都立高校改革
(1)都立高校の旧学区区分
都立高校は2001年以降、都立学校改革を行っています。その一環で学区(グループ)が撤廃されていますが、旧学区やコースなどによって学校が分けられることがあります。旧学区ごとに合同学校説明会を行うこともあります。
都立高校の区分等(抜粋)
区分 | 校数 | 学校名 | |||||||
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旧1学区 | 9校 | 日比谷 | 小山台 | 三田 | 雪谷 | 田園調布 | 大崎 | 八潮 | 大森 |
蒲田 | |||||||||
旧2学区 | 9校 | 戸山 | 青山 | 駒場 | 目黒 | 広尾 | 松原 | 桜町 | 千歳丘 |
深沢 | |||||||||
旧3学区 | 12校 | 西 | 大泉 | 富士 | 豊多摩 | 井草 | 石神井 | 杉並 | 武蔵丘 |
鷺宮 | 光丘 | 練馬 | 田柄 | ||||||
旧4学区 | 8校 | 竹早 | 光園 | 文京 | 豊島 | 向丘 | 高島 | 板橋 | 大山 |
旧5学区 | 10校 | 白鴎 | 上野 | 江北 | 足立 | 足立新田 | 竹台 | 足立西 | 淵江 |
青井 | 足立東 | ||||||||
旧6学区 | 14校 | 両国 | 小松川 | 城東 | 江戸川 | 深川 | 東 | 本所 | 小岩 |
紅葉川 | 葛飾野 | 日本橋 | 篠崎 | 葛西南 | 南葛飾 | ||||
旧7学区 | 13校 | 八王子東 | 町田 | 日野台 | 南平 | 成瀬 | 富士森 | 日野 | 小川 |
片倉 | 八王子北 | 山崎 | 野津田 | 松が谷 | |||||
旧8学区 | 10校 | 立川 | 昭和 | 東大和南 | 東大和 | 福生 | 武蔵村山 | 拝島 | 羽村 |
多摩 | 秋留台 | ||||||||
旧9学区 | 12校 | 武蔵野北 | 武蔵 | 小金井北 | 清瀬 | 小平 | 小平南 | 保谷 | 田無 |
久留米西 | 小平西 | 東村山西 | 東村山 | ||||||
旧10学区 | 9校 | 国立 | 調布北 | 狛江 | 調布南 | 神代 | 府中 | 府中西 | 府中東 |
永山 | |||||||||
普通科 コース制 |
6校 | 深川: 外国語 |
小平: 外国語 |
片倉: 造形美術 |
松が谷: 外国語 |
田柄: 外国文化 |
五日市: ことばと情報 |
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普通科 単位制 |
11校 | 新宿 | 墨田川 | 国分寺 | 美原 | 芦花 | 大泉桜 | 飛鳥 | 板橋有徳 |
忍岡 | 翔陽 | 上水 | |||||||
総合学科 単位制 |
10校 | つばさ総合 | 世田谷総合 | 杉並総合 | 王子総合 | 晴海総合 | 葛飾総合 | 町田総合 | 青梅総合 |
東久留米総合 | 若葉総合 | ||||||||
工業科 | 15校 | 総合工科 | 中野 | 杉並 | 工芸 | 北豊島 | 蔵前 | 荒川 | 足立 |
墨田 | 葛西 | 町田 | 多摩 | 田無 | 府中 | 練馬工業 | |||
商業科 | 9校 | 芝 | 第一 | 第四 | 第三 | 荒川 | 葛飾 | 江東 | 五日市 |
第五 | |||||||||
産業科 | 2校 | 橘 | 八王子桑志 | ||||||
工業科 (単位制) |
1校 | 六郷工科 | |||||||
農業科 | 5校 | 園芸 | 農芸 | 農産 | 瑞穂農芸 | 農業 | |||
家庭科 | 2校 | 瑞穂園芸 | 農業 | ||||||
家庭科 単位制 |
1校 | 忍岡 | |||||||
その他 全日制 学科 |
10校 | 国際 | 大島海洋国際 | 科学技術 | 多摩科学技術 | 大田桜台 | 千早 | 総合芸術 | |
駒場 | 野津田 | ||||||||
高専 | 1校 | 産業技術 | |||||||
昼夜間 定時制課程 情報科単位制 |
1校 | 新宿山吹 |
※島嶼部(旧11~14学区)は省略しています。
(2)進学指導重点校・重点支援校・アドバンス校等について
東京都教育委員会では、生徒一人一人の能力を最大限に伸ばす学校づくりの一環として、進学対策に組織的、計画的に取り組む都立高校を進学指導重点校、進学指導特別推進校及び進学指導推進校に指定しています。指定は過去の進学実績、進学指導に対する取組状況を総合的に判断し、決定されます。進学指導重点校は基準があり、満たすべき水準に達していない際には、在校生のための特例措置として、2年間に限り指定を行います。その後の2年間の大学合格実績において、選定基準に適合もしくはそれに準じた顕著な実績向上が見られたときは、新たに指定することを方針として決定されます。
進学指導重点校の指定基準
[基準1] センター試験結果(現役)
①
5教科7科目で受験する者の在籍者に占める割合が概ね6割以上(概ね200人以上)
②
難関国私立大学等に合格可能な得点水準以上の者の受験者に占める割合が概ね1割以上
※
合格可能な得点水準は、年度ごとのセンター試験の難易度を勘案して定められる。
[基準2] 難関国立大学等現役合格者数
15人
※基準を満たす例:在籍者320人の場合
受験者192人(在籍者の6割以上) ,合格可能な得点水準以上の得点者19人(受験者の1割)
難関国立大学等現役合格者数16人
※難関国立大学等
東京大学、一橋大学、東京工業大学、京都大学、国公立大学医学部を指す
進学指導重点校等
進学指導 重点校 |
7校 | 日比谷 | 戸山 | 青山 | 西 | 八王子東 | 立川 | 国立 |
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進学指導 特別推進校 |
7校 | 国際 | 小山台 | 駒場 | 新宿 | 町田 | 国分寺 | 小松川 |
進学指導 推進校 |
13校 | 三田 | 豊多摩 | 竹早 | 北園 | 墨田川 | 城東 | 多摩科学技術 |
武蔵野北 | 小金井北 | 江北 | 江戸川 | 日野台 | 調布北 | |||
アドバンス校 | 4校 | 江北 | 上野 | 田柄 | 昭和 | |||
進学重視型 単位制高校 |
3校 | 新宿 | 墨田川 | 国分寺 | ||||
中高一貫 併設型高校 |
5校 | 白鴎 | 両国 | 富士 | 大泉 | 武蔵 |
(3)専門高校について
都立高校には「工業」「農業」「商業」「その他」の専門高校があります。専門高校では生徒の専門性の向上を図るため、生徒が身に付けるべき、専門分野に関する主な技術・技能の具体的な内容を定めています。(学校名等の詳細は(1)の図参照)
専門高校の分類
区分 | 専門科 |
---|---|
工業 | 工業科 |
科学技術科 | |
デュアルシステム | |
農業 | 農業科 |
商業 | 商業科 |
ビジネスコミュニケーション科 | |
その他 | 産業科 |
家庭科 | |
福祉科 |
(4)国際高校・新国際高校について
国際高校について
国際高校は1989年に設置された国際学科高校です。帰国生徒や外国人生徒の出身国が35か国以上にのぼり、のべ全校生徒の約3割を占めています。高度な外国語能力を育成する語学系科目に加え、異文化理解や国際関係などグローバルな視点に立ったユニークな専門科目があります。「IBワールドスクール」「進学指導特別推進校」「東京グローバル10指定校」の3つが大きな特徴としてあげられます。IBワールドスクールは、学校全体でIBの教育理念に基づいた教育を行うことが求められ、探究型・双方向型の授業が実践されています。毎年10~20名の生徒が海外大学に進学することも大きな特徴です。
新国際高校(仮称)について
東京都教育委員会は、国際高校の入学者選抜の応募倍率が高い状況を踏まえ、日本人としての自覚と誇りを備え、世界に通用する 人材を育成するとともに、在京外国人等の教育ニーズにも応える都立高校として、都心部に帰国生徒や外国人 生徒を受け入れ国際色豊かな学習環境を整備した新国際高校(仮称)の設置を検討してきました。設置予定地は東京都港区白金二丁目となり、2017年度には基礎調査を実施し、開校予定年度を検討する予定と発表されています。
入試制度の概要
(1)公立高校の入試制度について
東京都の公立高校入試は、一般募集として「推薦に基づく選抜」、「学力検査に基づく選抜」の2つに分かれています。
「推薦に基づく選抜」は「一般推薦」と「文化・スポーツ等特別推薦(以下特別推薦とします。)」の2種類があります。「推薦に基づく選抜」では、全員に集団討論及び個人面接(集団討論を実施しない場合は個人面接)が課されます。また、小論文又は作文、実技検査、その他学校が設定する検査(以下「小論文又は作文等の検査」とします。)のうちから、各高校が定めた、いずれか一つ以上の検査が実施されます。「学力検査に基づく選抜」は、学力検査が課されます。
選考の種類について

選考は「推薦に基づく選抜」、「学力検査に基づく選抜」に分かれています。
「推薦に基づく選抜」の募集人数は普通科で募集定員の20%(コース制は30%)まで、総合学科、専門学科等では30%まで、商業科では20%までとなります。
「学力検査に基づく選抜」は、「第一次募集及び分割前期募集」と「分割後期募集及び全日制第二次募集(注1)」に分かれています。分割募集とは、一般入試の定員を前期と後期に分割し、2回に分けて行う募集のことで、一部の高校で実施されます。
(注1)第二次募集:第一次募集で欠員のある学校が行う欠員補充の募集
それぞれの選考の違いについて
2つの選考の方法には違いがあります。「推薦に基づく選抜」では、全員に集団討論及び個人面接と小論文又は作文等の検査(詳細は(1)概要を参照)で選抜が行われ、学力検査は実施されません。一方で、「学力検査に基づく選抜」では文字通り学力検査のみが行われます
男女別定員制の緩和について
一部の高校では、男女別の募集人員の各9割に相当する人員までを男女別の総合成績の順により決定した後、募集人員の1割に相当する人員を、男女合同の総合成績の順により決定し、合格候補者とします。2017年度入試では31校で実施されました。
(2)推薦入試について
推薦入試は推薦入試を受験する意思があり、在学している中学校長の推薦を受けた生徒が受験できます。「一般推薦」と「特別推薦」の2種類があります。推薦入試の日程は2日間です。多くの高校で1日目に「集団討論」、2日目に「小論文・作文」が実施されます。
推薦入試の得点内訳
調査書点 | 集団討論個人面接点(※1) | 小論文又は作文点(※2) | 実技検査点(※2) | その他学校が設定する検査点(※2) |
---|---|---|---|---|
総合成績 |
(※1)集団討論は実施されない高校もあります
(※2)小論文又は作文、実技検査、その他学校が設定する検査の中から、各高校が一つ以上を選んで実施
推薦入試 調査書点の算出方法
【評定を用いる場合】
各受験者の 調査書点 |
= |
各受験者の 評定の得点 |
× |
調査書点の満点 |
評定の満点 (45点) |
【観点別学習状況の評価を用いる場合】
各受験者の 調査書点 |
= |
各受験者の 観点別学習 |
× | 調査書点の満点 |
状況の評価 の得点 |
評定の満点 (45点) |
一般推薦について
検査は、集団討論、個人面接、小論文又は作文、実技検査、その他学校が設定する検査を組み合わせて実施されます。このうち、集団討論と個人面接は原則すべての高校で実施されます。その他の検査は各高校が1つ以上を選んで実施されます。
選考は、調査書点の他、各検査の点数を総合した成績で行われます。
特別推薦について
「特別推薦」は2017年度入試では94校で実施されました。この推薦入試は、「各都立高校の個性化・特色化を推進するため、卓越した能力をもつ生徒の力を評価し、選抜する」ことを目的とし、実施校では特別推薦の基準を定めています。基準を満たしているか否かについては、各高校に問い合わせをして、確認する必要があります。そのため、「特別推薦」は、志願者がいない場合もあります。また、一定の基準に達していると認められた者の中から合格者を決めるため、募集人員に達しない場合でも、不合格となることがあります。特別推薦は同時に、同一校の一般推薦にも出願することができますが、その場合は一般推薦の検査も受験することになります。なお、応募資格は、一般推薦と同様に、「在学している中学校長の推薦を受けた者」です。
小論文・作文について
小論文・作文のうち、どちらを実施するかについては各高校が定めています。小論文は、進学指導重点校をはじめとする進学校で課されることが一般的です。テーマが与えられそれについて述べる形式や示された文章に基づいて論述する形式、資料に基づいて論述する形式等があります。検査時間は50分の高校が多く、字数は作文で500~600字程度、小論文は500~600字程度、または200字程度の2題構成の場合もあります。
面接について
個人面接が実施されます。質問内容や面接官の人数等は各高校によって異なります。検査時間は多くの高校で10分程度です。
集団討論について
集団討論とは、面接官が課したテーマに沿って討論をし、その様子を面接官が見ながら評価をする検査です。5~10人程度の受験生が1つのグループをつくり討論をし、その様子を各高校の評価項目に基づいて得点化します。時間は多くの学校で30分程度です。
実技について
実技検査は工業科、体育科、総合学科、造形美術科等で実施されます。検査内容は高校ごとに定められ、各学科の特色に応じた検査が実施されています。
(3)一般入試について
一般入試の得点内訳
学力検査の得点 | 調査書点 | 面接点(※1) | 小論文又は作文点(※1) | 実技検査点(※1) |
総合得点 | ||||
総合成績 |
(※1)面接、小論文又は作文、実技検査を実施しない学校もあります。
一般入試 調査書点の算出方法
各受験者の 調査書点 |
= |
各受験者の 評定の得点(※1) |
× |
調査書点の満点 (300点) |
評定の満点 (65点) |
(※1)学力検査を実施する教科(通常は英数国社理の5科目を1倍、侍史しない科目の評定を2倍として算出
調査書
調査書点の満点は、評定の満点を換算して算出します。満点は学力検査が5教科の場合は65点、3教科の場合は75点となります。
学力検査
第一次募集・前期分割募集では、原則として、英語、数学、国語、社会、理科の5教科が実施されます(なお、芸術科・体育科は実技検査を行うため3教科となります)。第二次募集・分割後期募集では、原則として、国語、数学、英語の3教科が実施されます。
学校によっては、学力検査に加え、面接、小論文又は作文、実技検査を実施します。
学力検査と調査書比率
【全日制課程 普通科】
募集区分 | 学力検査の教科 | 学力検査の得点と調査書点の比率 |
---|---|---|
第一次募集・ 分割前期募集 |
5教科(英・数・国・社・理) | 7:3 |
分割後後期集・ 第二次募集 |
3教科(英・数・国) | 6:4 |
【全日制課程 その他】
学校・学科 | 学力検査の教科 | 学力検査の得点と調査書点の比率 |
---|---|---|
総合芸術高校 (芸術科) |
3教科(英・数・国)+実技検査 | 6:4 |
駒場高校・ 野津田高校 (体育科) |
学力検査の配点
【全日制・学力検査の得点算出方法】

※5 教科・傾斜配点なしの場合
図:学力検査の配点
自校作成問題・グループ作成問題
自校作成問題とは、各高校の受験者の能力や適正、学力達成度等を考慮した学力検査問題を作成し、一部の高校において実施されてきた入試問題です。2001年度に日比谷高校によって全国で初めて実施されました。2014年度入試からは「学力検査問題のグループ作成」が導入されました。しかし、期待された「中学生の志望校の選択幅拡大」に寄与していないこと、グループによっては学校の特色や求める生徒に合わせて問題の差し替えを行わざるを得ない状況になっていることなどから見直しが行われました。
2018年度入試より、進学指導重点校グループ及び進学重視型単位制高校グループは、自校作成問題を実施し、各学校が求める生徒を選抜できる検査問題を作成すること、中高一貫併設型高校グループは、グループ作成による効果やメリットを生かし、今後も継続していくことが決定しています。
(4)分割募集について
分割募集とは、一般入試の募集人員をあらかじめ分割し、第一次募集期間における募集(分割前期募集)と第二次募集期間における募集(分割後期募集)の2回に分けて行う募集方法です。全日制では平成29年度入試で普通科19校、専門学科2校で実施されました。原則3科目での学力検査と学校により面接・作文または小論文・実技検査が実施されます。学力検査と調査書の総合得点における比率は6:4となります。
(5)その他
エンカレッジスクールについて
エンカレッジスクールについて
エンカレッジスクールは、「基礎から学びなおしができる」高校です。小学校から中学校まで可能性がありながら、頑張っても力を発揮しきれずにいる生徒のやる気や頑張りを、応援し励ますことを打ち出した学校です。エンカレッジとは、「力づける」「励ます」「勇気づける」を意味しています。入試では、学力検査を実施せず、原則、面接、小論文又は作文および実技検査を実施されます。
チャレンジスクールについて
チャレンジスクールは、小・中学校での不登校や高校での中途退学を経験した生徒など、これまで能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒が、自分の目標を見つけ、それに向かってチャレンジする学校です。学力考査や中学校からの調査書によらず、生徒の学習意欲を重視して、入学選抜が行われます。