湘南ゼミナール

神奈川県公立高校受験情報

神奈川県の公立高校入試制度(全日制の課程)

神奈川県の公立高校入試は、一般募集として例年2月中旬に実施される「共通選抜」を経て選考されます。
「共通選抜」は県内全公立高校の全学科・全コースで1回のみ実施され、学力検査と面接の検査が課されます。また、一部の学校では特色検査も実施されます

「入学者選抜」の概要(令和5年度)

共通選抜:1回のみ(志願先の高校にて実施)
選考:第1次・2次の2回
志願資格:県内に住所を有する方であれば、どの高校でも出願可(県外からでも承認を得れば出願可)
※出願後、指定期間中に1回の志願変更が可能です。

選考の流れ

第1次選考:募集定員の90%の合格者を決定
第2次選考:募集定員の10%の合格者を決定
※1回の検査結果をもとに、第2次選考では「学習の記録(内申)」を除いた点数の上位10%(定員に対し)の合格が決定されます。

「共通選抜」の選考資料と内容(令和5年度)

※上記に加え、横浜翠嵐高校をはじめとする学力向上進学重点校・エントリー校など高校・学科によっては特色検査を実施します。

学習の記録(内申)

中学2年生の9教科の内申合計(45点満点)+中学3年生の9教科の内申合計(45点満点)×2=合計135点満点
※各高校の判断で3教科以内、教科ごとの「2年生の内申+3年生の内申」を2倍までの範囲で傾斜配点する場合があります。

学力検査

国語・社会・数学・理科・英語の5教科・各50分/各100点、合計500点満点
※特色検査を実施する場合、学力検査が3教科となる場合があります。
※クリエイティブスクールは学力検査を行いません。

面接

受験生1人につき10分程度の個人面接試験
面接官となる高校の教員は2名以上で、出願時に提出する面接シートと調査書の内容を参考に面接が進められます。
面接には共通の観点に加えて、学校ごとの観点を設ける高校もあります。

共通の観点

学校ごとの観点

※面接を重視する学校の場合、その他の観点として「学校生活におけるルールとマナーを守ろうとする姿勢」「自己の理解(長所・自己アピール)」などを公表している学校もあります。

特色検査

特色検査(自己表現検査)「共通/共通選択問題」で実施する高校 ※計18校

横浜翠嵐/川和/希望ケ丘/横浜平沼/光陵/柏陽/横浜国際(単位制国際科・国際バカロレアコース)/横浜緑ケ丘/多摩/横須賀/鎌倉/湘南/茅ケ崎北陵/平塚江南/小田原/厚木/大和/相模原

内容

提示された文章や資料を読み取り、中学校までに習得した知識・技能を教科横断的に活用して問題を解決する思考力・判断力・表現力や想像力など総合的な能力や特性を見る検査です。

特色検査を独自の問題で実施する高校 ※計7校

田奈/釜利谷/横須賀南/大井/大和東/神奈川総合(単位制舞台芸術科)/横浜サイエンスフロンティア(単位制理数科など)

内容

グループ討論やスピーチなど各校が設定する評価の観点に沿った検査が実施されます。

特色検査問題は、考え方・表現力・コミュニケーション能力などにも反映される問題となっているため、入試に向けて学ぶことで、その先の高校生活を過ごすうえでも大きな成長に繋がります。
また、新学習指導要領に基づいて2021年度より大学入試制度改革で実施している『大学入試共通テスト』でも知識の活用力を問う問題が重要視されていることから、高校入試で特色検査の問題を解く力が基礎学力として生きていきます。全国的に見ても、こうした教科横断型の入試問題が出題される傾向が広がっています。

「共通選抜」の選考基準(令和5年度)

共通選抜は、学習の記録(内申)・学力検査・面接・特色検査のそれぞれを100点満点に換算し、各高校で定めた係数をかけて合計した「S値」で選考します。
※第1次選考では学習の記録(内申)と学力検査、第2次選考では学力検査のうち、一部の教科で配点を2倍とするなど重点化する学校があります。

共通選抜における「S値」の計算方法

A値/内申

【中2生 内申】9教科×5段階=45点満点
【中3生 内申】9教科×5段階(45点満点)×2=90点満点

合計135点満点
※100点満点に換算した数値を(a)とする。

B値/学力検査

学力検査(3~5教科)各教科の得点合計
※100点満点に換算した数値を(b)とする。

C値/面接

面接の観点ごとの得点合計
※100点満点に換算した数値を(c)とする。

D値/特色検査

特色検査の観点ごとの得点合計
※100点満点に換算した数値を(d)とする。

A~D値の得点を100点満点に換算し直した(a)~(d)を、各学校で定める配点基準に沿って算出します。

ポイント

合否判定では、内申点/学力検査/面接/特色検査のうち”どれで勝ちにいくのか”を見極めて、他の受験者と比べて自分の強みを発揮しやすいもので入試を突破していけるという趣旨のシステムになっています。

なかでもA値(内申点)は、新学習指導要領の全面実施により「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で評価されるようになりました。

地域・中学校・先生によって評価が異なる点も見受けられ、中学校によっては圧倒的スピードでカリキュラムを前倒して進め、中3の後期からは復習に入るという早いスピードで指導する学校もあれば、中3内容が終わるのが入試後という学校もあります。
そのため、A値(内申点)だけを実力とみなすことはとても難しく、模試の結果と併せて見ていくことが重要です。

【具体例】高校別の配点比率で計算する

第2次選考では、内申の配点がありません。そのため、中学2年生からの成績が芳しくないが、試験までに学力を上げていったお子様たちが、第2次選考で合格できる可能性を残した制度となっています。
入試制度としては、長期的にコツコツ頑張るお子さまが比較的評価される一方で、面接や成績よりも学力検査を重視している学校もあります。

「特色検査」自己表現検査(共通問題・選択問題)実施校 2023年度(令和5年度)入試 選考基準

(*)横浜国際は評定4:学力検査4:面接2:特色検査1、国際バカロレアコースは特色検査比率が2となります。
(*)横須賀高校は重点化項目を設けています。[調査書] 英,国,数(×2)

神奈川県発表資料より抜粋

ポイント

上記表の「内申点」と「学力検査」という2つの配点比率だけを見ても、合否に関わる大きな違いが伺えます。

例えば、
内申:学力検査の比率が2:6の横浜翠嵐高校と、4:4の川和高校を比べて見ていきます。

内申点が4だったものを5に上げることは、とても大変なことです。
定期試験の点数を大幅に上げ、提出物の質や授業態度を改善して…という努力を数カ月以上継続してこそ得られるのが内申点5です。

しかし、やっとの思いで手にいれた内申点1ポイント分は、入試本番の学力検査5教科 500点でいうと正解の丸1つで追いつけてしまうケースもあります。

A値(内申)1ポイント分を挽回するのに必要な学力検査の得点で見ていくと、
・横浜翠嵐高校の配点比率では、学力検査およそ1.2点分に値し、漢字の正答1問分(1問2点)程度で挽回できる
・川和高校の配点比率では、学力検査およそ3.7点分に値し、選択問題1個分(1問4点)程度の正答で挽回できる

となります。

A値(内申)1ポイントで上記の差となる為、A値(内申)が10ポイント足りないとなった場合には、
・横浜翠嵐高校で12点分
・川和高校で37点分

となります。

この場合、横浜翠嵐高校では、他の翠嵐受験者より5教科合計で2~3問多く得点すれば挽回できるものが、川和高校の場合は他の川和受験者より37点分と非常に多く、入試問題が簡単で受験者の点数差がつかなくなってしまうと挽回が不可能な差となってしまいます。

このように、各高校の配点比率を見比べ、自分の志望校に合格する為には何で勝負すると良いかをしっかりと見極める必要があります。

「面接」の選考基準(令和5年度)

神奈川県の公立高校入試では、受験者全員に面接試験が課され、受験生1人につき10分程度の個人面接試験が行われます。
面接官となる高校の教員はおおよそ2名以上で、出願時に志望理由や自己PRを記入した面接シートを提出し、その面接シートと調査書の内容を参考に面接が進められます。

面接の観点

中学校での学習意欲や、校内外の教科外活動などに対する意見を見ていきます。 また、高校に入学してからの活動意欲や、将来の展望など「学校ごとの観点」を設定することもあるため、神奈川県が公表する選考基準一覧表を確認するようにしましょう。

選考基準一覧表(神奈川県ホームページ)参照はこちら

ポイント

得点に差が付く学校と、差がつかない学校の違いは?

面接で差の付く学校の場合は合否に影響することもある反面、差がつかない学校では、一番面接の得点が高い受験生と一番低い受験生の差が1点もついていないという学校もあります。

しかし、どの受験生も面接シートに自己PRを書いて高校に提出する必要があります。
皆さんは少なからず「面接を受けるからには、伝えることだけはしっかり伝えきりたい」「思い通りに話せず、後味の悪い面接はしたくない」という想いがあるかと思います。もし、面接で差があまりつかない高校を受験するとしても、後悔なく自分をPRできる程度になるためには、ある程度の練習は必要になるでしょう。

面接重視の高校を受験するなら、努力が必要

面接官となる高校の先生方は、1日に何十人もの受験生を面接します。

各高校において設けられた採点指標をもとに、評価シートに各受験生の面接結果を都度記入してはいくものの、実際には採点官は面接を繰り返すなかで他の受験生と比べてどうか…といった相対的な評価を無意識に考えてしまうものです。

面接を重視する学校を受験する場合には、採点官の目に「あの子の面接は良かった!」と、印象に残るレベルにまで仕上げていく必要があります。

学校が欲しい生徒像にマッチしたアピールポイントを探し、それらを本番でしっかり伝えきれるような面接が求められます。こうした面接レベルに達するには、面接を重視しない学校を受ける生徒に比べて数倍も時間を掛けて練習していくこととなります。

神奈川県の公立高校では2022年度より、求める生徒像がわかる「スクール・ポリシー」が公開されています。

各高校の課程ごとに策定されているため、“ 自分が志望する高校が、どのような生徒を求めているか ” を把握して、自身の強みを生かした受験の準備に取り掛かりましょう。

神奈川県立高校の「スクール・ポリシー」

注意!令和6年度入試からは面接が廃止

神奈川県は、“ 10分程度で実施している面接において、生徒の意欲を測ることはできても、新学習指導要領で求められる日頃の学習に向かう姿勢(「学びに向かう力」)を適切に評価することは困難であること ・選抜期間が長期に及ぶことに伴い、中学校教育、高等学校教育のいずれにも影響があること “を理由に、2024年度(令和6年度)入試から共通選抜の面接を廃止することを決定しています。
代わりに、特色検査実施校の中で面接が実施されるケースが想定されています。

2024年度(令和6年度)神奈川県公立入試の日程

募集期間
2024年1月24日(水)~1月31日(水)まで ※土日を除く
志願変更期間
2024年2月5日(月)~7日(水)まで
※連携型中高一貫教育校連携募集は除く
学力検査等の期日
2024年2月14日(水)
面接及び特色検査の期日
2024年2月14日(水)、15日(木)及び16日(金)
※連携型中高一貫教育校連携募集は2月15日(木)のみ
※インクルーシブ教育実践推進校特別募集は2月15日(木)及び16日(金)のうち、当該高等学校長の定めた期日
追検査の期日
2024年2月20日(火)
合格者の発表
2024年2月28日(水)

※神奈川県2023年4月27日発表情報より
※二次募集に関する情報は 神奈川県公式HPにてご覧ください。