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神奈川県公立高校受験情報

湘ゼミ進学情報戦略部が説明・解説する神奈川県公立高校の受験情報

神奈川県の「公立高校・私立高校受験」に関する情報を掲載しています。

1.2018年度入試状況神奈川県公立高校入試日程・要項(抜粋)

(1)2018 年度公立入試日程

1月29日(月)・30日(火)・31(水) 共通選抜 募集期間
2月5日(月)・6日(火)・7日(水) 共通選抜 志願変更期間
2月14日(水) 共通選抜 共通検査(学力検査等)・特色検査
2月15日(木)・16日(金) 共通選抜 共通検査(面接等)・特色検査 ※予備日
2月20日(火) 追検査
2月27日(火) 共通選抜 合格発表

(2)共通選抜(一次募集)要項

課程 募集区分 検査日・検査内容
全日制の課程 クリエイティブ
スクール以外
〔一般募集〕
〔連携募集〕
〔海外帰国生徒特別募集〕
〔在県外国人等特別募集〕
〔中途退学者募集〕
〔学力検査〕
2/14(水)
〔面接および特色検査〕
2/14(水)・15(木)・16(金)
※面接および特色検査はこの日程の中から各高等学校が検査日を指定する
※一部の学校では19日(月)が検査日となる場合がある
※学力検査問題は全日制(原則5教科)と定時制(3教科)で異なる
クリエイティブ
スクール
〔一般募集〕
田奈釜利谷大楠大井大和東
〔面接および特色検査〕
2/14(水)・15(木)・16(金)
※上記日程から各高校が検査日を指定
定時制の課程 夜間以外 〔一般募集〕
横浜明朋川崎厚木清南相模向陽館横浜市立横浜総合川崎市立川崎
〔在県外国人等特別募集〕
〔学力検査〕
2/14(水)
〔面接および特色検査〕
2/14(水)・15(木)・16(金)
※面接および特色検査はこの日程の中から各高等学校が検査日を指定する
※一部の学校では19日(月)が検査日となる場合がある
※学力検査問題は全日制(原則5教科)と定時制(3教科)で異なる
夜間 〔一般募集〕
通信制の課程 〔一般募集〕
横浜修悠館・厚木清南
〔面接または作文〕
2/14(水)・15(木)・16(金)
※上記日程から各高校が検査日を指定
※合格発表後の入学手続きの日程等については,各高校で定め,合格発表時に案内がある
※共通選抜一般募集で欠員が出た全日制の高校および定時制の夜間以外の課程は,二次募集を行う。二次募集と,定時制の夜間課程および通信制の課程は,その志願時において他の国立・公立・私立・高等専門学校に合格していなければ,同時に出願できる(定通分割選抜)
※インフルエンザの罹患等で共通選抜の一般募集や特別募集,中途退学者募集の学力検査を受検できなかった志願者が希望する場合,2/20(火)の追検査を受検できる。この場合面接や特色検査は実施せず,学力検査(定時制の課程は作文に代える場合がある)のみ実施する

(3)志願資格

全日制
…次の①および②を満たす者
①平成15年4月1日以前に出生し,平成30年3月31日までに中学校を卒業または卒業見込みの人(これに準じると認められた人を含む)
②志願者とその保護者が神奈川県内に住んでいる (平成30年4月1日までに志願者とその保護者が神奈川県内に転居見込み等で,神奈川県教育委員会教育長の承認を受けた場合を含む)
定時制
…次の①および②を満たす者
①平成15年4月1日以前に出生し,平成30年3月31日までに中学校を卒業または卒業見込みの人(これに準じると認められた人を含む)
②志願者が神奈川県内に住んでいるか,勤務地が神奈川県内にある (平成30年4月1日までに神奈川県内に転居するか勤務地が神奈川県内になる見込み等で,神奈川県教育委員会教育長の承認を受けた場合を含む)

(4)学区

神奈川県立高校および横須賀市立高校には学区はなく,県内どこからでも志願ができる
横浜市立(横浜商業高校の全学科,戸塚高校単位制普通科音楽コース,横浜サイエンスフロンティア高校を除く)および川崎市立高校(専門学科を除く)は,原則それぞれの市内を学区とするが,学区外からの入学も可能(ただし人数制限はある)

(5)募集区分

連携募集
連携型中高一貫教育を行うため,茅ケ崎高校と茅ケ崎市立および寒川町立の各中学校,厚木西高校と厚木市立中学校,足柄高校と南足柄市立・中井町立・大井町立・松田町立・山北町立・開成町立の各中学校,愛川高校と愛川町立中学校,光陵高校と横浜国立大学教育学部附属横浜中学校との間で行われる
特別募集
海外帰国生徒特別募集
全日制の志願資格を満たし,原則として保護者の勤務等の関係で,継続して2年以上外国に在住して帰国した日が平成27年4月1日以降の者
高校名 課程・学科等
神奈川総合 単位制普通科国際文化コース
横浜国際 国際科
新城 普通科
西湘 普通科
鶴嶺 普通科
弥栄 単位制普通科
伊志田 普通科
横浜市立東 単位制普通科


在県外国人等特別募集
全日制の志願資格を満たし,かつ,外国の国籍を有する者で,入国後の在留期間が通算で3年以内の者(平成30年2月1日現在)
高校名 課程・学科等
鶴見総合 単位制総合学科
横浜清陵 単位制普通科
川崎 単位制普通科
大師 単位制普通科
弥栄 単位制普通科
弥栄 単位制普通科
橋本 普通科
大和南 普通科
伊勢原 普通科
座間総合 単位制総合学科
愛川 普通科
相模向陽館 定時制単位制普通科午前部・午後部
横浜市立みなと総合 単位制総合学科
横浜市立横浜商業 国際学科

(6)共通選抜(一次募集)における志願変更

①志願変更期間
課程 2月5日(月) 2月6日(火) 2月7日(水)
全日制
単位制による全日制
定時制(夜間以外)
午前
9:00~12:00
午前
9:00~12:00
午前
9:00~12:00
午後
13:00~16:00
午後
13:00~16:00
②一般募集への志願変更手続き
ア  志願変更者は,在籍中学校の校長の確認印押印済みの〔志願変更願〕を,受検票とともに志願先の高校に提出する
イ  志願先の高校から入学願書等の書類の返還を受け,入学願書及び受検票の志願先を抹消し,志願変更先欄に必要事項を記入する
ウ  イと新たに作成した面接シート(その他高校ごとの必要書類があればそれも)を合わせて,志願変更先の高校に提出する
エ  志願変更先の高校から,受検票が交付される
※受検料に差額がある場合には志願変更先高校で納付する(返還はされない)
※神奈川県立高校から横浜市立高校への志願変更等,高校の設置者が異なる場合は,新たに受検料を納付する

2.受検状況の推移

今春の公立中学校卒業生数は昨年と比較して552人減少し,これに合わせ公立高校の募集定員は157人減少しました。公立高校の募集定員は,例年夏頃までに卒業生数の見込み数をもとに公立高校と私立高校間で調整が行われ秋に発表されます。2017度は公立高校の定員が卒業生数のおよそ62%となりました。下表の卒業生数は,学校基本調査における公立中学校の各学年生徒数を卒業年に合わせたものです。
2017年度神奈川県公立高校入試の全体倍率(受検者数÷合格者数)は昨年度から上昇し1.20倍でした。今年度は公立志向もいったん落ち着いたように見られます。今後も1.2倍程度で推移するものと思われます。
◆表 受検状況 共通選抜
年度 募集人員
(人)
(~'13前期選抜) 共通選抜(~'13後期選抜) 共通選抜
実質倍率
(倍)
面接者数
(人)
合格者数
(人)
実質倍率
(倍)
受検者数
(人)
合格者数
(人)
実質倍率
(倍)
2010 41,646 42,792 19,722 2.17 31,671 22,387 1.41 1.23
2011 40,371 40,596 19,125 2.12 30.524 21,651 1.41 1.23
2012 41,431 40,214 19,555 2.06 31,099 22,233 1.40 1.22
2013 42,560 - - - 49,630 42,513 - 1.17
2014 43,760 - - - 51,541 43,849 - 1.18
2015 43,300 - - - 51,157 42,291 - 1.18
2016 43,750 - - - 52,638 43,609 - 1.21
2017 43,593 - - - 52,321 43,476 - 1.20
では,高校ごとの倍率にはどのような影響が出たのでしょうか。
下表は,全日制普通科の受検倍率TOP10です。
この10校は全体倍率を大きく上回る倍率でした。
また,昨年度はTOP10のうち8校が旧学区トップ校でしたが,今年度は7校となりました。上位校を目指す層は志望の意思が堅いことがうかがえます。
◆表 全日制普通科一般コース 受検時倍率TOP10
2017年度入試 2016年度入試
高校 定員 受検者数 受検倍率 高校 定員 受検者数 受検倍率
横浜翠嵐 358 652 1.82 横浜翠嵐 358 674 1.88
新城 268 470 1.75 希望ケ丘 317 507 1.60
横浜緑ケ丘 278 442 1.59 大和 277 440 1.59
多摩 278 436 1.57 多摩 277 431 1.56
川和 318 496 1.56 湘南 357 543 1.52
元石川 358 541 1.51 川和 317 474 1.50
柏陽 318 472 1.48 横浜市立桜丘 318 475 1.49
大和 278 411 1.48 市ケ尾 397 583 1.47
横浜市立金沢 318 469 1.47 光陵 278 408 1.47
横浜市立桜丘 318 469 1.47 柏陽 318 466 1.47
続いて全日制普通科以外の学科の受検倍率TOP10です。この10校も全体倍率を大きく上回る倍率です。川崎市立幸のビジネス教養科は,川崎市立商業からの校名変更と同時に普通科が併置されたことにより前年度よりも定員減となり,倍率が上昇しました。
◆表 単位制普通科・総合学科・専門学科 受検時倍率TOP10
2017年度入試 2016年度入試
高校 定員 受検者数 受検倍率 高校 定員 受検者数 受検倍率
川崎市立橘:国際科 39 73 1.87 弥栄:芸術科美術専攻 39 67 1.80
川崎市立橘:スポーツ科 39 65 1.67 上矢部:美術陶芸コース 39 66 1.77
横浜市立戸塚:音楽コース 39 64 1.64 川崎市立橘:スポーツ科 39 64 1.77
YSFH※:理数科 238 357 1.50 弥栄:芸術科音楽専攻 39 64 1.71
中央農業:畜産科学科 39 58 1.49 有馬:英語コース 39 61 1.70
白山:美術科 39 56 1.44 川崎市立川崎:生活科学科 39 61 1.66
鶴見総合 218 308 1.41 神奈川総合:個性化コース 130 203 1.62
弥栄:スポーツ科学科 78 110 1.41 横浜市立東 268 405 1.55
横浜市立みなと総合 232 326 1.41 YSFH※:理数科 238 358 1.49
川崎市立幸:ビジネス教養科 158 222 1.41 横浜商業:スポマネ※ 39 57 1.45
※YSFH…横浜サイエンスフロンティア スポマネ…スポーツマネジメント科
一方で,定員割れとなった全日制の高校は2015年度15校,2016年度13校,2017年度は19校20学科・コースとなりました。下表は,合格発表後学則定員に満たない場合に実施される「二次募集」の実施校です。地域内でも通いづらいことや,毎年定員の増減があり志願者側と教育委員会および高校側で人気・不人気のずれが生じているなど,いくつか要因が考えられます。今年はクリエイティブスクール5校中4校で二次募集が行われました。
◆表 二次募集実施校
2017年度 2016年度 2015年度
高校 欠員 高校 欠員 高校 欠員
永谷 31 大楠 110 川崎市立川崎 15
大楠 20 川崎市立商業:ビジネス教養 22 上鶴間 12
田奈 18 麻生総合 20 大楠 11
釜利谷 15 磯子工業:電気 12 磯子:GC 10
大井 15 市立南 11 商工:総合ビジネス 10
寒川 14 市立川崎総合科学:総合電気 9 磯子 8
麻生総合:総合学科 14 小田原総合ビジネス:総合ビジネス 9 大井 6
相原:総合ビジネス科 11 磯子工業:機械 7 釜利谷 5
保土ケ谷 10 二俣川看護福祉:福祉 7 三浦臨海 5
大和南 6 小田原城北工業:電気 6 神奈川工業:デザイン 4
津久井 6 小田原城北工業:デザイン 6 商工:総合技術 4
神奈川工業:電気科 6 津久井:福祉 5 川崎総合科学:総合電気 4
川崎市立川崎 4 海洋科学:船舶運航 4 霧が丘 3
瀬谷西 3 市立川崎総合科学:建設工学 3 綾瀬 2
神奈川工業:機械科 2 商工:総合技術 3 川崎市立川崎:福祉 2
城山 1 磯子工業:化学 3 横浜緑園総合 1
藤沢工科:総合技術科 1 海洋科学:一般 2 平塚工科 1
二俣川看護福祉:福祉科 1 津久井 2 藤沢工科 1
川崎市立川崎:福祉科 1 秦野総合 2 川崎市立川崎:生活科学 1
弥栄:美術科 1 磯子工業:建設 1 - -
- - 商工:総合ビジネス 1 - -
※GC…グローバルコミュニケーションコース(現在は募集停止)

共通選抜入試5年目の概況

5年前の入試制度変更で,「内申点」「入試得点」「面接得点」「特色検査得点」の4つの指標を用いるようになりました。合わせて入試得点に差がつくよう,5科目とも出題が難化しました。今年はマークシート方式導入に伴い前述の通り記述式解答から選択式解答になった影響か,5科目とも出題が易化しました。
◆表 共通選抜(全日制)合格者の教科別平均点
英語 数学 国語 理科 社会
2015年度 51.8 52.6 64.4 37.4 50.2
2016年度 43.0 51.7 64.7 46.5 52.0
2017年度 51.9 63.5 73.1 46.9 54.5
これにより自己採点では5科目の合計点も前年度までに比べて26点の上昇が見られました。英語や国語については昨年よりも記述式解答の割合が減少した影響で,合格者平均点も大きく上昇しています。数学も一部の設問で解答を記入する方式から選択式になった影響がみられます。来年度以降の入試についても同程度の難易度となるか,選択式解答の解答方法を工夫して昨年度以前と同じ難易度になるか,注視が必要です

1)第1次選考は内申重視,第2次選考は入試得点重視の傾向

12ページで詳しい入試制度について記していますが,新しい入試制度では第一次選考がS値(内申・入試・面接の総合得点)によって行われます。特色検査実施校では,このS値に特色検査の得点が加わります。この「内申:入試:面接(:特色)」の割合は決められた範囲の中で,各高校が決定します。今春は全日制201学科・コースのうち101学科・コース(全体の半分)が「4:4:2」(内申・学力バランス型)を選択しました。このタイプは昨年度より2学科・コースの増加となりました。また,「面接=2」の割合は昨年度と変わらず全体の95%でした。一方,旧学区トップ校は全17校中,川和,新城,相模原を除く14校が「2:6:2」または「3:5:2」の学力検査重視型です。差のつきやすい入試得点に高いウェイトをかけ,より入試得点の高い生徒に通ってほしいという高校のスタンスがうかがえます。
第二次選考は「入試:面接(:特色)」,つまり内申をのぞいたS値で選考が行われます。今春はこの割合を「8:2」とする高校が昨年よりも5校減り,110校となりました。

2)面接や特色検査の合否に与える影響

新入試制度に伴い,全高校で全受検生が面接を受けるようになって5年目となった今春の入試では,17コース・学科で自己表現検査,11コース・学科で実技検査が行われました。自己表現検査はクリエイティブスクールを除いてそのほとんどが旧学区トップ校で実施されました。筆記試験型の自己表現検査を実施した高校では,非常に高い「理解力」や「思考力」,「表現力」を測るために工夫された検査が行われました。実技検査は,芸術や体育等に関する学科と横浜国際高校国際科で実施されました。いずれも科目ごとの学力検査では測ることができない能力を測るための検査といえるでしょう。
では,この「特色検査」および「面接」は合否に影響を与えるのでしょうか。
◆表 内申と入試開示得点における合否との兼ね合い
高校 内申(A値) 得点(B値) 面接(C値) 特色(D値) 総合(S値) 合否
横浜翠嵐 126 436 92 16 943 ×
126 434 92 36 980
横浜SF 110 427 96.25 30 927 ×
110 411 100 50 961
※横浜SF…横浜サイエンスフロンティア,内申・得点の重点化を考慮したS値です。
上表は「面接」や「特色検査」によって,逆転が起こっていると考えられるケースを一部抜粋したものです。今年度より全受検生に合否結果通知とともに答案開示が行われ,答案の採点結果と面接得点を知ることができるようになりました。同じ内申で5科目の入試得点は思うように取れなかったにもかかわらず,「面接」や「特色検査」による逆転が起こったことが見られます。旧入試制度のように,「内申」と「入試得点」だけでは,学校毎のラインや合格可能性を探ることが難しくなっています。
反面,こういった新入試の傾向が認知されたことで,「内申が過去の受験者平均より低くても入試得点や特色検査で逆転する」作戦が取りやすくなったともいえます。

3)当日欠席は昨年よりも減少

公立高校の入学者選抜は,国私立高校の入学試験直後に行われるので,難関国私立高校を第一志望としその高校に合格した生徒は公立共通選抜を欠席するというケースがあります。下の表は昨春と今春の入試における公立共通選抜欠席率の高い高校をまとめたものです。2016年度の欠席者総数は636人,2017年度は571名と減少しました。
◆表 学力検査 当日欠席TOP10
2017年度 2016年度
高校名 出願者 欠席者 欠席率 高校名 出願者 欠席者 欠席率
横浜翠嵐 760 67 9% 横浜翠嵐 788 71 9%
生田 342 19 6% 多摩 465 28 6%
横浜市立南 56 3 5% 新城 401 21 5%
川崎市立川崎 25 1 4% 生田 420 20 5%
市ケ尾 574 22 4% 横浜市立南 21 1 5%
多摩 469 17 4% 湘南 615 27 4%
湘南 525 16 3% 元石川 485 17 4%
川和 519 15 3% 厚木 477 16 3%
港北 347 10 3% 市ケ尾 610 20 3%
横浜市立東 425 12 3% 川和 502 16 3%

4)3校受験(公立+併願私立+チャレンジ国私立)は増加中

新入試制度になり公立入試の機会が2回から1回に減ったことで,国私立高校を2校以上受験するパターンが増加しています。前述の通り入試得点重視の傾向や特色検査の導入により合否が合格発表まで読みづらくなったことで,公立高校に不合格の場合でも,第一志望の公立と同じレベルの国私立高校に通いたいという生徒・保護者の希望が背景にあります。
よく見られる受験パターンを右表にまとめました。事前相談でいわゆるすべり止めの私立高校を決定し,一般入試(オープン入試)の国私立高校にチャレンジ受験をします。特に横浜翠嵐受検者では約80%,湘南受検者では約60%の生徒が公立と合わせて3校以上の受験をしています。これにより,上述の通り当日欠席や合格発表前辞退の増加につながっています。ただし,一部の私立高校では私立高校同士の併願受験を認めていない場合がありますので,学校説明会等での確認が必要です。
◆表 3校受験の例
公立 私立併願 国私立一般入試
横浜翠嵐 桐蔭学園 東京芸術大学附属
湘南 山手学院 慶應義塾
柏陽 日本大学 早稲田実業
光陵 青稜 青山学院
川和 鎌倉学園 中央大学
横浜緑ケ丘 - 巣鴨
- - 桐光学園

国私立高校入試の概況

今春の変更点を以下に記します。

1)神奈川県内私立の変更点

高校名 変更点
旭丘 クラス分割募集
総合学科大学進学クラス→学業クラス,スポーツクラス
大西学園 商業科募集停止
柏木学園 通信制情報経済科募集停止
普通科情報コース新設
慶應義塾 一次入試 2月12日→10日
二次入試 15日→13日
聖ヨゼフ学園 高校募集開始(定員40名)
総合進学コースとアドバンスト・イングリッシュコースの2コース募集
日本大学 スーパーグローバルクラス新設
白鵬女子 コース再編
メディア表現コース→メディア表現A・B,スポーツコース→スポーツA・B
法政大学女子 国際バカロレア機構よりIB(国際バカロレア)校認定
※2018年から共学化・法政大学国際に校名変更
三浦学苑 普通科音楽選択コース募集停止
横浜富士見丘 グローバル&サイエンスクラス新設
インターネット出願 実施校 北鎌倉女子学園,桐光学園,日本大学藤沢,横浜学園

2)東京都内私立の変更点(一部抜粋)

高校名 変更点
蒲田女子 キャリアデザインコースの分野名称を変更
フード&ファッション,スポーツ健康,アドバンス(国際教養)
神田女学園 グローバルコース新設
コース改編 特別進学コース→アドバンストコース,進学コース→フューチャーコース
関東国際 コース改編 普通科文系コース→日本文化コース
麹町学園女子 高校募集再開
東洋大学グローバルコース(評定3.5以上かつ英検2級・TEAP220点・GTEC CBT 930点以上を満たせば学力試験なしで東洋大学に進学可)
駒込 理系先進コース新設
駒場学園 学科改編 食物科→食物調理科
芝浦工業大学 校名変更 芝浦工業大学附属
共学化 新校舎移転(江東区豊洲)
自由ヶ丘学園 コース改編 特別選抜・総合選抜・総合進学
立川女子 コース改編 総合・文理コース→総合コース
貞静学園 コース改編 特別進学,総合進学,幼児教育・保育系進学
帝京 コース改編 文理コース→進学コース
東京家政学院 コース改編 特進コース→アドバンストコース,総進コース→スタンダードコース
日本工業大学駒場 学科改編 機械科・建築科・電子情報システム科→創造工学科 国際工学科募集停止
日本大学豊山女子 普通科特別進学クラス新設
八王子学園八王子 コース改編 文理コース(特進・選抜・進学クラス),総合コース(文科系・音楽系・美術系),アスリートコース
入試相談開始 文理コース特進クラス
八王子実践 調理科募集停止
日出 コース改編 総合コース→進学コース
国際コース・特進コース新設
目黒学院 男子部総合コース募集停止
八雲学園 特進コース新設
※2018年度併設中学校新1年より共学化,高校共学化は未定
インターネット出願
実施校
岩倉,上野学園,江戸川女子,共立女子第二,啓明学園,工学院大学附属,國學院久我山,国士舘,駒場学園,下北沢成徳,聖徳学園,城北,青稜,瀧野川女子学園,中央大学附属,帝京大学,東京家政大学附属女子,東京純心女子,東京電機大学,東京都市大学等々力,東海大学菅生,桐朋,東洋,東洋女子,日本学園,日本女子体育大学附属二階堂,八王子学園八王子,日出,広尾学園,文化学園大学杉並,宝仙学園,豊南,三田国際学園,立正大学付属立正

3)公立高校とは異なる「合格者数」

下表に,難関国私立高校の応募状況や合格者数,倍率の情報を一部抜粋しました。難関国私立高校に限りませんが,国私立高校の一般入試では定員を超える合格者が出ます。これは,合格者が通う高校を選択するためです。多くの場合は,私立高校をいわゆる「滑り止め」として受験するため,公立高校の合格者が私立高校への入学を辞退します。公立高校へ合格した場合,公立高校への入学を辞退することはできませんので,国私立高校の一般入試では多くの学校で公立高校合格による入学辞退や他の私立高校への合格による辞退者を想定し,定員よりも多くの合格者を出すのが一般的です。
高校 方式 募集人員 応募者数 受験者数 合格者数 実質倍率 高校 方式 募集人員 応募者数 受験者数 合格者数 実質倍率
青山学院 一般男子 80 343 285 77 3.70 法政第二 一般男子 75 588 573 140 4.09
一般女子 510 449 79 5.68 一般女子 60 423 413 103 4.01
渋谷教育
学園幕張
学力男子 約55 443 441 214 2.06 明治学院 1回男子 75 259 232 94 2.47
学力女子 187 185 59 1.51 1回女子 75 405 387 100 3.87
鎌倉学園 B方式 20 90 89 59 1.51 2回男子 30 212 148 40 3.70
慶應女子 一般 約80 427 413 130 3.18 2回女子 30 267 225 43 5.23

神奈川県立高校改革

2016年1月14日に神奈川県教育委員会より「県立高校改革 実施計画(Ⅰ期)」が発表されました。県立高校改革は2016年度から12年間,3期に分けて実施されます。第Ⅰ期は2016年~19年,第Ⅱ期は20年~23年,第Ⅲ期は24年~27年で,今回発表されたものは第Ⅰ期における改革実施計画です。
今回の改革では,「質の高い教育の充実」「学校経営力の向上」「再編・統合等の取り組み」の3つを柱とし,さらに重点目標が全部で7つ設定されています。一部を抜粋します。

1)神奈川県の地域区分

神奈川県全体を大きく5つの地域に分け,再編・統合や学科・コース配置も5地域のバランスに配慮します。 5つの地域は下のとおりです。
横浜北東・川崎…
横浜市鶴見区,神奈川区,港北区,都筑区,青葉区,緑区,川崎市全域
横浜南西…
横浜市西区,保土ケ谷区,旭区,戸塚区,泉区,瀬谷区,南区,港南区,栄区,中区,磯子区,金沢区
横須賀三浦・湘南…
横須賀市,三浦市,逗子市,葉山町,鎌倉市,藤沢市,茅ケ崎市,寒川町
県央・相模原…
大和市,座間市,綾瀬市,厚木市,海老名市,愛川町,清川村,相模原市
中・県西…
平塚市,大磯町,二宮町,秦野市,伊勢原市,小田原市,南足柄市,大井町,中井町,松田町,山北町, 開成町,箱根町,真鶴町,湯河原町

2)多様な指定校

教育課程の研究開発や授業力向上など質の高い教育を行うため,第Ⅰ期は下表の高校を指定校としました。
教育課程研究開発校 新科目『公共』に係る研究 城郷 新城 瀬谷西 湘南台 伊志田 上溝
新たな学習評価に係る研究 鶴見 光陵 茅ケ崎北陵 大磯 海老名
授業力向上推進重点校 港北 松陽 七里ガ浜 藤沢清流
伊勢原 麻溝台
ICT利活用授業研究推進校 生田 横浜旭陵 横須賀大津
秦野 上鶴間 城山
プログラミング教育研究推進校 住吉 横浜緑ケ丘 茅ケ崎西浜
西湘 相模原総合
逆さま歴史教育にかかる研究校 神奈川工業 舞岡 津久井浜
秦野曽屋 大和南
確かな学力育成推進校  永谷 寒川 平塚湘風 津久井
学力向上進学重点校 エントリー校 横浜翠嵐 川和 多摩 柏陽 光陵 横浜平沼
希望ケ丘 横浜緑ケ丘 横須賀 鎌倉
湘南 茅ケ崎北陵 平塚江南 小田原
厚木 大和 相模原
理数教育推進校 多摩 希望ケ丘 横須賀 平塚江南 相模原
グローバル教育研究推進校 神奈川総合 横浜平沼 横須賀明光
鎌倉 小田原 大和西
国際バカロレア認定推進校 横浜国際
外国につながりのある
生徒への教育機会の
提供と学習支援
海外帰国生徒特別募集 神奈川総合 新城 横浜国際
鶴嶺 西湘 伊志田 弥栄
在県外国人等特別募集 鶴見総合 川崎 大師 横浜清陵総合
伊勢原 座間総合 大和南 愛川
相模原青陵 橋本 相模向陽館
国の研究開発にかかる
指定事業の積極的な活用
スーパーサイエンス
ハイスクール(SSH)
西湘 厚木
スーパーグローバル
ハイスクール(SGH)
横浜国際
インクルーシブ教育実践推進校 茅ケ崎 足柄 厚木西

3)再編・統合

神奈川県教育委員会は今回の12年間の改革で県内20~30校程度の削減を行う予定です。そのうちⅠ期では5校程度削減の予定です。
統合対象となる高校は次の通りです。実施時期は高校により異なります。
1.横浜南西地域…氷取沢高校・磯子高校
敷地・施設は氷取沢高校のものを利用し,2020年に全日制普通科の新校となります。2018年度入試より磯子高校一般コースの募集を停止します。
2.横須賀三浦・湘南地域 ①…横須賀明光高校・大楠高校
敷地・施設は横須賀明光高校のものを利用し,2020年に全日制普通科クリエイティブスクールと福祉科を併置する新校となります。2018年度入試より横須賀明光高校国際科の募集を停止します。大楠高校に通う生徒は2020年4月から新校に通います
3.横須賀三浦・湘南地域 ②…三浦臨海高校・平塚農業高校初声分校(昼間定時制)
敷地・施設は三浦臨海高校のものを利用し,農業科の教場は平塚農業高校初声分校の敷地・施設を利用します。2018年に全日制普通科と全日制農業科を併置する新校となります。2018年度入試より昼間定時制の募集を停止します。
4.中・県西地域 ①…平塚農業高校(全日制)・平塚商業高校(全日制総合ビジネス科)
敷地・施設は平塚農業高校のものを利用し,2020年に全日制農業科と全日制総合ビジネス科を併置する新校となります。
5.中・県西地域 ②…高浜高校・平塚商業高校(定時制総合学科)
敷地・施設は高浜高校のものを利用し,2020年に全日制普通科と単位制定時制普通科を併置する学校となります。
6.県央・相模原地域…弥栄高校・相模原青陵高校
敷地・施設は弥栄高校のものを利用し,2020年に全日制普通科・音楽科・美術科・スポーツ科学科の4学科を併置する新校となります。2018年度入試より相模原青陵高校の募集を停止します。

3.入試制度の概要

(1)公立高校の入試制度について

神奈川県の公立高校入試は,一般募集として「共通選抜」と「定通分割選抜※」の2つに分かれています。全日制の公立高校では,2月14日(水)より実施される「共通選抜」を経て選考されます。 「共通選抜」は県内全公立高校の全学科・全コースで1回のみ実施され,学力検査と面接の検査が課されます。一部の学校では特色検査も実施されます。
※「定通分割選抜」…定時制および通信制の公立高校の入試です。全日制とは日程などが異なります。

(1)-A 選考の種類について

選考は「第1次選考」と「第2次選考」とに分かれており,募集定員の90%にあたる合格者を「第1次選考」で決定し,「第1次選考」で合格とならなかった受検者の中から,残りの10%にあたる合格者を「第2次選考」によって決定します(図1)。このとき,「共通選抜」で実施した検査の結果や学校成績などをもとに選考がおこなわれます。あくまでも選考の過程が2段階という意味で,「共通選抜」が2回実施されるということではありません。

(1)-B それぞれの選考の違いについて

2段階の選考の方法には若干の違いがあります。「第1次選考」では,共通選抜において実施された検査の結果に,中学校の内申点(A値)を加えた総合得点をもとに選考がおこなわれます。一方で,「第2次選考」では共通選抜において実施された検査の結果のみを総合得点として選考がおこなわれます。これは,海外からの引越しなどで中学校の内申点がそろわないような受検者に配慮した選考となっています。

(1)-C 各種数値について

選考に使用する数値は,図2のとおりです。
図2 選考に使用する各種数値
A値
中学校成績・調査書の評点・内申点
※中学2年生の後期(3学期)内申と中学3年生の後期仮(2学期)内申を2倍したものを使用する
A値(135点)=中2(45点)+中3(45点)×2
B値
学力検査の得点
※基本5科目受験だが,特色検査実施の場合に3教科もしくは4教科受検の場合もある
B値(500点)=100点×5教科
C値
面接の得点
D値
特色検査の得点
※C値・D値の満点は各高校により異なる
ただし,この4つの数値はそのまま使用されません。一度すべて100点満点に換算されます。換算された数値はあらためて,a・b・c・dという名前になります。換算の例を図3に示しています。
図3 選考に使用する各種数値(換算得点の例)
A値=120/135
B値=360/500
C値=86/100
D値=125/150
の場合
a=120/135×100=88.9/100
b=360/500×100=72/100
c=86/100
d=125/150×100=83.3/100
このように,すべて1度100点満点に計算しなおした数値を,実際の選考に使用します。
図3にあるa・b・cもしくはa・b・c・dを使用して,選考がおこなわれます。(1)-Bに記したとおり,選考は2段階に分かれています。第1次選考では,a・b・cの総合得点で選考がおこなわれ,第2次選考では,b・cの総合得点で選考がおこなわれます。(特色検査実施校では,それぞれの総合得点にdも加わります。)この総合得点のことを「S値」と呼び,第1次選考・第2次選考共に,「S値」の高い順に合格が決まります。神奈川県教育委員会の発表した資料では,第1次選考のS値を「S1」,第2次選考のS値を「S2」と表現しています。この「S値」も単純に合計すればよいというものではなく,図4に示すような計算式で求めることができます。
図4 S値の計算式
【第1次選考のS値】
S1=a×f+b×g+c×h
(特色検査実施校では,さらにd×iが加えられます。)
※f・g・h・iは各学校ごとに設定。f・g・hはそれぞれ2以上で合計10となる整数。iは5以下の整数。
【第2次選考のS値】
S2=b×g'+c×h'
(特色検査実施校では,さらにd×iが加えられます。)
※g'・h'・i'は各学校ごとに設定。g'・h'はそれぞれ2以上で合計10となる整数。i'は5以下の整数。
◎特色検査を実施しない場合,S1・S2ともに1000点満点,特色検査実施校では,1100~1500点満点となります。
◎f・g・hの設定の仕方によって,1000点満点中の割り振りが変わります。
例1) f=2,g=6,h=2の場合
S1= a×2 + b×6 + c×2 = 1000点満点
  200点 600点 200点
例2) f=4,g=4,h=2の場合
S1= a×4 + b×4 + c×2 = 1000点満点
  400点 400点 200点
f・g・hは,各数値が満点の中で占める割合をあらわします。例1では,1000点中の600点を入試得点が占めるのに対し,例2では400点にとどまります。また,学校成績と入試得点が同じ重みであるということが分かります。
ここで重要なのが,高校の特色や高校がどのような生徒に入学して欲しいかが「S値」にもあらわれるということです。「f・g・h・i」の4つの数値は,各高校が数値を決定し,それぞれ内申点(a)・入試得点(b)・面接得点(c)・特色検査得点(d)にかけ合わされます。つまり,各高校がどの数値を重視したいか,どの能力を重視したいかがここにあらわれるということです。
図4-例1では,入試得点を最も重視します。違う見方をすれば,入試得点は学校内申の3倍重要であるというようにもとれます。例2では,学校内申と入試得点は同等の重要度であるということが分かります。これによって具体的にどのような違いが出るのかを図5(ア)(イ)にまとめています。
図5(ア)では,まったく同じ選考用の数値をもつ生徒が,各高校を受験した場合にS値がどのような差になるかを示しています。まず,横浜翠嵐高校と湘南高校,他の2校では,S値の満点が異なります。これは,図4にも記載の通り,特色検査実施の有無による違いです。満点が違うとどのような影響が考えられるのでしょうか。1つは,各数値の重要度に影響が出ます。例えば,湘南高校と大和高校は,特色検査実施の有無以外は同じ数値を採用しています。入試得点を例にとって見てみますと,湘南高校は1100点満点中の500点,大和高校では1000点満点中の500点を占めます。湘南高校の入試得点の満点に占める割合は45.5%,大和高校は50%です。一見すると大和高校のほうが,入試得点が重要であるように見えます。ただ,ここで考えなければならないのが,特色検査の内容です。特色検査の内容は,非常に高い思考力を要し,入試に次ぐ「学力指標」ともなりうるため,湘南高校の「学力指標」が満点に占める割合は, (500+100)/1100×100=54.5% となり,大和高校の入試割合を超えます。重要度は数値からも判断できますが,後述の特色検査の内容がどのようなものになるかによっても違いがでます。では,特色検査を実施しない高校間ではどうでしょうか。大和高校と川和高校は,ともに特色検査を実施しない,S値が1000点満点の高校です。こちらはいたってシンプルで,各高校が設定した数値のとおりの重要度が見てとれます,この2校の場合,大和高校のほうが「入試得点重視」ということになるでしょう。前述の満点による違いもありますが,このように同じ1000点満点の中でも違いが出ます。
図5(ア) 高校によるS値の違い
A値=120/135
B値=360/500
C値=86/100
D値=125/150
の場合⇒
a=88.9
b=72
c=86
d=83.3
【横浜翠嵐高校】
f=2,g=6,h=2,i=2(特色検査実施)
S1=88.9×2+72×6+86×2+83.3×2=
948.4/1200
【湘南翠嵐高校】
f=3,g=5,h=2,i=1(特色検査実施)
S1=88.9×3+72×5+86×2+83.3×1=
882.0/1100
【大和高校】
f=3,g=5,h=2(特色検査実施せず)
S1=88.9×3+72×5+86×2=
798.7/1000
【川和高校】
f=4,g=4,h=2(特色検査実施せず)
S1=88.9×4+72×4+86×2=
815.6/1000
特色検査の有無によって満点が異なるなど,各高校の採用する数値の違いによって,同じ成績,入試得点でもS値に違いが出ます。
図5(イ)では,f・g・hの違いによる,学校内申「1」に対する学力検査の得点の重みを示しています。言い換えると,学校内申の「1」を逆転するために必要な入試得点です。ほぼ,1点で逆転できる学校から,11点でようやく逆転できる学校までさまざまです。入試得点に自信がある場合,2:6:2や3:5:2の高校では受験を有利にすすめられるでしょう。一方で,図5(イ)の表の下へいけばいくほど,入試得点での内申逆転は難しくなるので,受検校選びの際の一要素としては知っておくと良いかもしれません。
  また,このS値の比率以外にも,高校ごとの特色が出る制度があります。それは,「重点化」という制度です。これは,第1次選考では調査書の評定・学力検査の得点に,第2次選考では学力検査の得点に,高校ごとの「重要度」を設定できるというものです。ただし,設定できるのは,調査書の評定であれば最大3科目まで,学力検査の得点であれば最大2科目まで,1から2倍までの範囲で設定できます。S値の比率以上に高校ごとの違いがはっきりと出るので詳細は資料を参照ください。「重点化採用校」では「どの科目に力を入れているのか」が最も分かりやすい指標となっていますし,裏を返せば,「重点化非採用校」ではすべての科目を重視しているともとれます。つまり,先述のA値についても高校によっては135点満点でない場合があり,図5(イ)についても重点化採用の高校ではこの限りではありません。
図5(イ) 内申「1」に対する学力検査の得点
比率 (f:g:h) 学力検査
2:6:2 1.2
3:5:2 2.2
3:4:3 2.8
4:4:2 3.7
3:3:4 3.7
4:3:3 4.9
5:3:2 6.2
5:2:3 9.3
6:2:2 11.1

(1)-D 面接について

現在の神奈川県公立入試の大きな特徴の1つですが,面接検査は受検者全員に課されます。以前の入試制度においては,前期選抜受検者のみに課されていました。面接については,各校共通の評価観点として,「入学希望の理由」「中学校での教科等に対する学習意欲」「中学3年間での教科等以外の活動に対する意欲」が設けられています。これに加えて,学校ごとに異なる評価の観点も設けられています。
また,面接を受けるにあたって「面接シート」の提出が義務付けられています。このシートそのものを評価されることはありませんが,面接はこのシートをもとに進められるため,内容や構成などをしっかりと考えて書く必要があります。面接シートに書かれていることと違うことを面接で話してしまうことがないよう,面接練習とあわせて書き上げていくことが重要です。

(1)-E 特色検査について

もう1つの特徴として特色検査があげられます。すべての学校で課されるわけではなく,入試により学校の特色を反映させたい学校が実施することが多いです。特色検査は「自己表現検査」と「実技検査」の2つに分かれます。「実技検査」は,専門学科が採用することが多く,主に専門的な技能(音楽の技能やスポーツ技能など)を測る検査となっています。「自己表現検査」は,これまでの入試制度においても「自己表現活動」という名称で一部高校が導入していました。内容は多岐にわたり,グループディスカッションやスピーチ,与えられた課題に対する「論述」を問うものまでさまざまです。特に,論述形式の検査を実施する高校では,非常に高い「思考力」「判断力」「表現力」を求められる上,科目横断的な課題を課されるため,教科学習だけでは対応することが難しいケースも存在します。過去2回の入試では,音楽など技能4科目にまで範囲を広げた高校も存在しました。横浜翠嵐高校の自己表現検査などは,誰も見たことのないような題材かつ高度な読解力と思考力,加えて「スピード」も期待されるという非常に難易度の高い検査でした。特色検査実施校の受験を考えている場合,教科学習に加え,日常から思考力を鍛える訓練が必要になってきます

(2)国私立高校の入試制度について

国私立高校での選考方法は,主に推薦枠と一般入試枠の大きく分けて2通りあります。(図6)
図6 国私立高校受験の種類
受験様式 受験形態 基準値のクリア 試験日 選考項目 他校受験
推薦枠 推薦 必要 1月
下旬
調査書
(一部で、面接、作文、適性検査などを実施)
推薦
(確約型)
×
一般
入試枠
専願
(単願)
2月
中旬
学力検査
(一部で、面接を実施)
×
併願
(併願優遇)
一般入試
※不合格の場合,他の私立高校を受験可能。ただし,一般入試枠に限る。

(2)-A 受験形態の違いについて

①推薦枠について

大きく2つに分かれます。図6では,推薦と推薦(確約型)とに分けていますが,簡単に説明すると,難関校とそれ以外の学校では推薦入試の位置づけが異なるということです。難関校を除く多くの学校では,12月中旬ごろに高校側が中学校に示す基準値(内申や出席状況など)(図7)をクリアすると,12月の時点で合格が決まります(確約型)。一方の難関校では,「出願基準」などは示されますが,内申を基準に,面接や作文,適性検査の結果によって合否が分かれます。
図7 基準値の計算方法の例
満点 具体的な数値
135 中2・9科 + 中3・9科×2
(公立高校のA値と同じ)
90 中2・9科 + 中3・9科
50 中2・5科 + 中3・9科
45 中3・9科
25 中3・5科
15 中3・3科

②一般入試枠について

(2)-B 私立受験の際の注意事項

①他校受験【推薦や専願(単願)】…私立高校への進学を第一希望とするので,他の高校を受験することはできません。
②他校受験【併願】…主に公立高校受験者がその私立高校を第二希望(いわゆる,すべり止め)として受験するパターン になります。併願相手は公立高校のみであることが多いです。
③他校受験【一般入試】…日程調整さえできれば,何校でも受験可能です。
私立高校の受験のために準備しておくこと
私立高校を第1希望としている場合,その学校で推薦や専願(単願)での選抜を実施しているのであれば,基準値をクリアして推薦や専願(単願)で受験をすることが望ましいです。 私立高校を,公立高校などのすべり止めとして受験するのであれば,併願での受験をする受験生が多数を占めます。ただし,公立トップ校を受検する場合に,「併願校」の数ランク上の私立高校を一般入試で受験するケースも非常に多いです。なお,一般入試での受験を考える場合,得点力を上げることが重要です。

4.2017年度神奈川県公立入試 科目別講評

1) 英語

全体の問題構成は昨年度と大きく変わらないが,設問数,配点に多少の変更があった。大問7以降の読解問題が全体配点の45点分となり,語数は昨年度よりも減少しているため,難易度は易化したと考えられる。大問4の語順整序問題は,文章中に組み込まれる形となった。また,昨年度と異なり,3番目と5番目のみを答える問題となったため,もっともマークミスが起こりえる箇所と考えられる。大問5,6の英作文は2問から1問に減少した。
問1:リスニング問題。放送時間は9分強で例年通り。(ア),(イ)ともに,放送内容語句と選択肢の語句が言い換えられている問題もあり,内容を確実に聞き取り,理解する必要があった。
問4:並べ替え問題。6つの語句から5つを選択し,3番目と5番目を答える形式に変更となった。入試制度変更後,分詞・関係代名詞は連続して今年度も出題されている。
問8:グラフなどを使った読解問題。昨年度と同様,文章以外の細かい部分にも注目する必要があった。(イ)は,メールの送受信者に気をつけながら解答を出すべき問題。
今後に向けて,文章の中から必要な情報を集め,それを適切に処理する力をつける必要がある。4技能をバランスよく学習する必要がある。


2) 数学

例年と比べ,大問数の変化はないが,設問数が減少した。全体としては,マークシートを利用した選択解答形式の導入もあり,昨年度より難易度は易化した。 問1,問2,問7で記述解答形式の問題が出題された。
配点も問1,問7以外は変化しており,軒並み1問あたり5点にひき上げられた。
問4は,例年問3で出題されていた関数の問題であった。昨年度と同様,図形の性質を利用した問題が出題された。三角形の面積を二等分する直線上の点の座標を求める難易度の高い問題であった。
問5は,確率の問題が出題された。約数や倍数といった整数の知識を利用する問題であった。
問6は,三角錐を用いた空間図形に関する問題が出題された。過去にも出題された典型的な問題であった。
問7は,例年通り,図形の証明の記述問題が出題された。図形の性質や教科書で扱われている定理を理解していれば対応ができる問題であった。
複数の設問で平面図形の知識が必要とされるため,各学年で学習する内容を複合的に扱う演習を繰り返し,応用力をつける必要がある。
近年,入試問題の内容や出題形式は毎年変化している。今後は定期試験や神奈川公立入試を中心に,全国都道府県の入試問題など,様々な出題傾向に触れておくとよいだろう。


3) 国語

昨年と難易度に大きな変更はなかったが,問題の傾向に変化が見られた。変更は以下のとおり。
問1の漢字の書き取りが選択問題になった。
問3の小説において記述問題がなくなった。
問4の論説の文章において抽象度が上がり,やや難度が上がった。
全体的な問題の傾向として,選択肢の作り方に変化が見られた。これまでの選択肢は,正答以外は本文の内容と異なるという比較的消去しやすいものが多かった。しかし,今回の入試では,本文の表現を踏まえた誤った選択肢が多くなった。また,選択肢も一部分のみが書かれていないというものが多くなり,判断に迷うものが増えた。
今後の対応としては,誤った選択肢に惑わされないためにも,消去法に頼らずに答えを自分で作り上げる力や,本文に書かれていない選択肢を明確に見分ける力を身につけることが必要である。同時に,文章が抽象化しても内容を理解できる読解力が必要である。これらの力を身につけるためには,神奈川県入試だけでなく,様々な都道府県の入試に触れるのが効果的である。


4) 理科

大問構成は,小問数や配点で多少の変化はあったものの,昨年と大幅に変わらなかった。
全体を通しては,2年連続で易化したといえる。ただし易化したとはいえ,引き続き用語を暗記するだけでは対応しにくい問題が多く,問題文の読み取りなどの読解力が必要である。また,記述問題の出題が昨年度の3題から2題に減っている。
問1・問5の物理分野では,例年みられた「浮力」の問題は出題されなかったが,問5の物体と運動エネルギーの実験は例年出題されないタイプのものだった。問2・問6の化学分野では,定番の問題が出題された。問3・問7の生物分野では,それほど高度な知識は必要とされないが,問題文の読み取り力が問われる。問4・問8の地学分野では,読み取り・知識・計算と非常にバランスの良い構成となっている。
今後の対策としては,正確な知識を問う問題が増加したため,ふだんから定期試験レベルの理解をしておくことが必要である。また,問3(ア)・(イ)や問4(ウ)・問5・問7・問8のように文章や与えられた図・表などから必要な情報を読み取る練習をしていくと良い。


5) 社会

大問構成に大きな変更はなかったが,問題数は昨年度より減少した。昨年までの長めの論述問題が1題に削減され,解答時間に余裕のあった生徒も多いのではないか。全体を通して時事問題と絡めた出題が多いのが特徴である。問1 の時差問題は複数の要素があるため,情報の整理が必要である。他都県で近年出題の多い農業生産品に関して,気候と合わせて確認しておきたい。問2の地形図の問題は例年通りだが,資料から該当する都道府県を選ばせる出題が特徴的。単純な語句の暗記でなく,それぞれの地域ごとの地形・交通・産業の特徴をおさえておく必要がある。問3は産業史や文化史に関する出題が多かった。政治史を縦の時系列で覚えるだけではなく,横の知識が問われる傾向は来年度以降も続くと考えられる。説明を図版などと併せて学習できるかが重要である。問4の近現代史の語句問題は単なる暗記だけではなく,その周辺知識も必要である。(ウ)の論述問題は例年にない字数制限が設けられていないものであるが,資料の特徴的な変化を読み取り,条件と併せて書くことで正解に近づく。問6の公民分野で出題された(エ)の論述については,条件に指定された語句をもとに,グラフ・資料の特徴をつかみ,忠実に記述できるかが重要となる。

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