湘南ゼミナール 公立中高一貫校受検情報

【2026】神奈川県公立中高一貫校入試分析・問題解説

①【適性検査Ⅰ 講評】
南高校附属中学校
横浜サイエンスフロンティア高校附属中学校

読解のスピードが鍵

出題傾向は例年通りで、「資料問題」「読解問題」、そして「作文」で構成されている。作文と読解で使用する文章は3つで、約650字、約500字、約3000字と、昨年よりも全体の文章量は増加しており、読解のスピードがより問われる出題だった。

作文は200字のものが2題で、配点は合計50点である。例年との違いとして、1つの文章からそれぞれ指定された要素を読み取り、まとめる形式になっている点が挙げられる。問いは比較的ストレートで、意図を正しく捉えて記述できれば十分に対応可能な内容であった。一方で、段落を分けない、一マス目を空けないといった解答上の注意を読み飛ばさず、丁寧に守ることも重要である。

資料問題は、2025年に大阪・関西で開催された万博をリード文とし、例年通り「資料の読み取り」を中心に問う構成であった。教科書範囲を超える知識を必要とする問題はなく、日頃の学習の積み重ねがそのまま生かせる内容である。近畿地方をテーマとしているため地理や歴史と関連づけた出題も見られるが、フランスやブラジルの位置、豊臣秀吉やキリスト教に関する年表などについても資料中に明示されている。知識量を競うよりも、資料を落ち着いて読み取り適切に活用できるかどうかが問われている点が特徴である。「安房国(千葉県)」と「阿波国(徳島県)」の混同や、問題6において「制限なく使用できる彩度の範囲」の読み取りに時間をかけすぎないように注意したい。

全体として、文章量が増えた分、難易度はやや上昇しているものの、求められている力はこれまでと大きく変わらない。設問を正確に読み取り、必要な情報を取捨選択し、自分の言葉で丁寧にまとめる力をつければ、着実に得点を重ねることができる。日頃からボリュームのある文章読解や、複数の資料を読み取る学習に取り組んできた受験生にとっては、その努力が確実に生かされる内容であったと言えるだろう。

②【適性検査Ⅱ 講評】
南高校附属中学校

総合的なリテラシー

昨年度同様、大問3問構成・小問数30問弱と、大きな変更はなかった。

大問1は、身近な話題を題材に「熱量」の読み取りと、素早く正確な算出が求められる内容である。「熱量」は中学理科の範囲であり、私立中学入試でも見られるが、単に先取り学習をしていれば解けるというわけではない。計算の前提として、長い会話文から仕組みや数値を正確に把握する読解力・情報処理力が不可欠だ。また、後半にはグラフや実験結果から考察する力も求められた。こうした「科学的な思考プロセス」を言語化する力は、一朝一夕には身に付かないため、日頃から事象の理由を説明する習慣をつけたい。

大問2は「数の性質」に関する問題であった。単純な計算や作業に留まらず、文字や□を用いて式の意味を構造的に捉える力が問われている。中盤の「等差数列」は適性検査の頻出内容であり、確実に得点したい。大問1と同様、会話文を素早く読み解き、思考を巡らせるトレーニングが必要である。

大問3は「楕円」「放物線」「環状体」をテーマとした、小学算数の枠を超えた内容であった。初見の題材ではあるが、会話文の誘導に従って思考・作業を進める形式となっている。ここで用いられる「等積変形」の知識も適性検査の定番と言えるだろう。図形の基本を押さえつつ、範囲に縛られない幾何学的視点や空間把握力を養っておきたい。

全体を通じ、例年と比べると計算数値を答えさせる設問が目立った。本番の緊張感や45分という制限時間に屈しない、タフな計算力と作業力が合否を分ける。また、すべての問題において、会話文から情報を抽出する力が必要となる。理系分野とはいえ、国語的な読解スピードと、活字・文字数を厭わずに読み込む訓練を積んで検査に臨みたい。「算数・理科」という枠組みを超えた、総合的なリテラシーが試される問題であった。

③【適性検査Ⅱ 講評】
横浜サイエンスフロンティア高校附属中学校

設問構成に明確な意図

2026年度のサイエンスフロンティア附属中学校の適性検査Ⅱは、大問2題・各50点という2025年度と同様の形式を取り、出題の難易度も例年と同水準でありながらも、設問構成の意図がより明確に感じられる内容だった。理科・算数的題材を用いながら、知識量や計算技能ではなく、「資料をどう読み、どう思考をつなげるか」を評価する姿勢が、今年度は一層強く表れた。

2025年度との違いとして特に注目したいのは、資料の読み取りを起点とした思考の連続性である。前段階で得た情報や考え方を、次の判断へと正確につなげられるかどうかが問われる構成であり、思考の深さの違いが得点差として表れやすい設計であった。

大問1では、「気圧や大気の状態」をテーマに、文章・図表・実験結果といった複数の資料を統合的に扱う力が求められた。知識を持っているかどうかではなく、与えられた情報をどのように整理し、必要な要素を選び取れるかが重要であり、作業的な処理で解ける問題は意図的に抑えられている。これは同校が一貫して重視してきた出題思想であり、「サイエンスフロンティア附属中らしさ」は健在である。

大問2の「球の敷き詰め」を題材とした空間図形の問題では、公式や解法の暗記では対応できない設問が続いた。空間の構造を論理的に捉え、情報を処理し続けられるかが問われており、同校が図形問題を通して測ろうとする力がどこにあるのかを端的に示す内容であった。

本検査全体を通して見えてくるのは、正解に至るまでの思考過程を重視する姿勢である。文章や資料を正確に読み取り、状況を関係性として捉え、筋道を立てて考え続ける力は、短期間の対策では身に付かず、トレーニングの継続が不可欠である。2026年度の適性検査Ⅱは、同校が求める学力像を設問構成そのものによって明確に示した出題だった。