湘南ゼミナール 神奈川県公立高校受験情報

2026年度公立高校入試 5教科 分析資料

【英語】

問題形式や大問ごとの問題数が変更となり、戸惑った受験生も多かったのではないか。得点しやすい文法問題が増えた一方、読解問題の語数は過去最高水準で難易度が高かった。平均点は例年並みかやや下がると考えられるが、得点のばらつきは大きいことが予想される。

問1:リスニング問題。(ア)(イ)については選択肢が短く、解きやすかった。(ウ)は長い文章の要点をとらえる必要があったため、難易度は高かった。
問2:英単語を補充する選択問題。選択肢だけでなく、対話文中にある語彙力も求められた。語彙レベルは、英検準2級レベルは必要と考えられる。
問3:空所を補う文法問題。問題数は増加、一問に対する配点が3点から2点に変更。基礎的な文法力を問う問題が多かった。(カ)は仮定法か直説法を判断する問題。
問4:並べ替え問題。問題数は増加、一問に対する配点が4点から3点に変更。(ウ)頻出の後置修飾の問題。時制が現在進行形になっていること、過去分詞による後置修飾になっていることで難易度を上げている。
問5:英作文問題。現在完了を用いた英文を作ることは難しくない。主語を見誤ってしまった生徒が多かったのではないか。
問6:読解問題。出題形式が大きく変わった。職場体験に関する文章。語数は昨年度よりもやや増加して約650語。(ア)の問題はa notebook, and pens を stationeryに言い換えられていることを理解できている必要がある。
問7:資料を使った読解問題。語数は約600語程度。特に(イ)は極めて良問だった。空欄に当てはめるための条件を正しく理解すること、登場人物の状況を判断するために、時制を正確に理解していることが求められた。学力上位校であっても合否を分ける問題になったのではないか。
問8:対話文読解問題。語数は約750語で、昨年度よりもやや増加。内容一致問題の形式と配点が変わった。「本文を最後まで読んだうえでの全体理解」と「設問に対する明確な根拠の特定」の両方が必要。話の流れや筆者の意図をつかまずに部分だけを拾って判断すると誤答につながる。

文法知識の正確さだけでなく、文章全体の流れをつかみ、必要な情報をすばやく読みとる力が重視される。特に大学入学共通テストと同様に、語彙力、言い換え・パラフレーズを見抜く力が得点の鍵となる。一定量の英文を継続的に読み、要点把握と根拠確認を徹底する練習を積み重ねることが重要である。

【数学】

全体的な構成、出題傾向や出題数、配点に大きな変化は見られなかった。昨年度に引き続き、平面図形を中心に難易度が高い問題が多く出題され、関数、確率においては条件整理や計算処理に正確さが求められるものが出題された。

問1の計算は、例年と出題数・配点・難易度に変化はなかった。
問2の小問集合は、例年と出題数・配点・難易度に変化はなかった。昨年度に引き続き、回転体が出題された。
問3の(ア)(ⅱ)は、線分の長さを求める問題であった。3:4:5の直角三角形や等脚台形に気づき、相似な図形も利用して求める難易度の高い問題であった。(イ)は箱ひげ図の問題であり、昨年度と比べると解きやすかったであろう。条件をよく理解し、選択肢を絞り込む必要がある。(ウ)は三角形の面積を求める問題であった。三角形AFEにおいて三平方の定理から長さを求めることから始め、相似な図形の性質などを利用して求める難易度の高い問題であった。(エ)は、サイクリングコースを周回する問題であった。2人がすれ違った地点、時間を求めてから、速さが変わった後の数量関係をつかめれば比較的解きやすかったであろう。
問4の関数(ウ)は、2つの三角形の面積が等しくなるときの点の位置を求める問題であった。比較すべき線分・図形を取り違えないよう、正確に把握する力が求められた。
問5の確率は、さいころの目の数に応じて3つの箱の玉を移動させる問題であった。特に操作2が場合分けを必要とする煩雑なルールとなっており、どの箱からどの箱に玉を移動させるかを正確に把握することが難しい問題であった。
問6の空間図形は、円柱が久しぶりに出題された。(イ)は、円柱内部の三角形の面積を求める問題で、直角三角形であることに気づくことができるかがカギとなる問題であった。

学年・単元に偏りなく出題されているため、教科書の巻末問題、神奈川県の学力検査や追検査をはじめ、都道府県の入試問題など、様々な出題傾向の問題に触れておきたい。

【国語】

難易度は例年並みかやや難。大問構成・配点に変化はなかった。
問1(ア)のc「草履」は、昨年同様に熟字訓が出題された。(ウ)の短歌の鑑賞文は、歌人の視点をとらえられれば比較的易しい。
問2の小説は、明治期、日本美術の復興に尽力したフェノロサと、写真師である主人公の対話を描いた作品。例年と異なり、昨年、論説で出題された傍線部のない問題が小説でも出題された。全体的な難易度は例年と変わらないが、(オ)の設問で冒頭に戻る必要があるため時間がかかる。
問3の論説は、 AI(人工知能)と人間の知性の決定的な違いを「身体性」の有無から論じた文章であった。語句の問題は昨年同様、対義語が出題された。文法は例年、助詞か助動詞が出題されているが、今年は助詞が出題された。
傍線部や範囲の指定がない問題が今年も出題されたので、今後のトレンドになっていくと思われる。人工知能と人間の差とは何か、という議論に触れてきていないと後半が読み取りにくかったかもしれない。
問4の古文は、『宇治拾遺物語』からの出題で典型的な説話。だれが何をしているかを細かくおさえられないと選択肢で迷いやすい。
問5は、空欄補充と条件語を用いる記述という構成は昨年と同様であった。自分の枠から出ることと真似ることについての文章。複数の文章やメモを照らし合わせ、空欄の前後につながるようにまとめ直す力が求められる。設問の難易度は昨年より易しくなった。
今後の対策としては、言語・芸術・哲学などの抽象度の高いテーマの文章を中心にAIなどの最新テクノロジーに関する長い文章と選択肢を的確に読み解く対策をするとよいだろう。

【理科】

昨年度から続く傾向として、問題の条件は複雑すぎず、取り組みやすさを感じた受験生も多かったはずだ。一方で、知識問題は全般に細部まで問われる内容となった。さらに、昨年度は皆無だった「完答形式」の問題が今年度は再び出題されており、より正確で緻密な知識の定着が必要とされた。

問1:物理の小問集合。(イ)のばねばかりは珍しい形式の出題のされ方だった。ばねばかりの測れる上限から、ばねののびがどうなるかを読み取る力が必要だった。
問2:化学の小問集合。(ウ)の化学反応式のモデル図の問題で、未知の物質に関して与えられたモデル図から残りを類推する力が問われた。
問3:生物の小問集合。知識中心の問題だが、(イ)については、問題文を正確に読み込んでいくことが必要であった。
問4:地学の小問集合。知識だけではなく、問題文や選択肢を正確に読み取る力が必要であった。
問5:電流による発熱の出題。(ウ)の(ⅱ)については、電圧が2倍になったときに電力が4倍になることに注意が必要だった。ただ、普段からの練習を積んでいれば比較的解きやすい問題であった。
問6:イオンと電池からの出題。非常に標準的な問題。(エ)については、表を正確に読み取る力が必要だった。
問7:光合成と呼吸についての出題。(イ)では、実験結果についてではなく、対照実験を成り立たせるための実験方法について問われた。問題文の正確な読み取りと対照実験に対する本質的な理解が必要であった。
問8:天体分野からの出題。(エ)については、問題文から与えられた情報を用いて、作図が出来れば解きやすかったか。ただ、作図が終わった後も計算が必要であり、様々な力が問われる問題となっていた。

今後の対策としては、これまでと変わらず、問題を解くために必要な情報を問題文から素早く正確に読み取る力を養いたい。また、読み取った情報を可視化できる力も必要となる。教科書内容の知識を理解するだけに留まらず、グラフや図が何を意味しているのかまでを考察し、理解する必要がある。

【社会】

問題構成は昨年度と同様で、大問は全7問、小問は34問であった。地理・歴史・公民の各分野からバランスよく出題され、問7では、例年通り分野融合型の資料問題が出題された。形式面では、8択の問題が昨年度の3問から7問へと4問増加した。全体の傾向としては、用語知識だけでなく、資料や提示された文章を根拠に、複数の文の正誤を判定する形式が目立ち、単純暗記だけでは得点しにくかったと言える。また、資料を読み、条件に沿って正誤・妥当性を判断する負荷が上がったため、総合的には昨年度よりやや難化したと考えられる。

問1・問2は、基礎的な知識を問うとともに、資料を読み取る問題が多く出題された。特に問1(オ)の「日本の首相の外国訪問回数」に関する資料問題や、問2(イ)の神戸市に関する資料問題は、複数資料の処理を要求するものであり、地理分野としては思考負荷が高い問題となった。

問3・問4の歴史は、基礎的な知識を問う問題と、細かな史実の理解が求められる問題がともに出題された。問4(エ)では、グラフから景気変動を読み取りつつ、石油危機や日米貿易摩擦などの時期の理解も求められ、歴史でも資料の読み取りと解釈の力が問われた。

問5・問6の公民は、税や財政などの細かい知識を求める問題に加え、ここでも多くの資料問題が出題された。特に選挙制度をテーマにした問6(エ)の問題は、空欄を伴う文意を理解しつつ、表の数値から正確に差分を求める力が問われ、今年度の問題の中でも特に負荷が高かったと言える。

問7は、昨年度と同様、地理・歴史・公民の融合問題が出題された。時差・地図の性質に関する正誤判定、19世紀の三角貿易、統計資料から国を特定する問題などが出題された。また、(エ)の資料問題は、資料間の対応関係を丁寧に確認する必要があり、終盤での集中力と処理スピードが得点差につながったと言える。

総じて、今年度は、用語を覚えているだけではなく、定義・制度・背景を正確に理解し、資料を根拠に判断する力が強く求められた。教科書レベルの知識をしっかりと定着させることはもちろん、資料の読み取り問題について、一問一問を正確に素早く処理する反復練習が重要と言えよう。