
問5の資料読み取り問題においては,記述問題の字数が減った。(イ)は,文章と資料の読み取り問題に変更されているため,昨年よりも難度は上がった。
出題形式の変更や,問題単体の難易度の変化はあったものの,全体的には大きな変更は少なく,丁寧に読解し,傍線部の前後にある根拠をつかんだ上で選択肢を選べば,高得点が望める。

4) 理科

大問構成は小問数で多少の変化はあったものの,全体を通しての難易度等昨年と大きな変化はなかった。ただし,用語を暗記するだけでは対応しにくい問題が多く,問題文の読み取りなどの読解力と,読み取ったうえで内容を整理・考察する力が必要である。また,記述問題の出題が昨年度の2題から1題に減った。
問1・問5の物理分野では,文章や図表から読み取った内容を物理法則に結び付けて考察する必要があった。
問2・問6の化学分野では,化学変化・イオンの問題が出題されたが,問6では実験の意図を汲み取る必要のある出題があった。
問3・問7の生物分野では,それほど高度な知識は必要とされないが,問題文の読み取り力が問われる。問4・問8の地学分野では,読み取り・知識・計算と非常にバランスの良い構成となっている。
今後の対策としては,正確な知識を身に付けるのはもちろんだが,問1(ウ)や問5~問8のように文章や与えられた図・表などから読み取った情報を自らの知識と結びつけていく練習をしていくと良い。

5) 社会

これまでの入試と比較して,難易度がかなり上昇した。大きな変更としては,以下のとおり。問題形式が複雑化し,複数の思考過程を要する問題が増えた。地歴公民の横断問題が増えた。単純な知識で解ける問題が減る一方,知識の背景や原理・原則を理解していないと解けない問題が増えた。記述問題が1問に減少したものの,他の問題の難度が高まったため,時間が足りなくなるおそれがある。各大問の特徴は以下のとおり。
地理では,知識問題をベースとして,それを活用する問題が多く出題されている。知識そのものも,語句の説明部分を理解している必要がある。
歴史では,並び替えに象徴されるように,複数の思考・知識を必要とする問題が多く出題されている。因果関係を主とした歴史の流れの理解が必須。
公民は,地理と同様に知識をベースとして,活用する力を試す問題が多く出題されている。
今後は,単純な知識を身につけるだけではなく,原理原則や知識の背景を理解すること,身につけた知識を活用する力が求 められる。

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