湘南ゼミナール 神奈川県公立高校受験情報

2024年度公立高校入試 5教科 分析資料

【英語】

大問8題からなる構成で、配点・設問数にも変化はなかった。ただ、誤答となる選択肢に様々な工夫がされているため、即座に正答を選ぶことができないものが多かった。長文問題を解くことに十分な時間をかけることができなかった受験生も多かったことが予想される。難易度はやや難化と考えられる。

問1:リスニング問題。単なる英語の聞き取りではなく、設問に応じた判断力が問われる内容。
問2:英単語を補充する選択問題。前後の文脈を正確にとらえる必要がある。
問3:空所を補う文法問題。(エ)前置詞を問う問題。前置詞のコアイメージを正確に理解している必要がある。和訳だけで判断しようとすると誤答となる良問であった。
問4:並べ替え問題。(ウ)頻出の後置修飾の問題だが難易度は高い。
問5:英作文問題。例年と比較すると作りやすい英作文だったのではないか。
問6:読解問題。環境問題に関する文章。語数は昨年度と同程度の約600語。(ウ)内容一致問題では、本文内容と選択肢の内容の言い換えを正確に理解できる必要があった。
問7:資料を使った読解問題。語数は合計約500語程度で、昨年度と比較して語数が増加。(イ)ポスターは記事内容を要約したもののため、必要な情報を把握した上で読み進めると効果的。大学入学共通テストを意識した問題となっている。
問8:対話文読解問題。語数は昨年度と同程度の約700語。(ウ)内容一致問題では、1つ目の選択肢の正答となる根拠がすぐに出てこないため、正誤を判断することに時間がかかる。

文法問題も含めすべての問題において、断片的な情報で解くのではなく、文脈を正確に捉える必要がある。自ら考え、書かれている内容を自分ごととして捉えるような能動的読解姿勢が問われている。

【数学】

全体的な構成、出題傾向は大きく変化はしてはいないが、大問ごとの出題数や配点に変化があった。図形を中心に補助線を利用するものが多く難易度が高い問題もあるが、平均点としては例年通りになるだろう。

問1の計算では昨年と難易度や設問数、配点に大きな変化はなかった。
問2の小問集合では球が久しぶりに出題された。
問3の(ア)(ⅱ)は、図形の性質から関係式を立てて角度を求める問題であった。(イ)は、昨年度に引き続き、与えられた資料を読み取る問題であった。(ⅰ)は,箱ひげ図を選択する問題、(ⅱ)では正誤問題が出題され、計算処理に工夫しながら判断できたかによって差が生まれたであろう。(ウ)は、補助線を加えてできる正三角形を利用して解く、難易度の高い問題であった。(エ)は、食塩水を題材とした方程式を利用する問題であった。複雑な条件を正確に読み取り、食塩について立式することが必要であった。
問4の関数(ウ)は、2つの三角形の面積の比に関する問題で、例年のような複雑な計算処理を必要とはしないが、等積変形を利用するなどの工夫が必要であった。
問5の確率は、2つのさいころの出た目の数に応じた操作に従い、カードを取り除いていく問題であった。正しく数えあげることが必要で、操作方法が理解できていれば解きやすい問題であった。
問6の空間図形は、三角すいの展開図が出題され、小問数が昨年より1問減少した。(イ)は、与えられた展開図を使用せず、線を含む平面を組みわせた展開図を描く必要があり、補助線も利用して求めることから、難易度の高い問題だった。

学年・単元に偏りなく出題されているため、今後は教科書の巻末問題、神奈川県の学力検査や追検査をはじめ、全国都道府県の入試問題など、様々な出題傾向の問題に触れておきたい。

【国語】

昨年と比較して全体的に難化した。大問構成・配点に変化はなかったが、問5の資料読み取りにおいて複数の文章を読み取る問題が出題された。

問1(ア)のa「固唾」の読み、(ウ)の短歌の鑑賞文は、やや難易度が高かった。
問2の小説は、嫁入りを迎えた娘の視点から父との交流を描いた作品。方言での会話が読みにくさを感じさせるが、心情の読み取りは難しくない。難易度は昨年と同程度。
問3の論説は、ファッションにおけるコミュニケーションについての文章であった。具体例も少なく、言語とファッションの関係を理解しながら論旨を追うのが難しいので、難易度は高い。
問4の古文は注釈や補助訳を頼りに読み進めるのが難しく、昨年度と比べて難易度はやや高い。敬語表現や会話の内容から主語を読み取り、書かれている通りに古文を読み進める力が必要。
問5は空欄補充と条件語を用いる記述という構成は昨年と同様であった。ただ、空欄が二つに増えたことや、二つの文章から読み取るように変化したため、新しい形式に戸惑う可能性がある。条件語である「偶有性」という語は日常的になじみが薄いため、難しく感じた受験生もいるだろうが、問題の難易度自体は昨年と同程度。

今後の対策としては、言語・自然科学・哲学などの抽象度の高いテーマの論説文や、敬語表現の多い古文などの読解を中心に、文章理解を深めるような対策をするとよいだろう。

【理科】

全体的な構成、出題傾向は大きく変化はしてはいないが、大問ごとの出題数に変化があった。難易度としては依然として高いが、昨年度まで4問あった完答問題がなくなり、それぞれに配点が設定された影響で昨年度よりも平均点は上がると言える。

物理分野の小問集合である問1では、(ア)でプリズム、(イ)で輪軸と見慣れない題材が出題され戸惑った生徒も多かったかもしれない。(ア)は光の屈折、(イ)は仕事の原理を元に思考する問題であった。
地学分野の小問集合である問4では(ア)の地層の成り立ちの問題が難解であった。土砂の堆積の様子から堆積した順番を把握し、しゅう曲した向きまでを思考することが求められた。
物理分野である問5は音と磁界の単元の組み合わせの出題であった。(ア)はコイルにはたらく力の向きについての発問で、問題文の条件を把握して解答する必要があった。(イ)では磁界の向きと電子てんびんの示す値の関係性を表から読み取る問題であった。
生物分野である問7は遺伝の法則の内容が出題された。(エ)では毛色と毛の長さに関する形質についての遺伝の法則が問われ、2種類の形質の遺伝の組み合わせを同時に表に書く作業が必要であった。
地学分野である問8は天気の前線の内容が出題された。(イ)の水蒸気量を多い順に並べる問題では、図から気温と湿度を把握することで答えを求められる問題であった。(ウ)では前線が通過した時間が問われ、図の湿度と気温の変化の特徴から前線の通過を把握する必要があった。(エ)では寒冷前線の位置について問われ、横浜、大阪、熊本の3地点の風向から類推する問題であった。

今後の対策としては、問題を解くために必要な情報を問題文から素早く読み取る力を養いたい。教科書内容の知識を理解するだけに留まらず、グラフや図が何を意味しているのかまでを考察し、理解する必要がある。

【社会】

昨年度と比べて難易度はやや難化したと言える。問題数は昨年度より1問多い34問。また、昨年度にはない9択の問題が1問出題された。

問1・問2の地理は、基本的な知識を問う問題とともに、資料を読み取る問題も多く出題された。特徴的だったのは、問1(オ)の問題。知識としては正しい選択肢が並び、問われている内容に沿ったものを正しく選ぶ判断力が求められた。
問3・問4の歴史は、地理・公民内容との融合問題が見られた。知識だけでなく、体系的な理解が必要とされる問題が多かった。問3(エ)の日本と世界のできごとを関連付ける問題では、世界史の年代に関する正しい理解が求められた。問4(エ)は公民内容の融合問題で9択の問題であった。語句の判断は難しくないが、資料の読み取りにおいては紛らわしい選択肢があり、受験生は苦しんだことだろう。
問5・問6の公民は、正確な知識が定着していることが求められる問題が多く見られた。問5(ア)は、比較的見慣れた経済の循環の模式図であるが、この模式図に入ることが少ない「間接税」の説明が選択肢中にあることが判断を難しくした。また、問6(オ)では、資料を読解するだけではなく、長い選択肢の内容も正しく読み取る力が要求された。
問7は、昨年度と同様、地理・歴史・公民の融合問題が出題された。最後の読み取り問題は4つの資料を丁寧に読み解いて資料中の語句を言い換える必要があり、最後まで集中力を切らさずに解ききれたかが鍵となった。

全体を通して、単純な知識で正答を判断をするのではなく、設問の要求に正しく答えた選択肢を選ぶ判断力が求められた。また、資料読み取りの問題においては、情報を取りこぼしなく把握し、かつ自分の知識と組み合わせて正確に解く力が求められた。このような問題は近年増加しているため、過去問をくり返し解いてトレーニングするのが良いだろう。