湘南ゼミナール 神奈川県公立高校受験情報

2023年度公立高校入試 5教科 分析資料

【英語】

大問構成・配点などに大きな変化はなかった。使用されている語数は昨年度から減り、解きやすくなった問題も多くなったため、易化したと考えられる。

問1:リスニング問題。(ウ)No.2は、リスニング内容の要点を捉える必要があった。
問2:英単語を補充する選択問題。教科書語句を理解していれば容易に解ける問題だった。
問3:空所を補う文法問題。(ア)は現在完了形と過去形の判別を問う時制の問題。時制を理解するだけでなく、正確にアウトプットする力が求められる。
問4:並べ替え問題。(ア)は後置修飾の問題。There構文の疑問文との複合文法問題となっており、自分の答えに自信が持てない生徒さんが多かったのではないか。
問5:英作文問題。与えられている条件語句が多いため、例年と比べると作られる英文を絞り込むことが容易だったと考えられる。
問6:読解問題。語数は600語程度で、昨年度から100語ほど減っている。神奈川県採択検定教科書にすべて掲載されているAI(人工知能)に関連する内容だったので、読みやすかったのではないか。
問7:資料を使った読解問題。語数は400語程度で、昨年度と同程度。計算問題は出題されなかった。(イ)は大学入学共通テストを意識した出題と考えられる。
問8:対話文読解問題。語数は700語程度で、昨年度と同程度。(ア)は英文から情報を正確に読み取れば、細かな計算は不要である。

難易度や問題構成に大きな変化はない。学校で実施されているスピーキングテストやパフォーマンステストで培われる力を発揮することで、解きやすくなる問題も出題されている。英語の知識の習得とともにアウトプットする機会を大切にしてほしい。

【数学】

過去の神奈川県入試で使用した解法を使う問題が複数出題された。解きやすい問題も見られ、昨年度に比べ易化したといえる。しかし、例年通り思考力を問う難易度の高い問題も出題されている。

問1の計算、問2の小問集合では、難易度や設問数、出題内容、配点に大きな変化はなかった。
問3(ア)では、3年ぶりに円の相似の証明と円周角が出題された。(イ)では、四分位範囲・箱ひげ図が出題された。語句の定義を理解し、丁寧に確認をすれば解ける問題であった。(ウ)では、2名が学校から駅まで向かう途中、1名が引き返すことですれ違う時間帯を求める問題が出題された。2名の動きを条件から読み取り、グラフで可視化する必要があり、難易度がやや高い問題であった。(エ)は、相似な図形を見出し、線分比を利用して面積比を求める問題であった。
問4の関数(ウ)は、2つの図形の面積が等しくなる点の座標を求める問題で、複雑な計算処理が求められた。
問5の確率は、操作に従いブロックを移動させる問題であった。操作方法を理解し、正しく数え上げることが必要であるが、昨年度よりは解きやすかったであろう。
問6の空間図形では、円すいが出題された。(イ)は、過去にも出題された空間内の2点間の距離を求める問題であった。(ウ)は、展開図を利用して線分を求める問題だが、側面の中心角が144°であることから動揺した生徒さんも多いのではないか。展開図上の∠ACEが120°であることを利用して解くことができる。

学年・単元に偏りなく出題されているため、今後は教科書の巻末問題、神奈川県の学力検査や追検査をはじめ、全国都道府県の入試問題など、様々な出題傾向の問題に触れておきたい。

【国語】

全体的に難易度はやや易化した。大問構成や問題形式・配点に変化はなかった。

問1(ア)のcの「頒布」の読み、(ウ)の俳句の鑑賞文は、やや難易度が高かった。
問2の小説は、大学生で家庭教師をしている主人公の視点から、勤め先の親子がすれ違いながらも互いを思いあう様子を描いた作品。「心情」を問う選択問題が多く、「心情」のみで選択肢を消去することができるものが多かった。難易度は昨年と同程度。
問3の論説は、昨年度と比べて、具体的な事例として理解しやすく読み取りやすいものであった。根拠は傍線部の前後にある問題がほとんどであった。(イ)の熟語の構成が昨年度の四字熟語に代わって出題された。選択問題は「説明」問題が中心で、「理由」問題が出題されなかった。「理由」問題がなくなった代わりに筆者の考えを選ばせる問題が2問出題された。
問4の古文は、有名な作品である「平家物語」から出題された。補助訳や注釈が多く、昨年度と比べて読み取りやすいものであった。文脈を意識して現代語訳していけば、問題は解きやすいものであった。
問5の資料読み取りは、昨年度よりも難易度は下がった。条件語句が復活し、書かなければならない内容が会話文で述べられており、別解例の許容の幅が広かったことが原因。

【理科】

全体の大問構成や問題数は例年と変化はなく、全学年からバランスよく出題された。問題文を正しく読み取る必要がある問題が例年以上に増え、平均点は昨年度よりも下がると予想される。

物理分野である問5では、電流が磁界から受ける力とエネルギーとの複合問題が出題された。(ウ)の速さと時間の関係のグラフに関する問題は、速さが大きくなると地点Qに到達する時間が短くなることに気付けるかがポイントであった。(エ)のエネルギーの変換効率の問題は、文字式で問われるという解き慣れない形式での出題であった。それぞれの文字式が持つ意味を考えれば正解にたどりつけるという、本質的な理解が問われるものであった。
化学分野である問6では、酸化物の還元の内容が出題された。(エ)の酸化鉄の還元は、練習したことがなくて戸惑う生徒さんが多かったのではないだろうか。問題文にある化学式とそれぞれの物質の原子の数に注目して処理をすれば正解にたどりつくことができるが、初見の問題でも原理・原則に立ち返れるかがポイントであった。
生物分野である問7(ウ)(ⅱ)では、植物の蒸散と光合成の問題が出題された。受験生にとって頻出となる問題ではあるものの、問題文より「実験から考察できること」を答えること、「対照実験」について問われている、という2点の重要な情報を手に入れなければならなかった。ここ数年継続して出題されている傾向の問題であるため、今後も対策は必要であろう。

今後の対策としては、例年同様、教科書内容の知識を理解するだけに留まらず、グラフや図が何を意味しているのかまでを考察し、理解する必要がある。今年度の問題の傾向から今まで以上に原理・原則の理解が求められる。

【社会】

昨年度と比べて難易度は昨年並みからやや難化といえる。全県平均は2点ほど下降するのではないか。全体の大問構成がすべてマークシート式であったことも昨年度と同様であった。問題数は昨年度より1問多い33問。昨年度増加した6択や8択の問題がさらに2問増加した。

問1・問2の地理は、基本的な知識を問う問題とともに、資料を読み取る問題が多く出題された。日付変更線をまたぐ問題が4年ぶりに出題された。過去の問題と同様の地図が出題されていることからも、過去問を繰り返し解くことが重要であるといえる。特徴的であったのは問2の(エ)。雨温図の読み取りではなく、気候区分の特徴を説明した文章を選ばせる問題であった。難易度は高くないが、学習内容を図式化する力だけでなく、言語化する力も求められる。
問3・問4の歴史は、全体的に難易度がやや高い。出来事の時期を覚えているだけでなく、その出来事が起きた背景やその結果まで正確に学習していないと、自信を持って正答を導けないだろう。問4の(エ)は、資料の傍線部のみで判断して設問を見落とすと、誤答の選択肢に引っかかってしまうおそれがある。情報の取りこぼしをしない正確な読解力が求められる。
問5・問6の公民は、資料読み取りが中心で、かつ細かな知識と組み合わせて判断する問題が見られた。問5の(イ)では、資料を読み取りつつ、一人世帯の増加や労働基準法に定められた週の労働時間が40時間であるという知識と組み合わせなければ判断できない問題であった。
問7は、昨年度と同様に、地理・歴史・公民の融合問題が出題された。今年度は「沖縄」をテーマにした出題であった。歴史や公民の問題同様、傍線部だけを読んで判断しようとすると引っかかる可能性がある。マングローブとは何か、琉球王国の貿易、GDP上位国、核兵器の保有国など、細かな知識を必要とする出題が見られた。
全体を通して、資料読み取りの問題において複数の情報を取りこぼしなく把握し、かつ知識を組み合わせて正確に解く必要がある問題が複数出題された。

今後の対策としては、教科書の知識を定着させることはもちろん、語句を正しく説明できるようにすることを普段から意識して学習するとよい。また、教科書本文以外の資料やグラフにも目を通しておく必要がある。様々な問題パターンに慣れるためにも、神奈川県以外の全国都道府県の問題を解くこともよいだろう。